うーん、こんな酒、勧めたら愛想つかしされるよなぁ。仮に安酒とは言い、ウィスキー党を名乗る身としては。
でも、いいものはいいのさ。それに樽熟成させてるし、って、それウィスキーの定義からしたら末節だから。
事の起こりは、友人から東欧のハーブ酒をもらったことだった。申し訳ない話しだが、もらった直後は、甘ったるいし薬臭いし、こんなお屠蘇のような酒、毎日飲んでられっかよ!って、そのまま放ったらかすこと1年。思いがけず、手に取ることになった。この夏前、体調絶不調、蕁麻疹は出るは、胃は知らんぷりするはでとことん苦しんだ。数カ月酒を断つほどだったから、かなりの重症だったんだ。それがきっかけだ。幸い、節制の効果あって、体も復調、晩酌も復活となってみて、胃腸の養生が大切だって思い直した。
おお、そうじゃ!あの薬用酒があるじゃないか。そういえば、養命酒って健康増進の酒があったが、あれの東欧版だぜこれは、って気付いた。毎夕食前、いや、忘れることも多いが、おちょこに半分程度、そう、軽く体に血が巡るくらいの量を飲んでみたら、これがなかなかいいんだなぁ。お休み中の胃も目を覚まし、俄然、食卓に向かう気力が湧き上がって来る。こりゃいいや!って習慣になり始めた頃、最後の一滴を飲み尽くした。
はて、これに似たような薬酒、手に入らんもんか?養命酒?うーん、あれはねぇ、なんか、いかにも胃弱の青白い顔の人が飲む薬みたいじゃないか、って勝手な思い込み。それに、養命、って名前がなぁ。もちっと、薬臭くなく洒落て飲めないもんかねぇ、食前酒みたいに気取ってさぁ。
あった、あった、これ。ドイツの薬用酒、イェーガーマイスター。
56種のボタニカル、つまり生薬のエキスを抽出したハーブリキュール。サフラン、シナモン、根ショウガなどのほか、果実類も付け込まれているんだってよ。50年以上も前にたどり着いたレシピを今も頑固に守り続けてるって、いかにもドイツらしいじゃないか。瓶もいかつく無骨で何百年経っても割れるもんかの佇まい。中身を覗い知らせぬ濃い緑色、見るからに秘伝の薬酒!この1杯でたちどころに、魔王にでも変身できそうだぜ。
奇酒、発見!と喜び勇んでアマゾンで注文、待てよ、酒のやまやでも置いてんじゃないか?早速買い求めて2週間、チビリチビリとやっている。アルコール度数が35パーセントとかなり高いので、ショットグラスの1/3くらいが、食前酒としちゃ限度だ。それ以上飲んだら、そのままウィスキーに移行し、夜通しドリンカーのアル中予備軍になっちまう。美味しく食事がいただけるように、控えめに。
胃が元気になるってことも確かにあるが、気分転換の意味合いも大きいようだぜ。さっ、飯食うぞ、これから食いもの詰め込むが胃腸ども、覚悟しろよって、ね。それと、宵の口の口寂しさを紛らわす、って効用も大きいかもしれない。イェーガーマイスターちよいと引っかけて、気持ちをなだめて一我慢、9時過ぎの飲酒解禁まで素面で過ごす。
こりゃ掘り出し物だぜ、ふふふ、みんな知らんだろ。って発見者の気分でいい気になってたら、なんと!ヨークベニマルの酒売り場にも置いてあった。なんだい、もうすでにメジャーデビューしてるのかい、残念!
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