ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

菜の花座新作は『流れ旅 星の流れに』

2023-03-24 09:36:51 | 菜の花座
書けた!書けた!!書けた!!!
いやぁ、なんとかたどり着けだぜ。『流れ旅 星の流れに』。
おっと、タイトル、間違って印刷してやんの。嬉しすぎて気が抜けたな。

今回も冒険したぜ。
タイムマシーンもの?だからな。旅回り大衆劇団の座長、紅咲夜が二つの時代を行き来するんだが、娘時代の咲哉と晩年の咲哉が時空を跳び、互いに交流する。これってタイムマシーンものの反則技だよな。一人の人間の過去と現在が同じ空間に生きるんだから。
基本、片方は傍観者的なんだが、図に乗ってもう一人の咲哉を助けて喧嘩を買って出たりする。やややこしい!分かりづらい!って、菜の花座のメンバーからも声が出た。そこを理解させるのが演出でしょ、って俺がやるんだった演出。
心配してるのは、この構造だけじゃない。選んだ時代と出来事が果たして観客に分かってもらえるかどうか?なんだな。40年という歳月を挟んで二つの戦後を舞台に設定した。アジア太平洋戦争敗戦後はまだNHK朝ドラなんかで馴染みもあるだろうが、日露戦争の終結後となると、えっ?どんな時代なの、まるっきり想像できない、まっ、そんなもんだ、大方の感想は。
それも足尾銅山鉱毒事件。知ってる?田中正造って聞いたことある?
少しでも60年代からの公害反対運動に関心を寄せた人なら、そこそこ知識を持ってるとは思うんだが、それだってもう50年以上も前の記憶前史、うーん、ここに舞台を設定したことの方がはるかに冒険かもしれないな。
足尾の銅山から排出されたカドミウムなどの鉱毒が渡良瀬川に流れ込み、洪水のたびに周辺の田んぼを壊滅させ、健康被害も悲惨な状況だった。これに怒った流域農民が大挙抗議行動を行い、当時の大問題になったんだ。さらに、農民たちの戦いを支援した当時国会議員の田中正造の献身的行動はその後も公害闘争などの象徴的存在になって行ったんだが、知ってる人、少ないよなぁ。明治末期の話しだ。
この戦いで意外と知られていないのが、都会の市民や社会活動家たちが支援に駆けつけていたって事実なんだな。社会主義者、キリスト者など当時の良心的知識人が多数かかわった。そこに注目。
血気盛んな若き日の紅咲夜もその戦いにとことんかかわってしまうってのが今回選んだエピソードなんだ。斬新、って言うより奇抜?
これを説明的にならぬように描き切るってかなりの難題だよな。小説なら地の文で説明しつつ話を進められるだろうし、映画なら闘争の経過を切り取り嵌め込んで、全体を明確にするってこともできるわけだが、演劇となるとなぁ、セリフしかないんだよ頼れるものは。まさか、真っ只中の当事者が事件の全体構造解説するなんて不自然だろ。そこなんだよ、難しさは。
見る人たちに、ほとんど事前知識がない事柄を理解させつつ、なおかつ登場人物の生き様や心の動きに共感してもらわにゃならんのさ。なっ、なかなかの難問だろ。
そこに上に書いた二つの時代のタイムトリップが加わる。書いた方もだが、これは見る側にとっても、かなりの知的読解力が求められるよ。って、相手に責任押し付けてるわけにもいかない。
舞台というすごい限定的な表現の中で、目一杯工夫して作品の世界に導かなくっちゃならない。ってことは演出こそ腕の見せどころってことだぜ。
書き手の俺から、演出の俺に、
せいぜい頑張れよ、ってエールを送ろう。
それって意味あるか?


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