実家に行くと、 私たちが子供のころ使っていたコーリンの 鉛筆削りを母がまだ大切に使っていました。
三角顔のブランドマークに胸がキュン。そういえば最近このマークは見かけないな~、もうあれから何十年たったのかしら・・・。
使ってみると、今のものよりしっかりと鉛筆をつかみ、鉛筆と刃のかみ合わせがしっくりいき、削るときも本体に安定感があります。手動の鉛筆削りは当時はまだ珍しく、ずしりと存在感のあ る鋼鉄製で、ハンドルを回すとくるっと丸まった小さな削り カスが下の小引出しにたまっていく感じが大好きでした。
確か刃の部分は取り外しが可能のはずでしたが、長年のサビで固くなっていました。が、コツンと一撃を加えるとすんなり外れました!
子供のころはこのカッター部分が魔法のように思え、よく取り外しては眺めていたものです。今の手動タイプの削りは確か固定式になっています。
このレトロな削りは、今も十分にその機能を備えていました。左がコーリン、右が今の鉛筆削りを使用したもの です。削った姿もなかなかシャープで何の遜色もないどころか、かえって美しい気がします。
当時は、「鉛筆は前の晩に家できれいに削っておく」というのが学校の課題で、先生が筆箱の中をチェックして回った…という記憶があります。
だから、その頃の小学生は、上手にナイフを使って削るどころか、さらに器用な男の子は肥後の守で削ってきて自慢していました。もちろん筆箱の中にはナイフや肥後の守を入れておいても何の問題もありませんでした。(肥後の守と聞いてピンとくる人も少ないでしょうね・・・)
時代が下って、自分の子供たちが小学校に行くようになると、ナイフは危険だからという理由で学校に持っていくのも禁じられるようになりました。何度か怪我をしながら、自分で刃ものの使い方を習得していくはずなのに、とりあえず「何か」が起こる前に禁止しておく・・・。とてもさみしい気がしました。
10年ほど前、私がとある塾でナイフで鉛筆を削っていると、子供たちが集まってきて「わ~ぁ、すごい!手で削るの?」と顔を輝かせて歓声をあげました。「???・・・」ショックでした。今は、学校の制約も多いし、もう電動シャープナーの時代なのですね・・・。
コーリンの、日本では初めてのA.L式の鉛筆削りNo.6000 には、子供時代の思い出がたくさん詰まっています。母にほしいというとあっさりOKで、その代わりにカラフルな軽い鉛筆削りを持っていきました。あとでゆっくり考えてみると、今一人暮らしになった母は、子供過ごした日々を懐かしんで大切にいとおしんで使っていたのかもしれません。娘というものは、ある意味で残酷なことをするものですね・・・。
そのころ、鉛筆は三菱かトンボかコーリンで、セルロイドの筆入れに入った鉛筆は、小学時代の象徴にも思えます。しかし、調べてみるとコーリンの会社は1997年に倒産しており、思い出にチクリと痛みが走りました。半世紀たらずの間に急激な高度成長を経験し、それがもう行き詰って、世の中の早い変遷に胸が詰まります。