28年間使ったソファー。今の住まいに移ってからずっと一緒で、形も柄も座り心地も体の一部みたいにすっかり馴染んでいます。
この椅子は平成天皇が皇太子時代に座られたという名誉な履歴を持っているので、昭和時代の私たちには特別な意味がありました。
それでも布の退色と座面のたるみは避けられません。ヨーロッパみたいに張り替えるという意識は持ち合わせていないので、夫の気が変わらないうちに買い換えることにしました。
新しいソファーが予定より早く納品できるという連絡を受けて本当に「バイバイ、長い間ありがとう」です。
ソファーの処分には孫たちがことのほか悲しんでいるようです。生まれてひと月ほどの滞在中にソファーの上に寝かされていた頃から、クッションで基地を作ったやんちゃな幼児時代、くつろいだ姿勢でゲームをした少年時代と、じぃじの家ではソファーが孫たちの心身の居場所。孫の心には「じぃじの家=ソファー」という図式が有ります。
我が家の歴史を吸い込んだソファーと別れるとなると、ばぁばだってひとしお寂しさが募ります。
この6月に孫たちは2年半ぶりに里帰りしていました。孫息子は「最後に拝みに行けてよかった」と独特の表現で自分を納得させているようです。
物事には合理的な決断を必要とするときがある、と悟ったかな。