新・遊歩道

日常の中で気づいたこと、感じたこと、心を打ったこと、旅の記録などを写真入りで書く日記です。

コールドスタートの「ふっくら照り煮チキン」

2022年03月16日 | 減塩生活
フライパンを熱してから使うのでなく、フライパンに具材を並べてから火にかけることを「コールドスタート」というらしい(*_*)
きょうの料理で耳にした新しい言葉です。
調理器具が開発されてどんどん進化しているので、調理法も変えてくださいとのこと!なぁるほど!
それが「ふっくら照り煮チキン」です。

①テフロンのフライパンに[チューブニンニク2cm、水1/3C、醤油大さじ2、砂糖大さじ1、 ゴマ油小さじ1]を入れて混ぜ、鶏肉250gをさっと混ぜて並べます。
②穴のない蓋をして中火、沸いたら弱めの中火で5分。
③鶏肉は裏返して、ゆで卵とブロッコリーを加えて、もう一度蓋をして1分。
④蓋を外して火を強めて煮汁をとろっとするまで煮詰めて出来上がり。

初心者向け?というくらい簡単で失敗のない料理。冷えても鶏が柔らかいし、お弁当にもいいそうです。
ゆで卵は沸騰したお湯に入れてから8分のもの。味がついているので、余分に作って煮物に添えたりしています。

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ウォーキングの途中に見つけたこぶしの花。あの純白がいいですねぇ。本物の春がやって来たと確信!
桜の蕾も大きくなって、ふっくら感が希望を誘います。歩きながら陽気が増幅して「今日はさくら餅を作ろう!」

結局、作ったのは夜になりましたが、10個作って冷凍しておきました。

歯を磨いたあとだし、夜食は敬遠して明日のおやつです。
次は道明寺粉で作りたいな。




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佐藤雫『言の葉は、残りて』

2022年03月15日 | 本・新聞小説
ロシアの一方的なウクライナ侵攻の悲惨な映像が流れます。仲介者を立てても話し合いが進みません。
妊婦さんが、子供が、体の不自由な老人が、涙しながら子供たちの死に直面する医師が、看護師が・・・。どれほどつらい場面に涙しても、テレビの前ではただ終息を祈るしかありません。これが、核の影におびえる現代の戦争です。

同じ日、胸に突き刺さる映像が流れました。「あの日」が代名詞になった東日本大震災です。11年経った今でも鮮烈な映像にただ涙するばかりです。被災者の癒えない苦悩の表情に、まだまだ復興は程遠いように思われます。
ある日「原発」の名の元に突然住居を追われる。ふるさとに帰れない苦悩、帰らないという選択の苦悩.....。避難指示区域の人たちの苦しみはあまりにも大きすぎて自分の身に置き換えて想像することすらできません。

震災が起きた時、あの惨状にできることは心を寄せることぐらいでした。しっかりと心に決めたことは「3年間震災の寄付を続けよう。年金支給日毎に、自分で少し大変と思う金額を福島県の自治体に」でした。少しでも除染の手助けになればと願いながら。
寄付も3年目ともなると、郵便局のカウンターには専用の振込用紙が無くなり手書きに。局員の方も戸惑っていました。もう忘れかけられている......とその状況に返って辛い思いをしたのです。
大地を除染する・・・・、気の遠くなる様な大変な作業ですが、理不尽に故郷を失った人たちを早く元に戻してほしいと切に願っています。

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大河「鎌倉殿・・・」にこの先登場するはずですが、源実朝を中心に描いた本を読みました。佐藤雫『言の葉は、残りて』(小説すばる新人賞受賞作)です。

実朝に関しては、優れた歌人であり、後世にも高く評価されていること、若くして甥で猶子の公暁に暗殺された悲劇のことぐらいしか知りませんでした。

藤原定家と交流があり、定家の奥義書まで送られたことを何かのドラマで知りずっと気になっていて、もっと深く知れたらという時にこの本に行きついたのです。
政治の中心は鎌倉に移ったといっても、まだまだ文化の中心は京都。実朝には武は似合いません。武芸より文芸。周囲は心配しましたが、実朝の心は京の雅に向いていました。
京都で認められるためには「官位」が必要です。急ぎすぎるくらいに次々と官位を求めました。正室も、望んで後鳥羽の従妹の信子です。

信子の手びきで紀貫之の『やまと歌は、人の心を種として、よろずの言の葉とぞなれりける』を知って、より和歌の魅力に傾倒していきます。
過去の展覧会にこの序が出ていたのを思い出しました。
「古今和歌集序」、国宝です。3年前に九州国立博物館で見ていました。

後鳥羽勅撰『新古今和歌集』が届くと、そこに入集された父・頼朝の歌が出ています。信子の『御父上様は武家の棟梁でありながらも、言の葉で人の心を動かす力に優れていらした』という解説に、知らなかった父の意思を確かに読みとり心を動かします。

さて、実朝は天然痘にかかりますがその危機を脱し、心優しき信子との絆を深めていきます。
2代将軍の死因への不信、頭角を表した敵対する御家人同士の策謀、武士としての器量を責められる実朝、後継への口出しなどに苦悩する実朝を信子は支えました。共通の和歌の心も支えになります。

実朝がようやく自立の心を持ち政への関心を増すにつれて、それを阻もうとする「誰か」の気配を感じます。

実朝が心を許している義時の嫡子・泰時から「式目」という言葉を耳にします。言の葉で式目を残す形は、実朝の言の葉で政治を動かしたいという気持ちと一致します。
この貞永式目ができるのはすこし後の執権・泰時の時代になりますが、著者は実朝の心も反映させているのではと思います。

実朝が自信をつけ始めこれからという時に、鶴岡八幡宮で甥の公暁に、行列の最中にいわば公然と暗殺されます。
公暁が叔父・実朝を暗殺するに至る心の変遷が詳しく描かれており、同時に実朝を取り巻く鎌倉殿の状況からもはかり知ることができました。
頼朝も兄弟を容赦なく切り捨てていきました。義時も父時政を追い落とす冷淡さ。政子も北条を守るためには冷淡さを表わします。実朝暗殺も同じ血が同じ血を成敗する・・・。
暗殺の詳しい背景がいまだに諸説あるのは、いかに執権、御家人の思惑と行動が複雑極まりなかったかを表しています。

静かな最終章が、読む者の無念の心を静めてくれます。実朝が亡くなった後、京に戻った信子と藤原定家が実朝の歌についてやり取りする場面です。
実朝の歌を集めた「金槐和歌集」のタイトルの深い意味も分かりました。27歳で亡くなった実朝、言の葉はこの美しい歌集として残ったのです。

福岡市美術館の松永コレクションに伝・源実朝「日課観音図」があります。
線のタッチがのびやかで力強く、簡素ながらやさしい表情の観音様を描きながら、実朝は何を思い、何を願ったのでしょうか。





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カルボナーラがやっぱりいいかな···

2022年03月13日 | 食・レシピ
昨日のキノコのクリームパスタ、リベンジをと思いましたが、やっぱりカルボナーラにしました。
手順と時間に気を遣うけど、それだけのことはあるかな。

今日のお昼ごはんですが、これで1人分690Kcal、塩分2.8gとなります。
う~ん、パスタ類は仕方ないかなぁ。
昨日の残り物に、ビーツとアスパラガスを添えて素知らぬふりの焼きサラダにしました。




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♪ミキサーとマッシュルームが決め手「クリームソースのパスタ」

2022年03月12日 | 食・レシピ
今日のお昼ごはんですが·····。

「気を遣うクリームソースが簡単にできます。ミキサーを使ってとろみをマッシュルームでつけるのです」という言葉を信じて。

これでパスタを作れば、いつものトマト味から卒業できるはず·····でしたが。
こんな風に出来る予定でしたが····。

マッシュルームをホワイトでなくブラウンにしたのが間違い?
ブラウンの方がホワイトより価格が1.5倍だし、香りがいいのでてっきりこちらが美味しいだろうと浅はかな思い込みでした。

出来上がったのはこれ!蕎麦ではありません(^_^;)
でも味は上々。トマト味と目先も変わります。
次はホワイトマッシュルームを使います。


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『カムカム···』ついに錠一郎がトランペットを手に取った!

2022年03月11日 | テレビ番組
あのままでは終わるはずがない···と思っていた錠一郎。ついにトランペットを手にしました。

実は半月ほど前、『カムカム』の音楽担当の金子隆博さんが朝のラジオ番組に出演されていて「詳しくは語れませんけど、錠一郎はあのままでは終わりません」と語っていたので、ずっと待ってました。明日の展開が楽しみです。
音楽担当は大まかなドラマの筋だけで作曲するとか。全編だから膨大な数の作曲のようです。やはり超人です。

金子隆博さんは沢山の肩書きを持つ音楽家。米米クラブのメンバーです。
衝撃的だったのは、金子さんは2005年頃からサクソフォンを吹こうとすると筋肉が収縮したり硬くなったりし、サクソフォンが吹けなくなってしまう「局所ジストニア」を発症したのだそうです。当時は病名すらなく、かなりあとになって病名を知ったそうです。
この理由でサクソフォンを休業し、ピアノを猛練習しキーボードを主に作曲、編曲、音楽プロデューサー、指揮者として今の大活動に至っているそうです。
病状も、病名が分からないこともあの錠一郎とそっくりです。

そういえば著名な音楽家で、ピアノが弾けなくなった、バイオリンが弾けなくなったと聞いたことがあります。その2人は今は正常な活動をされているので、きっと治ると期待していました。

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昨夏に枯れかかったマーガレット。たまたま「花ぐるま」さんから挿し芽を教わりました。
この猛暑の中に育つ???と不安でしたが、かろうじて1本だけが生き残りました。
沢山の蕾をつけています。酷暑を乗りきっただけあって茎が強靭?です。

感謝の「花ぐるまーガレット」です。


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セロリの葉の混ぜご飯

2022年03月10日 | くらし
セロリの葉と塩だけのシンプルな混ぜご飯。大げさに混ぜご飯と言うほどのこともないけど、ずーっと以前からの大好きなメニューです。
耳鼻科の待ち時間にすることもなくブログアップです。

セロリの葉を混ぜる、多分NHKレシピでした。
セロリを買うのは、葉の方が目的でしたが、この前、セロリスライスを常夜鍋の最後に入れてポン酢で食べたら、とてもとても美味しかったのです。




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「ピーマンとクルミとちりめんじゃこのきんぴら」

2022年03月08日 | 食・レシピ
ピーマンのレパートリーが少ない・・・、心の目はそれを補うレシピを無意識に求めています。
こんなレシピを見つけて早速作りました。

①フライパンにゴマ油を入れて中火で熱し、クルミとちりめんじゃこを炒めます
②クルミに艶が出てきたらピーマンを加え、しんなりしてきたら《酒大さじ1、砂糖小匙1、薄口しょうゆ小匙1》を加えて炒めます。水分がなくなったら器に盛り、白ごまを振ります。

くるみが入ることで新鮮な味になりました。
ピーマンが切れたので、ちりめんじゃことくるみだけで作ったら佃煮みたいになりました。ご飯にもお酒にも合います。

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給食当番のお仕着せの白いエプロン。1週間の当番が済んだら洗濯してアイロンをかけて次の人に渡す・・・。白色は少し黄ばみ、悲しいくらい生地も薄くなります。
ところが、来新学期からエプロンは各自で用意することになったらしく、エプロンと三角巾と袋をセットで作って欲しいと娘からラインが入りました。
今時のキッズの色と柄は、私の考をはるかに越しています。チャーコールグレーか黒がいいと。え~っ?
自宅での手伝い用にしてもいいし、まずは試作品を作って送りました。
久しぶりのミシンがけは、素人ながらもいい気分転換になりました。

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飲み込む、飲み込む、食器乾燥器

2022年03月07日 | くらし
今朝の、ずらっーと洗い物。でも食器乾燥器があるから気になりません。後片付けの度に感動します。

今朝の食器、この量を乾燥器は全部「飲み込みます」。

本来は縦に並べて立てるようですが、上手に入れれば28センチのフライパンもOK。30分あまりで乾きます。
食器を拭くのが苦手で乾燥器を使いはじめて30余年。だから台ふきんはあっても、食器用のふきんはありません。キッチンタオルはあります。1万円足らずの、今では絶対に欠かせないキッチンのツールです。
 
乾燥させている間に、鶏そぼろを作りました。午後からボランティアが入っているので昼食作り。
6人分だから、残りは冷凍庫に。残りが4人分で2食分助かります。



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大崎善生『将棋の子』講談社

2022年03月06日 | 本・新聞小説
自由、民主、人権、平和・・・人間が尊いものとして追求してきたものに、過去の独裁主義で対向し核までちらつかせて地球を震いあがらせる・・・。国外に避難する120万の人の列、これが21世紀の今起こっている現実です。
政治家、学者、知識人、マスメディア、市民が自由に発言し、誰もが情報を得るのは当然の日本ですが、情報が遮断されているロシア。プーチンさん支持が62%だって。正しい情報を届けたい!!!
過去に日本にもあったけど、情報操作は怖い!正確な情報が届かないと正常な判断ができず、とんでもない方向に取り返しのつかない所に行ってしまいます。


頭の片隅にずっと居座っている不安。逃れるには本がいい・・・。開いたのは、借りた本の二冊目、また将棋関連のノンフィクションです。

これも息をもつかず一気読み。棋士になるための「奨励会」には、無知な私にもそれほど心を掴む凄みがあったのです。

奨励会は、帯の『奨励会の厳しさは、産まれた川に命をかけて帰っていく鮭の姿に似ているかもしれない。6級という稚魚は一斉に川に放たれ、よろよろとそれでも懸命に海を目指して泳ぎ始める』『そんな彼らがまず出くわすのが21歳までに初段という関門である。そこをくぐり抜けた者だけが、自分が生まれた川に戻り遡上することを許され』て、さらに「26歳」という数字の非常な鉄の壁に立ち向かう、というのが端的に表しています。

プロローグは雑誌掲載の小さなモノクロ写真の解説から始まります。
『一人のセーター姿の青年ががっくりと首を落として座りこんでいる。場所は東京将棋会館4階の廊下の片隅である』。
奨励会の過酷な三段リーグの最終局に敗れ、26年の将棋生活に決別を覚悟した中座誠(ちゅうざまこと)は靴箱の前で帰り支度を始めます。そのときに「他の二人が負ければ、中座さんに上がり目があります」と声をかける人が・・・。
実際その通りになり、中座の全く予期していない四段昇段が確定したのです。その現実に腰が砕けその場にへたりこんだ姿がそのモノクロ写真だったのです。
『わずか一時間前までは挫折感や後悔や、容赦なく襲いかかってくる様々な感情を封じ込めようと懸命に唇を噛んでいた青年が実は勝ち残っていた、それはあまりにも残酷で皮肉でそれゆえに神々しい瞬間の映像』で、多くの人の心を震わせました。

「勝つも地獄、負けるも地獄」と呻吟した棋士がいました。仲間は苦労を共有しているだけに、勝っても心底喜べない苦しさ、それは紛れもなく奨励会三段リーグの厳しさの現実を的確に表現したものでしょう。


雑誌「将棋世界」の、長年編集長を務めた著者は、どうしても書かなければならないことがあると退職を決めます。
それは将棋棋士を夢見ながら志半ばで去っていった奨励会退会者たちを書くことでした。それがこの『将棋の子』になったのです。

本の裏カバーに『奨励会・・・。そこは将棋の天才たちがプロ棋士を目指して、しのぎを削る"トラの穴"だ。しかし大多数はわずか一手の差で、青春のすべてをかけた夢が叶わず退会していく。途方もない挫折の先に待ち構えている厳しく非常な生活を、優しく温かく見守る感動の一冊。』の紹介文があります。
第23回講談社ノンフィクション賞受賞作です。やはり将棋の『聖の青春』の著作もあります。


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「無塩せき」ベーコンとは

2022年03月05日 | くらし
「無塩せき」とは塩分を使わないという意味でなく、原料の豚肉を塩などの調味液に漬け込む課程で、「亜硝酸ナトリウム」などの発色剤を使用しないことです。

これは無塩せきベーコンですが、市販のものは商品の裏に、原材料の一覧の中に「/」で区切り、その後が全部添加物です。
発ガン性があることは聞いていましたが、厚生省が認可しているのだからと摂取量にだけは気をつけて使っていました。

それが夫のクリニックからのメモに、避けるべき食品の中に「亜硝酸Naを使ったもの」が含まれていたのです。
となると、知らないふりして使うのが気が引ける···。
ということで、今ではベーコンとは生協のものを使うようにしています。発色剤を使わないハム、ベーコン、ソーセージは色が悪く化粧前まえの顔???だけど安全。

今日のお昼に使ったベーコンは140gですが、安心して使いました。
リゾットとほうれん草のスープにも入れています。

市販のもの。「/」の後が添加物で「亜硝酸Na」も出ています。




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地獄の淵の「奨励会」の三段リーグ・・・

2022年03月04日 | 本・新聞小説
将棋には全く無縁な私はメディアを賑わす羽生さんや藤井さんの華やかな表の知識があるくらいでした。
サークルの仲間からこの本が回ってきて「将棋はわからないから」とパスしかかったときに、先にこの本を呼んだ友人の「面白かった!何回も涙が出る場面があった」という感想に、「それでは・・・」と未知の分野の開拓のつもりで借りた本です。
ところが面白くて止められず、ちょうど一日中雨ということもあり一気に読んでしまいました。

まず「奨励会」。これには昇段規定があり、一段ずつ登って三段になると、鬼の三段リーグが待っています。30~40人が半年かけて18局のリーグ戦を戦います。その内上位2名のみが四段に昇段し「棋士」になります。26歳が年齢の壁。このとき四段になれない場合は「退会」という鉄の掟があります。

★瀬川晶司『泣き虫しょったんの奇跡』講談社文庫
(カバーが2枚もかけてあったのは、映画化されたからです)

瀬川棋士(6段)の激動の半生記です。物語の始まりは、61年ぶりに実現したプロ編入試験将棋の第1局に敗れた時の記者会見から始まります。1局に敗れただけで30社の記者会見がなぜ行われたか・・・。この答えは、その数十年前から始まった著者のプロ棋士への困難な長い長い道のりの物語にあります。

将棋の世界は間口は狭くともあまりにも奥が深くて、裏表紙に書かれた紹介文をそのまま載せておきます。
『あきらめなければ夢は必ずかなう!中学選手権で優勝した男は、年齢制限のため26歳にしてプロ棋士の夢を断たれた。将棋と縁を切った彼はいかにして絶望から這い上がり、将棋を再開したか。アマ名人優勝など活躍後、彼を支えた人たちと一緒に将棋界に起こした奇跡。生い立ちから決戦まで秘話満載』

とても心に残っっているのは、5年生の時の担任・苅間澤大子先生との出会いです。それまでの4年間は自分の意志で何かをしたこともなく、成績も冴えない自信のない子でした。40歳過ぎの先生が生徒の自己紹介の翌日には全員のあだ名と名前を覚えていたこと、実験や算数の分数計算に用意されたお菓子は最後に生徒の胃に収まったこと、職員会議で問題になっても全く気にしないこと、保護者向けの学級通信を毎日発行したこと、どんな目立たない子でも必ず通信のエピソードに登場させたこと、等など5年生の子供は先生の公平さをちゃんと見抜いていました。

些細なことでもとにかく子供をほめたこと。これがどんなに子供に意欲を持たせるか、瀬川少年(セガショ-)は5年生で密度の高い1年間を送ることになります。
苦手な作文なのに先生に「才能があるね」と褒められて、突然熱い血が通い始めた感覚を持ちます。作品をほめられた僕が生まれて初めて「書きたい」と思って書いた作文が家族をも驚かせるほどの力作になったのです。

不思議なことに詩や作文をほめられた僕は、ほかのことに対してもやる気が出てきたのです。ある時先生はモジリアニの絵を逆さまにして模写させたのです。クラスで一番よく描けていたのが僕でした。
『逆さまの世界では、普段の絵の得手不得手は関係なくなり、ただ絵をよく見ることが求められた。そしていまにして思えば、何かをよく見ることに、僕はこの頃から少し長けていたのかもしれない』。国語だけでなく少年の成績は飛躍的に上がりました。

ある日、突然にクラスに将棋ブームが起こり、クラスでも強い方になっていきます。先生は『セガショーが強いのは、将棋に熱中しているからよね。勉強じゃなくてもいい、運動じゃなくてもいいのよ。どんなことでもいいから、それに熱中して、上手になったことがある人は、いつか必ずそのことが役に立つ日がきます。そういう人は間違いなく幸せをつかむことができます』『だからね、セガショー。君はそのままでいいの。今のままで十分。だいじょうぶよ』

僕が2学期中のホームルームの目標に将棋大会を提案したものの、女子はほとんど将棋ができないのです。『何とかしなさい、セガショー』の先生の要求に、放課後の教室で駒コマの動かし方から教え続け、遂に全員参加の将棋大会にこぎつけました。もうリーダーシップのある瀬川君・・・になっていました。先生の、目にも見えない子供の小さな才能の芽を見逃さず、掘り起こし、誉める、誉める、誉めることの大切さが人間を育てたのです。

父親から『好きなことを一生懸命にやることはいいことだ。だけど運動もした方ががいいぞ』の一言。4年生までの僕ならそのまま聞き流していたはず。しかし「僕、これから毎日2キロはしる」と宣言し実行します。将棋に夢中になってからの僕は、4年生の時の僕とはまるで別人のようになりました。

『5年生の一年間で、子供も親も、大きく変わったということだ。たったの一年だったとは思えないほど、苅間澤先生と過ごした一年間はたくさんのものを与えてくれた。それは僕だけでなく、あの教室にいた子どもたちすべてが感じていることなのだろう』。

奨励会の3段リーグに失敗して、鉄の掟の26歳という年齢制限で将棋界から引退に追い込まれた僕。それから大学、会社勤め…、なのにまた性懲りもなくプロ入りの試験将棋を行う嘆願書を出し、マスコミをも巻き込む挑戦をしました。その1局目がいきなり負けてしまった……。
その重圧に押しつぶされそうになっていた僕を救ってくれたのが、舞い込んだ一枚のドラえもんのハガキでした。ドラえもんの絵の上に書かれた文字は『だいじょうぶ。きっと良い道が拓かれます』。差出人はひらがなで「かりまさわひろこ」。
『嗚咽でのどが震え、文面が涙で見えなくなる。それをぬぐっては何度も読み返す。そのたびにまた、新しい涙があふれてくる。そうだった。すべてはこの人のおかげだった』。
25年ぶりに、先生は僕が大好きだったドラえもんにメッセージを託し、励ましてくれたのです。「だいじょうぶ。きっと良い道が拓かれます」と。
『先生に教えられたことをすっかり忘れていた。いつの間にか僕は僕でなくなっていた。僕は僕に戻ろう。僕は僕でいいのだから。心にできた固い岩を解かしきるまで、僕は泣き続けた』。

25年ぶりに先生からもらう「だいじょうぶ」。『何が何でも勝たねばならないという強迫観念にとらわれ、自分を見失っていた僕は、少学5年生の時と同じように、すべてを肯定されることで救われた』のです。『僕は僕のままでいい。試験がどんな結果になろうとも、それが僕にとって「よい道」なのだ。先生はそう言っているのだと思った』。

『先生はハガキに自分の住所を書いていなかった。返事の気遣いをさせまいとする配慮からだろう。それでも何とかして夢がかなったことを報告したい。そして心からお礼をいいたいと思っている』

後日譚として、最後のほうに苅間澤先生のことが出てきました。プロ試験に合格した後、先生にお礼の手紙を出したけど返事がなかったとのこと。代わって出版社の人が訪ねると『瀬川君にとって私は過去の人。そんなことに気を遣うより、ほかにやるべきことがあるはずです。夢を手にしたあとは、夢を本物にするためのつらさや苦しさがあるのだから』と。
実は先生も、35歳で教師になられたとのこと。結婚しても夢があきらめられず、30歳過ぎて大学に通いはじめ、35歳で教員試験に合格したのだそうです。
『先生は毎日、夢をかなえた喜びを感じながら教壇に立っていたのでしょう。だから先生の授業は、僕の心にいつまでも残っているのでしょう。そんな先生に出会えた僕は、幸せです』。

これだけでなく、息詰まるような「奨励会」の競争と友情。幼馴染の将棋のライバルとの交流等、どれをとっても迫力があります。湿っぽくなく駒を指すときのような乾いた響きの感じがするおすすめの1冊です。

読んだ感想はまず、文章が分かりやすく上手いと言うことです。てらいがなく、直球と言うところかな。グローブにバシッと快音が響く感じです。
ちょっと長いブログになったのは、久しぶりにパソコン入力したからです。


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「141 : 5 : 35」

2022年03月03日 | 食・レシピ
国連総会ロシア非難決議は賛成多数で採択されました。棄権が35も・・・。法的制裁はないのが残念ですが、国連の採択は厳かなものです。プーチンさんはこの数字に反応して欲しい!!!
建物の破壊、爆撃で運び出される市民。命を落とした子供。映画でなく、今、現実に起こっていること。同じ心をもつ人間の仕業です。
一週間でウクライナ100万の市民が国外避難!!想像を絶するものですが、ウクライナ問題には日本政府も国民も正面から向かい合っていると思います。日本政府もウクライナからの避難民を受け入れると宣言、よかったとほっとしました。

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冬季限定「ちぢみほうれん草」

知ってはいましたが、形からして縦にでなく横に広がるって、生き物みたいでチョッと敬遠していました。季節限定の野菜なので思いきって使ってみました。
意外に味が濃く、アクがなく、茎は糖度が高い。葉が柔らかいので、さっと炒めるだけで美味しいです。それに安い!

「ちぢみほうれん草とミニトマトのスープ」です。





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