<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
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大阪道修町というと、武田薬品や塩野義製薬、大日本住友製薬といった世界的な製薬会社が本社を並べる薬の街だ。
江戸時代から大阪船場を代表するエリアなのだが、ここになんと、「明太子食べ放題ランチ」の店があるというので、さっそく取引先の部長さんと一緒に食べに行くことにした。

東西に通じる道修町の通りと南北に貫く堺筋との交差点に重要文化財にもなっている(と思う)コニシボンドの本社がある。
目的の店はそこから西に1ブロック歩いたところにあった。
こんなところにこういう洒落た食べ物屋さんができたのも、現代大阪の街なのだろうか。

大学を卒業したあと、私は今で言うフリーターをしていた。
私はそのままそこで正社員になってしまったのだが、その会社の事務所があったところがこの付近で、私にとって長年の親しみのあるエリアだ。
その会社の事務所は道修町から2つ南の淡路町というところにあったのだが、当時はこういう「明太子食べ放題」な店など当然無く、事務所の近くでご飯をたべる時は、ビルの1階にあった喫茶店でハンバーグ定食などを食べるのを常としていた。
当時こういう明太子食べ放題の店があったら、迷わず訪れていたことだろう。

さて、肝心の明太子食べ放題の店は、綺麗な料亭風の外観であったが、中は普通より綺麗めの居酒屋さんなのであった。
評判がいいのか、多くのビジネスマンやOAが次々と訪れている。

ランチのメニューはいくつかあったのだが、私は「豚のしょうが焼き定食」を注文した。
ちょっとボリュームのあるものを食べたいと思っていたのと、明太子の味に負けない濃い味を求めたことも選択理由にある。

注文は入ってすぐにあるレジで先に済まし、指定された場所に座るシステムになっていた。

豚のしょうが焼きに限らずランチのほとんどの価格が980円に設定されていた。

980円のランチといえば大阪のランチでは高額の方だ。
大阪の飲食店の件数は人口比率で日本一。
従って競争力も激しいので価格も低く抑えられている。
正直、東京の都心と大阪の都心を比較すると、同じグレードでは大阪のほうが安価だと思う。

しかしこの店のこの価格には「明太子食べ放題」が含まれることを考えると、「安い」と云わなければならないだろう。

でも、もしかすると明太子食べ放題ということは、その反動で生姜焼きがショボイのではないかという恐れがあり、それを心配する私でもあった。
運ばれて来たお盆の上を見ると、その心配は不要なものであったことがわかった。
生姜焼きも十分なボリュームがあり、それだけでも十分なガッツリとした定食になることは明らかでだった。



さて、お盆の上を見ると生姜焼きの他に味噌汁やご飯は載っているが、目的の明太子がない。
明太子がなければ、この店に来た意味が無いではないか。
「食い放題」と聞いてきただけに、もしそれがなかったら何をしにきたのか分からない。
ラーメン屋の「キムチ食べ放題」とはグレードが違うだけに問題だ。

「明太子はここですよ」

と一緒に食べに行った取引先の部長が指し示したのはどんぶり鉢と呼ぶには少し小さいが、それでも十分な大きさを持った陶器の入れ物で、明太子は、その鉢の中にたっぷりと入れられていたのだ。
そして専用の摘みで好きなだけ取ることができるようになっていた。

「おお。明太子.....たっぷりですね」

満足感いっぱいの私は熱々のご飯の上に、タップリと明太子を乗せたのは言うまでもない。



それにしてもこんなに凄い店を営業しているなんて「さすが船場の商人は違う」と感心した。
しかし、店を出てよくよく見てみると入り口には「やまや」の提灯がかかっていた。
なんとここは福岡の博多明太子の大手やまやの経営なのであった。

船場なのに、江戸時代は大阪商人の強力なライバルであった博多商人の店なのであった。



ともかく、明太子と生姜焼き、ご飯のおかわりできるとなれば、これは凄い。

「ああ、美味しかった。また行きたい!」

久しぶりに美味しく、リピートしたい店が見つかった瞬間なのであった。
ちなみに来週22日、23日は道修町の神さん「少彦神社=神農さん」のお祭り。
できればこの日にでも行きたいと思う食いしん坊な私なのであった。



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