A&Wは沖縄にしかないファーストフードだ。
この会社のHPによるとA&Wは米国カリフォルニア州で1919年に開業したドライブインスタイルのレストランだったようだ。
これが沖縄へ上陸したのは米国占領下で琉球政府時代の1963年。
奇遇にも私の生まれた年。
以来アメリカ生まれのファーストフードとして日本国内では沖縄本島にだけ展開している沖縄限定のファーストフードなのだ。
店の構えは実にアメリカン。
映画「アメリカングラフィティ」のセットを模したUSJのレストランMel's Drive-inによく似た雰囲気だ。
沖縄の人はUSJへ行かなくてもアメリカングラフィティな世界を堪能できるというのは、なかなか粋である。
ドライブスルーもアメリカ式で、ガソリンスタンドの給油機のように並んだメニュープレートの前に自動車を駐車してオーダーし、乗ったまま運ばれてくるのを待つシステムになっている。
これも大阪や東京では遭遇しない形式だ。
大阪や東京ではたったひとつのオーダー窓口に長い縦列を作り出して順番を待つ仕組みになっているが、アメリカンスタイルの沖縄は、本土に比べて余裕があり羨ましい限り。
でも、よくよく考えてみると、先の戦争のツケの多くを戦後担っているわけで、その影響はA&Wのようなプラスの要素もあれば、現在もなお揉めに揉めている米軍基地の存在のようなマイナスとも何とも言えない要素も残っている訳だ。
モーニングメニューのハムチーズサンドセットを食べながら複雑な感慨に浸っていたのであった。
それにしても、マクドナルド東京上陸の7年も前に沖縄にファーストフードが登場しただけに、店の中も年配のお客さんが、しかも一人でたくさん来ているのには驚いた。
おじいちゃんが一人で新聞読みながらサンドイッチを食べている姿は本土では少ない。
私たちの世代が爺ちゃん婆ちゃんになったときは、こういう光景が日本全国に広まるのかも知れないと思うと、面白くもあり寂しくもありという感じだった。
沖縄ブレックファーストに満足し、車をさらに北に向けて走らせた。
正確には北西に向け走らせた。
沖縄本島の名護市からは半島が西にポコッと出ていて、私の目的地「海洋博記念公園」はこの西の先っぽに位置しているのだ。
ここで国道58号線から離れるのだが、名護市にも見所はたくさんあるようで、私はそのほとんどを訪れずに通過してしまったが、例えば、名護市役所庁舎だけとってみても見応えのある建築なのであった。
運転する車窓からちらっと見ただけなので、詳しくは語れないが、コンクリート梁、外壁に独特の岩を張り巡らせたようなディテールがあり、まるで琉球王朝の城郭のような雰囲気だ。
それに各所に鎮座しているシーザーの姿が実にこれ、麗しいのだ。
しかもその市庁舎の向かいには緑豊かな公園が広がり、その先はもちろんエメラルド色の海が広がっていた。
公園ではスポーツを楽しむ人々の姿がまるで、どこか外国の美しい景色を見ているような錯覚をもたらす。
「沖縄は日本の宝石だ」
と文章に書いてある小雑誌に投稿したら掲載されたことがあったけれども、まさにその宝石のような景色が目の前で展開していたのであった。
釣り人の姿でさえ、どこか輝いて見えるのであった。
つづく
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