関空のターミナル2はLCC専用ターミナルとして最近オープンしたばかり。
関空にはピーチエア、エアアジアなどいくつかのLCCが乗り入れているが、今のところここはピーチエア専用のターミナルになっていて他のエアラインは使用していない。
従って出発ロビーもピーチ一色。
電光掲示板はほとんどない。
ピーチの各ダイヤはインクジェットプリンターで印刷された大型のポスターのみで節約ムードはなかなかである。
まるでTOHOシネマズのロビーに掲示されている上映時間の案内みたいだ。
映画館のほうが立派なのはモニターがあること。
ここは案内ポスターだけで全てをこなしている凄いところなのであった。
殆ど無いといえば広告もほとんどない。
今時どこでもそうだが、駅や電車内での広告掲示は極端に減っていて、東京でも大阪でも電車を待っていると「広告募集中」と書かれた無地の看板が多くを占めていることに気がつくのだ。
ここターミナル2でははじめからそのような広告を掲示する設備は設置せず、白い壁に若干の絵といったシンプルなインテリアになっているのだ。
そもそも関空のターミナル2はこんなLCC専用になるはずではなかった。
少なくとも20年前は。
ターミナル2は駅とエアロプラザを挟んで反対側にターミナル1と同じデザインで建設されるはずではなかったかと記憶する。
1棟のターミナルビルとしては世界最大と云われる関空の建物を2つ作るというのは、そもそも無謀な計画であって役人根性むき出しの赤字垂れ流し、国民負担増のメイワク予算の何者でもなく、ついに完成に至ることはなかった。
月日はめぐり、開港以来20年近く経過した今になって、やっと別の形でハブ空港としての存在感が増し始め、時代の流れに応じた外観が倉庫のようなターミナルビルが完成したわけだ。
計画は必ずしも計画通りに行かないというシンボルが関空なのかも知れない。
「宿題せなあかんから、朝4時に起こして~」
と言って寝て、実際に4時に起こすとなかなか目覚めることが困難で、
「ええかげんに起きなさい!4時に起こしてって言うたんはアンタでしょ!」
と叱られている娘には、思い通りに進まない計画例として関西空港は恰好の参考事例になるかもしれないのであった。
そもそも、このターミナルの建設が始まってからずっと、私は外観だけしか見ていなかった。
たまに関空まで気分転換でコーヒーを飲みに来たりヒコーキを見に来たりしていた私も建設中のターミナル2に近寄ることもできず、オープンしてからも、なかなかそんなところまで足を延ばすのも面倒だったので、いつも東京へ向かう、あるいは関空に戻ってくるANAのヒコーキの中からしか見ていなかった。
だからターミナル2については、
「お、倉庫みたいな建物やな」
というのがこれまでの感想であった。
今回実際に中に入ってみると、単に倉庫ではなかった。
当たり前だが、ちゃんとした空港ビルになっていたのであった。
共用のロビーにはプロント、銀座ライオン、セブン-イレブン、お土産物屋がちゃんと入っていて非常に美しい。
新しいだけに少なくとも伊丹空港のボロっちいターミナルよりは遥かに美しかったのだ。
保安検査所をくぐってからの出発ゲート前のロビーはさらに洗練されていた。
ソファーはターミナル1と同じデザインではなく、カラフルな四角や丸のフラットソファの他に、小さなテーブルを備えたチェアが並んでいてビジネスパーソンの期待に応えるインテリアになっていた。
土産物売り場もしっかりしていてターミナル1と遜色はない。
但し、カフェテリアのようなものはなく、自販機か売店で飲み物やパンのような軽食を購入する様式になっていた。
前述のように、GWの混雑と、ピーチエアというLCC独特の朝の事情のためにここへ到着したらすぐに搭乗手続き開始だったので、十分に中を観察することができなかった。
とっても残念なのであった。
なお。外から見たら殺風景なターミナル2には和風な中庭があり、出発前のリラックスムードを巧みに演出するという「お金かけました」というターミナル1にはない、ローコストさながらの工夫が施されていたのが印象的であった。
このターミナル2にはボーディングブリッジは備えられておらず、客は飛行機まで歩いて行かなければならない。
私はターミナルビルの通路を歩いていて驚くべきことを発見してしまったのであった。
何を発見したのかというと、長~い通路にはエアコンが設置されておらず、GWの今時は結構なのだが、夏の暑い盛りには大変な環境になるのではないかと、少々ビビったのであった。
ロビーと違って通路部分はさすがに鉄骨ALC構造そのままで、エアコンをつけると電気代もばかにならないため、極めて簡素な作りになっているのだ。
窓もなくエアコンもない。
天井はV型の天井材そのままで、断熱材の入っている様子もない。
ある意味、真夏にこのターミナルを利用することはブログネタとしても楽しみなものがあった。
建物の外に出るとそこはピーチエア天国。
各方面に向かうピーチエアのA320型旅客機が何機も並んで壮観であった。
私も自分の乗る仙台行便に向かって爽やかな海風に吹かれながらエプロンを颯爽と歩いて行ったのであった。
つづく
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