
松島海岸駅前にある観光案内所で松島の観光地図をもらって海岸に向かって歩きはじめた。
駅前はもちろん海岸まで人が多く、駅前の国道は大渋滞になっていた。
GW。
当たり前だが電車できてよかった。
この付近にはマリンピア松島水族館というのがあるそうで、多くの家族連れやカップルがそちらの方向に向かって歩いてる。
私はというと水族館にはよらず、観光船の船着場に向かってあるくことにした。
沖縄の海洋博博記念公園を訪れた時も水族館には立ち寄らなかった。
沖縄の場合、かの有名な美ら海水族館なのだったが、
「ここへ入る時は家族と一緒。とりわけ娘も一緒」
という、私らしくない考え方が頭をよぎり、水族館をパスしたのであった。
が、ここ松島水族館も少なからず同様で、水族館のような人が群れてとんでもない状態になっているところは避けることにした。
遊覧船に乗りたいという気持ちも、なんとなく時間もなかったのだが、海を見たかったのだ。
松島といえば、
「ああ松島や、松島や」
という訳のわからない句があるけれども、この光景はなかなかよろしい。
関西人の私にとっては、
「お、なんとなく瀬戸内の光景に似ているな」
となってしまうのだが、さすが日本三景。
もう一時間早く来ていれば遊覧船で島巡りでもしたろうに、仙台駅でグズグズしていたので到着が午後3時を過ぎてしまっていた。
少しく後悔するのであった。
この松島は小さな島が松島湾を取り囲むように望まれ、それが美しい景色を演出している。
「3.11の津波では松島は比較的被害が小さかった」
ということのようだが、この地形がこの景勝地を守ったのだろう。
尤も、津波事態が世界最大級だったので「比較的小さかった」といってもホントは小さなものではなく、遊覧船も津波に飲み込まれ遠い所まで運ばれたらしい。
今ではすっかりそういう惨事の跡かけらもなく、ごく普通の観光地の顔をしている。
傾いてきた陽射しが島々を照らしだしてなんとも美しいところなのだ。
「塩釜行きまもなく出ます_」
というアナウンスで桟橋を見ると大勢の観光客が少し大きめの観光船に乗り込んでいるところだった。
あの船は松島の島々を眺めながら、最終地は南へ少し行った塩釜港なのだ。
これに乗って塩釜まで行き、そこからは電車で仙台へ戻るのがいいかもしれない、と一瞬考えたが、そうすると島々を見るだけでこの辺りをちっとも散策できないまま帰らなければならず、断念したのであった。
それにしても国道の混雑は凄い。
きっと天橋立も一緒なんだろうな、と思っていてふとしたことに気がついた。
ここへは自動車で来て大渋滞を作ってはいけないと気づいたのだ。
なぜなら、JR仙石線はこの次の駅から不通で代行バスがこの国道を走っている。
その国道が大渋滞ということは、駅からバスに乗ったけど、住民の人はなかなか家へ帰れないとか、目的地へ着けないという問題が発生しているということだ。
地震の後の交通被害はいかに苦痛か。
神戸で体験している関西人にはよく理解できることであった。
あの時は阪神電車の青木駅から三宮までどれだけの人々が歩いていたことか。
また、渋滞で動かないバスに揺られていたことか。
観光シーズンだからといって、ここは被災地で交通の便が今も復旧していないわけだから、やはり電車で観光すべきではないか、と素直に思いつつ、
「まさか私はいい子ぶっているのではあるまいな」
と自分で自分を疑いながら再び国道を渡り、瑞巌寺境内へ向かって歩きはじめたのであった。
つづく
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