萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

薫風、白く花ほころび青は萌ゆ

2013-05-10 12:00:46 | お知らせ他
馥郁、繁れる緑に白は咲き、



こんにちは、休憩合間にすみません。

今朝、第64話「富岳8」加筆校正がほぼ終わりました。
ずいぶん遅筆になってしまったターンですが、連休明けの気怠さです。笑
というよりも正直なとこ、森が良い季節なので寄り道したくなるのが本当の理由ですが。



この花が何か解かりますか?
日本人なら誰もが知ってる果物の花です。
これは蜜柑、または夏蜜柑など柑橘の花になります。

ちょっと細かい品種までは自分も解らなかったんですけど。
夏蜜柑なら花と実が同時につく&もう少し花が大きいので、それ以外だろうなって思います。
ひな祭りの歌やリアルだと京都紫宸殿に「左近の桜、右近の橘」がありますが、あの橘=柑橘類って感じです。
この花、見た目はやや地味かもしれませんが、爽やかで深い上品な芳香が綺麗です。

非時香果、ときじくかぐのこのみ。

そう柑橘を昔の日本は呼んでいました。
季節に関係なく香り高い木の実、という意味です。
日本橘と呼ばれる日本原生種は実が小さく酸っぱいと言います、まだ見たことないですけどね。

今でいう柑橘「橘」は不老不死の妙薬とも言われていました。
それは常緑樹=季節選ばずに青々としている様子が豊穣な生命力を想わせた事と、独特の芳香の為だろうと思います。
ちょっと日本橘は未見なので解かりませんが、柚子、夏蜜柑、温州など柑橘の大半は樹木自体から芳香を放ちます。
この独特な香は見慣れていても不思議だなとよく感じます、ちょっと他の樹木には無い匂いだなと。

また科学的根拠でも柑橘はクエン酸やビタミンCを含み、酸化防止による老化抑制と疲労回復の効果があるそうです。
あの独特の芳香も精神安定に働くそうで、ハーブティーやアロマオイル等に利用されます。
視覚、嗅覚、栄養素、色んな側面から不老不死を称える根拠がある花木です。

橘は 花にも実にも美つれども 移夜時じくに猶し見が欲し  大伴家持

橘という木は花も実も美しく見惚れるものですが、暗闇にも香らす立花を夜移っても変らずに見ていたい。

たまに短篇で引用する『万葉集』巻十八にある歌です、特に歌の意味分類は付けられていなかったかと。
訳は万葉仮名に添ってしてみましたが、こうすると相聞歌・いわゆる恋歌だなと思います。
だってね、夜になっても何時も見ていたいなんて、恋人にしか言わないですよね?笑
時も季節もなく美しい橘のように毎晩変ることなく逢瀬を望みたい、
そんな求愛の歌に想えます。

冬でも緑艶やかな葉、朝夕の太陽と似た黄金色の円い果実。
星型の花は闇にも白く輝きます、その高雅な馥郁は確かに神秘的です。



これは既出ですが法鐸草、ホウチャクソウです。
朝or夕暮れになり湿度が上がってくると芳香を放ちます。
トップに貼った針槐とすこし似た感じの、奥ゆかしい清雅な香が優しく艶っぽい雰囲気です。

いま初夏になる森は花と、樹木の芽吹きと若葉の香あふれています。
前の記事にも書きましたが花の色は白が増えてきました、翠とのコントラストが綺麗です。
ちょっと通りぬけるだけでも気持ちイイ季節、ただし朝や夕など人少ない時間は気を付けて下さいね。

下は野生種のバラです。
蕾は薄紅色ですが花は白く浮びあがります。
いわゆる園芸種よりもずっと小さな花ですが、清楚な空気が森の空気と合って綺麗です。
こんな花を茶花に遣っても綺麗だろうな、って思いますが茶人の方いらっしゃいますか?



いつも静かな森だけど連休中は人が多かったです、特にデートって感じの二人組。
去年は山ガールと言う言葉も登場してアウトドアブームが出ましたが、あの名残でしょうか?
でもね、レジャーマット敷いて絡み合ってる姿は美形同士ならOKだけどX細工だと幻滅です。笑
やっぱりね、ラXシーンってヤツは美しい人×美しいアングルじゃないとツマンナイです。
変テコ見苦しいのだと匂いから不細工そうでCMでもツマンナイから拒絶したい。笑
あと念のために記しておきますが、着衣有りだったのでご安心くださいね。

そんな人々の思惑もひっくるめて、森は豊穣に薫る風の時です。







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