I here the Echoes through the mountains throng 廻らす聲

第74話 芒硝act.2―another,side story「陽はまた昇る」
もう夕映えの消えた空、この日没に季の経過をまた知らされる。
歩く街路樹は墨色の陰翳、街燈ゆるやかにアスファルトを照らす。
けれど仰ぐ摩天楼の空はうす蒼い、この無機質に明るい夜空から去年の秋は遠すぎる。
―庭で一緒に『雪山』を見て、雲取山に登って御岳を歩いて、ね…英二?
俤そっと見つめて歩く道、レザーソールが踵を鳴らす。
この足許も一年前は登山靴だった、そんな違いから遠い幸せに周太は微笑んだ。
―あの山茶花のこと好きって言ってくれて嬉しくて…紅葉の奥多摩ほんとうに綺麗で、英二も…綺麗で、
純白の花ふる庭、黄金きらめくブナの森、空を抱く大樹の苔やわらかな緑の時間。
どの一瞬も秋の光彩に輝いた、穏やかな温もりは明るいまま優しかった。
そして、あの笑顔を好きだと見つめて勇気ひとつ抱きしめた。
あの秋は今もう遠くて、けれど信じてしまう。
―大丈夫、いつかまた…そうでしょう、英二?
いつか、あの場所に帰られる。
どこかそう信じてしまう、あの笑顔が大切だから信じたい。
あの笑顔が残酷だった時もある、それでも13年間の孤独すら崩した人だから信じられる。
あの綺麗な笑顔は秘密が多すぎて、時に怖くて、それでも信じているから一ヶ月前あの夢も見た。
『もう、始まったんだ、』
夢だった、けれど声も微笑も記憶のまま綺麗だった。
だから現実と重なるまま忘れられなくて一ヶ月、ずっと考えこんでいる。
英二、何が始まったの?
「湯原、入るぞ、」
低く透る声に呼ばれて思考ひきもどされる。
いま去年の秋から夢を見ていた、その面映ゆさに首すじ隠しながら微笑んだ。
「はい、」
頷いて見た軒先、幾度目かの暖簾を潜る。
この一ヶ月で慣れた席へと座り、メニュー広げる向かい精悍な顔が笑った。
「湯原、またいつものか?」
いつものか?
こんな他愛ない台詞にすら懐かしい時間を見てしまう。
いつも一緒に食事したラーメン屋、あの店で同じ問いかけに笑ってくれた。
『何にする周太、いつものか?』
ほら、また綺麗な笑顔が記憶で咲く。
あの質問は去年の夏から始まった、そしていつも笑ってくれた。
この記憶あるだけ自分は幸せだ、そんな想いごと周太は笑いかけた。
「はい、いつものです。伊達さんは順番通りですか?」
「ローテーションだからな、」
答えながら二重瞼あざやかな瞳が笑ってくれる。
その浅黒い精悍な貌は記憶の人と全く違う、けれど温かい。
―お兄さんってこんな感じなのかな?
ひとりごと心想うテーブルへ茶とおしぼり運ばれてくる。
そのままオーダーを済ませ茶を啜ると穏やかな笑顔が訊いてくれた。
「湯原、明日は大学だったな?」
「はい、奥多摩の山林で演習です、」
予定確認に微笑んで湯呑また口つける。
清しい馥郁そっと喉から温かい、その感覚に息つける。
―よかった、発作の兆候は無いよね…明日は検診だから、
明日、大学の演習合間に検診を受ける。
その結果すこしでも良くあってほしい、そんな願いに伊達は笑ってくれた。
「山は足元よく気をつけろよ、特に北斜面は凍るのも早い、」
どうして伊達が山のことを知っているのだろう?
それが不思議で周太は尋ねた。
「伊達さんも山に登るんですか?」
「ああ、家の畑が山にある、」
さらり応えてくれる言葉に馴染みの顔二つ浮んでしまう。
こんな会話も懐かしい、その親しさに訊いてみた。
「あの、農家をされているんですか?」
「半分は農家だな、」
謎かけのよう応えて笑ってくれる。
精悍だけれど穏やかな笑顔は温かい、そのままに伊達は教えてくれた。
「湯原、同僚には実家や家族のことを訊くな、解かるだろ?」
特殊急襲部隊 Special Assault Team その任務と安全は守秘義務の厳正に保たれる。
隊内において見た事、聴いた事、話した事、全て一切を隊外で他言してはならない。
この他言は家族ですら禁じられている、そして同僚隊員の名前も機密事項として隠す。
そのことは理解して守っていた、けれど隊員同士にまで考え至らなかった迂闊に頭下げた。
「すみませんでした、」
SAT隊員になれば人事書類から削除される。
それほど隊員の存在秘匿が重い理由を知っている、けれど本当の意味で理解していなかった。
―だって恨まれても当り前の任務なんだ、だからマスクで顔を隠して出動するのに、
容疑者確保と被害者の安全、その目的に狙撃も許可される。
それは被害の最小限化に「必要」と定められた合法的殺人、やむを得ない緊急措置だろう。
それでも「殺人」であることに変わりない、この罪責に容疑者の遺族知人から復讐事件も起こり得る。
こうした罪の連鎖反応を防ぐために隊員の存在ごと部隊は隠される、だから隊員同士も互いを知らない方が良い。
―余計なこと知れば漏洩に繋がるかもしれない、それが復讐事件を起させるかもしれないのに、
そんなことも気づけなかった自分の迂闊が恥ずかしい。
こんな甘さが悔しいまま首すじ熱昇らす向かい、落着いた声は教えてくれた。
「相手から自発的に話してくるなら聴いても良い、でも自分から尋ねることはするな。それだけ気をつければいい、」
「はい、」
素直に頷いて少し俯いてしまう。
こんなふうに自分はどこか甘い、その悔しさ俯いて、けれど伊達は笑ってくれた。
「ははっ、本当に湯原は素直だな?不思議になる、」
不思議だ、そう言われて意味を探してしまう。
どういう「不思議」なのだろうか?そんな想いに訊いてみた。
「あの、どうして僕をいつも食事に声かけてくれるんですか?」
どうして伊達は自分に構うのだろう?
その理由を確かめたくて見つめた先、精悍な瞳が笑ってくれた。
「緊張の糸が切れんように息抜きだ、でないと続かないだろ?」
応えてくれるトーン笑って、けれど真直ぐ自分を映す。
いま真剣な話をしてくれる、そんな眼差しが教えてくれた。
「毎日毎時間、事をイメージさせられることは疲れる。その精神力が無事にこなす力になるけどな、緊張を巧く緩められないと保たないし動けない。
それに俺たちが出る時は余程の時だ、本当は無い方が良い。そんな先の解らないことに集中し続けることは楽じゃないだろ?だから息抜きさせている、」
SATの出動機会は頻繁では無い、けれど事件が起きれば死傷する可能性もある。
だからこそ冷静沈着と判断力は欠くことが出来ない。
―そういうの解かってるから息抜きさせてくれるんだ、パートナーだから、
狙撃手は二人一組で必ず行動する。
現場で緊張をコントロールできなければ共倒れするかもしれない、その危険は訓練でも伴う。
ふたり共に超えられなければ生きられない、どちらも斃れる、そんな場所に自分と伊達は立ってしまった。
―僕がミスをすれば伊達さんも危険なんだ、だから食事も誘ってくれて…そういうのお父さんも同じだったはずなのに、
いま改めて思い知らされる居場所に考え廻ってしまう。
危険を共にする相手、その相手を信じられなかったら互いに生きられない。
そんな相手が父にもいたはず、任務の為だとしても信頼繋いだ相手がいた、その男は今どこに居るのだろう?
―お父さんが狙撃手だったならパートナーがいるはずなんだ、その人なら知ってるはずなのに、
父のパートナーは誰?
それを知るために情報がほしい、父の在任資料を閲覧したい。
けれど在任期間当時の資料は「規則的に」抜かれたものだけ担当させられる。
こんな手詰まりを破りたくて思案は止まない、それでも周太は自分のパートナーへ素直に笑いかけた。
「すみません、僕が上がり症だからお気遣いさせてますよね?」
紅潮しやすい自分の癖が伊達に「緊張を緩める」気遣いをさせている?
だから謝って、けれど精悍な瞳は可笑しそうに笑ってくれた。
「ははっ、確かにプライベートでは緊張しやすいな?でも息抜きさせてるのは湯原だけじゃないよ、俺自身もだから、」
「え、」
すこし意外な応えに首傾げてしまう。
なぜ「俺自身も」と言ってくれる?その疑問に伊達が微笑んだ。
「のんびり飯食いながら誰かと話せるって息抜きになる、そういうの俺も同じだよ。似てるしな、」
似てる、
そんな言葉に鼓動ひとつ起きてしまう、懐かしい俤たちと目の前の人を重ねたくなる。
こんな想いを伊達もしているのだろうか?ただ聴きたくて問いかけた。
「あの、何が似ているんですか?」
「弟だよ、」
さらり応えてくれた言葉に失態を気づかされてしまう。
いま注意されたばかりなのに?こんな迂闊に周太は頭下げた。
「すみません、余計なこと訊きました。注意して下さったばかりなのに、」
「いや、大丈夫だ。ははっ、」
笑ってくれる声に上げた視線、可笑しそうな瞳が受けとめてくれる。
その眼差し穏やかに温かいまま伊達は微笑んだ。
「農学部なんだ、弟も、」
共通点ひとつ、ことり心響かせる。
だからこそ解らなくなりそうで、それでも微笑んだ席に夕餉の膳は運ばれた。
(to be continued)
【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】
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第74話 芒硝act.2―another,side story「陽はまた昇る」
もう夕映えの消えた空、この日没に季の経過をまた知らされる。
歩く街路樹は墨色の陰翳、街燈ゆるやかにアスファルトを照らす。
けれど仰ぐ摩天楼の空はうす蒼い、この無機質に明るい夜空から去年の秋は遠すぎる。
―庭で一緒に『雪山』を見て、雲取山に登って御岳を歩いて、ね…英二?
俤そっと見つめて歩く道、レザーソールが踵を鳴らす。
この足許も一年前は登山靴だった、そんな違いから遠い幸せに周太は微笑んだ。
―あの山茶花のこと好きって言ってくれて嬉しくて…紅葉の奥多摩ほんとうに綺麗で、英二も…綺麗で、
純白の花ふる庭、黄金きらめくブナの森、空を抱く大樹の苔やわらかな緑の時間。
どの一瞬も秋の光彩に輝いた、穏やかな温もりは明るいまま優しかった。
そして、あの笑顔を好きだと見つめて勇気ひとつ抱きしめた。
あの秋は今もう遠くて、けれど信じてしまう。
―大丈夫、いつかまた…そうでしょう、英二?
いつか、あの場所に帰られる。
どこかそう信じてしまう、あの笑顔が大切だから信じたい。
あの笑顔が残酷だった時もある、それでも13年間の孤独すら崩した人だから信じられる。
あの綺麗な笑顔は秘密が多すぎて、時に怖くて、それでも信じているから一ヶ月前あの夢も見た。
『もう、始まったんだ、』
夢だった、けれど声も微笑も記憶のまま綺麗だった。
だから現実と重なるまま忘れられなくて一ヶ月、ずっと考えこんでいる。
英二、何が始まったの?
「湯原、入るぞ、」
低く透る声に呼ばれて思考ひきもどされる。
いま去年の秋から夢を見ていた、その面映ゆさに首すじ隠しながら微笑んだ。
「はい、」
頷いて見た軒先、幾度目かの暖簾を潜る。
この一ヶ月で慣れた席へと座り、メニュー広げる向かい精悍な顔が笑った。
「湯原、またいつものか?」
いつものか?
こんな他愛ない台詞にすら懐かしい時間を見てしまう。
いつも一緒に食事したラーメン屋、あの店で同じ問いかけに笑ってくれた。
『何にする周太、いつものか?』
ほら、また綺麗な笑顔が記憶で咲く。
あの質問は去年の夏から始まった、そしていつも笑ってくれた。
この記憶あるだけ自分は幸せだ、そんな想いごと周太は笑いかけた。
「はい、いつものです。伊達さんは順番通りですか?」
「ローテーションだからな、」
答えながら二重瞼あざやかな瞳が笑ってくれる。
その浅黒い精悍な貌は記憶の人と全く違う、けれど温かい。
―お兄さんってこんな感じなのかな?
ひとりごと心想うテーブルへ茶とおしぼり運ばれてくる。
そのままオーダーを済ませ茶を啜ると穏やかな笑顔が訊いてくれた。
「湯原、明日は大学だったな?」
「はい、奥多摩の山林で演習です、」
予定確認に微笑んで湯呑また口つける。
清しい馥郁そっと喉から温かい、その感覚に息つける。
―よかった、発作の兆候は無いよね…明日は検診だから、
明日、大学の演習合間に検診を受ける。
その結果すこしでも良くあってほしい、そんな願いに伊達は笑ってくれた。
「山は足元よく気をつけろよ、特に北斜面は凍るのも早い、」
どうして伊達が山のことを知っているのだろう?
それが不思議で周太は尋ねた。
「伊達さんも山に登るんですか?」
「ああ、家の畑が山にある、」
さらり応えてくれる言葉に馴染みの顔二つ浮んでしまう。
こんな会話も懐かしい、その親しさに訊いてみた。
「あの、農家をされているんですか?」
「半分は農家だな、」
謎かけのよう応えて笑ってくれる。
精悍だけれど穏やかな笑顔は温かい、そのままに伊達は教えてくれた。
「湯原、同僚には実家や家族のことを訊くな、解かるだろ?」
特殊急襲部隊 Special Assault Team その任務と安全は守秘義務の厳正に保たれる。
隊内において見た事、聴いた事、話した事、全て一切を隊外で他言してはならない。
この他言は家族ですら禁じられている、そして同僚隊員の名前も機密事項として隠す。
そのことは理解して守っていた、けれど隊員同士にまで考え至らなかった迂闊に頭下げた。
「すみませんでした、」
SAT隊員になれば人事書類から削除される。
それほど隊員の存在秘匿が重い理由を知っている、けれど本当の意味で理解していなかった。
―だって恨まれても当り前の任務なんだ、だからマスクで顔を隠して出動するのに、
容疑者確保と被害者の安全、その目的に狙撃も許可される。
それは被害の最小限化に「必要」と定められた合法的殺人、やむを得ない緊急措置だろう。
それでも「殺人」であることに変わりない、この罪責に容疑者の遺族知人から復讐事件も起こり得る。
こうした罪の連鎖反応を防ぐために隊員の存在ごと部隊は隠される、だから隊員同士も互いを知らない方が良い。
―余計なこと知れば漏洩に繋がるかもしれない、それが復讐事件を起させるかもしれないのに、
そんなことも気づけなかった自分の迂闊が恥ずかしい。
こんな甘さが悔しいまま首すじ熱昇らす向かい、落着いた声は教えてくれた。
「相手から自発的に話してくるなら聴いても良い、でも自分から尋ねることはするな。それだけ気をつければいい、」
「はい、」
素直に頷いて少し俯いてしまう。
こんなふうに自分はどこか甘い、その悔しさ俯いて、けれど伊達は笑ってくれた。
「ははっ、本当に湯原は素直だな?不思議になる、」
不思議だ、そう言われて意味を探してしまう。
どういう「不思議」なのだろうか?そんな想いに訊いてみた。
「あの、どうして僕をいつも食事に声かけてくれるんですか?」
どうして伊達は自分に構うのだろう?
その理由を確かめたくて見つめた先、精悍な瞳が笑ってくれた。
「緊張の糸が切れんように息抜きだ、でないと続かないだろ?」
応えてくれるトーン笑って、けれど真直ぐ自分を映す。
いま真剣な話をしてくれる、そんな眼差しが教えてくれた。
「毎日毎時間、事をイメージさせられることは疲れる。その精神力が無事にこなす力になるけどな、緊張を巧く緩められないと保たないし動けない。
それに俺たちが出る時は余程の時だ、本当は無い方が良い。そんな先の解らないことに集中し続けることは楽じゃないだろ?だから息抜きさせている、」
SATの出動機会は頻繁では無い、けれど事件が起きれば死傷する可能性もある。
だからこそ冷静沈着と判断力は欠くことが出来ない。
―そういうの解かってるから息抜きさせてくれるんだ、パートナーだから、
狙撃手は二人一組で必ず行動する。
現場で緊張をコントロールできなければ共倒れするかもしれない、その危険は訓練でも伴う。
ふたり共に超えられなければ生きられない、どちらも斃れる、そんな場所に自分と伊達は立ってしまった。
―僕がミスをすれば伊達さんも危険なんだ、だから食事も誘ってくれて…そういうのお父さんも同じだったはずなのに、
いま改めて思い知らされる居場所に考え廻ってしまう。
危険を共にする相手、その相手を信じられなかったら互いに生きられない。
そんな相手が父にもいたはず、任務の為だとしても信頼繋いだ相手がいた、その男は今どこに居るのだろう?
―お父さんが狙撃手だったならパートナーがいるはずなんだ、その人なら知ってるはずなのに、
父のパートナーは誰?
それを知るために情報がほしい、父の在任資料を閲覧したい。
けれど在任期間当時の資料は「規則的に」抜かれたものだけ担当させられる。
こんな手詰まりを破りたくて思案は止まない、それでも周太は自分のパートナーへ素直に笑いかけた。
「すみません、僕が上がり症だからお気遣いさせてますよね?」
紅潮しやすい自分の癖が伊達に「緊張を緩める」気遣いをさせている?
だから謝って、けれど精悍な瞳は可笑しそうに笑ってくれた。
「ははっ、確かにプライベートでは緊張しやすいな?でも息抜きさせてるのは湯原だけじゃないよ、俺自身もだから、」
「え、」
すこし意外な応えに首傾げてしまう。
なぜ「俺自身も」と言ってくれる?その疑問に伊達が微笑んだ。
「のんびり飯食いながら誰かと話せるって息抜きになる、そういうの俺も同じだよ。似てるしな、」
似てる、
そんな言葉に鼓動ひとつ起きてしまう、懐かしい俤たちと目の前の人を重ねたくなる。
こんな想いを伊達もしているのだろうか?ただ聴きたくて問いかけた。
「あの、何が似ているんですか?」
「弟だよ、」
さらり応えてくれた言葉に失態を気づかされてしまう。
いま注意されたばかりなのに?こんな迂闊に周太は頭下げた。
「すみません、余計なこと訊きました。注意して下さったばかりなのに、」
「いや、大丈夫だ。ははっ、」
笑ってくれる声に上げた視線、可笑しそうな瞳が受けとめてくれる。
その眼差し穏やかに温かいまま伊達は微笑んだ。
「農学部なんだ、弟も、」
共通点ひとつ、ことり心響かせる。
だからこそ解らなくなりそうで、それでも微笑んだ席に夕餉の膳は運ばれた。
(to be continued)
【引用詩文:William Wordsworth「Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood」】


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