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Pretenderの備忘録

エレクトラ 東京オペラの森 小澤指揮

2005-03-22 22:17:39 | 音楽 Opera
今年から始まったオペラ祭り。今年はシュトラウス、来年はヴェルディー、2007年はワーグナーとまで既に決まっている。毎年異なる海外の歌劇場と提携する。
サイトウキネンフェスティバルは松本でもう10年以上になるが、小澤さんがウィーンに行く前は正月に上野でサイトウキネンのマーラーシリーズが二回ほどあった。2番と9番で、1月2日からで凄い緊張感ある素晴らしい演奏だった。それ以来、イベントがなくてなかなか東京では小澤さんを聞く機会もなかったところ、新しい企画。実行委員長に日テレの会長、他に元芸術家の都知事等が名を連ね、発起人には、富士通、ソニー、日本IBM、東京電力、野村等々の大企業が並ぶ。さらに協賛企業としては、JAL、IIJ、楽天その他と凄い。でもチケットは僕のC席(最上階5階の真ん中最前列、といっても二列しかないが)で23000円。もう少し何とかならないのか。結構空席もあり、これは協賛企業等のあまりなのかなあ。
この会場では改装後は冬のサイトウキネンとかバレンボイムのシカゴ、飯守のベートーベンチクルスなんかに来たが、1階の良い席ばかりだったので、5階というのは初めて。メトの天井桟敷よりも圧迫感はある。でも音はきれいに聞こえるし、舞台は見下ろすがオケピまで見えるというオマケあり、笑。
エレクトラは暗い話であるし、Metで観た時も、昨年の新国も、舞台はシンプル。しかし、今日はシンプルを極めたというシンプル。真ん中に扉をイメージした舞台下に続く階段があるだけの黒い一面の舞台。出演歌手もほとんどが黒で、他に白くらい。照明を使って、他は表現するという舞台だった。ダンサーを使ってその表現も大きかった。新国も野田のマクベスなんかも凄くシンプルだったけど、オペラはそういうのが流行なのかなあ。ゼッフェレリの演出を次々と90年代に観てきたものとしてはちょっと違和感。まあ、エレクトラはこんなもの。
さて、肝心の舞台。歌手は素晴らしかった。デボラ・ポラスキの迫力ある声量、アグネス・バルツァの艶やかな声。Metで聴いたベランスやボイトの印象が強かったが、ポラスキも伸びやかに声量があるし、陰影のある表現もいい。
オケはサイトウキネンの中堅どころが中心。オーボエの宮本さんとフルートの工藤さんは例外的大御所で、あとはサイトウキネンではパートの首席の次くらいの人たち。ピッタリと息が合って本当にうまかった。寸分の狂いもなく、ダイナミックに、美しく、不安定な曲を安定した技術で見事な演奏だった。席からオケピが観え、終了後、小澤さんがあの狭いオケピを隅々まで歩いて全員と握手してるのを見て、彼のマネジメント能力を見た気がした。先日の大植さんはこういうのも小澤さんから学んだんだろうな。
文句なしに素晴らしいオペラでした。

コメント
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