へ~んしん
退職前の私は前世である。
不気味なことを言うな!と叱られそうだが、事実である。前世であるから、じゃぁ今は何だ?と聞かれそうだ。なに、簡単である。私は前世から変わったのである。そうである。「へ~んしん」したのである。返信ではない。変身したのである。幼児たちの好きな、ガッチャマンとかいう(しかし、これって古いなぁ)変身番組と一緒である。あの変身マシーンというやつである。そのうち孫にも買ってあげなくてはならない。実は楽しみである。
私も、その変身マシーンで遊ぶのだ。それが楽しみであるからである。
なんでか。
私も含めて、人間ちゅうのは、変身するからである。変身がふざけているというんだったら、変化である。そうなのだ。人間は変化するのである。それは、主に心ではない。身体が変化するのである。
私の顔はずいぶん変化した。(老化ともいうけど)
かつては美少年と呼ばれたのだ。かわゆいと言われた。なに、親にではない。同年齢か、もしくはそれに近いジョセーたちにである。笑ってしまうけど、事実である。さらに、私は性格が明るかったから、男性の友達も実に多かった。野山を悪童たちと一緒に遊んでばかりいたのである。
今は、変化のあげくなんと爺になってしまった。あれだけフサフサしていた髪がすっかりなくなって、入道になっちまった。ある程度予感していたが、まさかこれだけ立派なハゲアタマになるとは、天もなかなか味なことをするもんだ。
身体も変わった。
体重が、いろいろと変遷した。中学時代は、68キロだった。高校時代に柔道を始めたせいもあって、最高で78キロ。顧問のセンセにもっと太れ、太れ、太って重量級に出ろと言われたときは、マイッタ。なんといっても、私の母校は弱かったからである。米沢市内に、私立の強豪高校があって、あんな学校と対戦したくなかったからである。殺されてはたまらんということである。ところが、ある時、その私立強豪校に私はどこをどう間違ったか、大内刈り返しで一本勝ちをしてしまったのである。それがいけなかった。間違い人生の始まりだった。それからが。
武道が好きになってしまったのである。それから。マイッタね。そんな人間ではないのに、そうなっちまった。これも、幼児期の病弱で、読書好きな悪童が、なんとなんと気取って文武両道を目指しはじめてしまったのである。
思うに、読書一辺倒、勉強一辺倒とか、そういうのはいけない。文武両道てなくてはいけない。
なぜか?
文というか、読書というか、勉強というのは情報である。情報というのは、変化しない。一旦発信したら、情報は変化しない。訂正はあり得る。修正もするからである。
しかし、身体は違う。情報ではない。身体は変化するのである。
だから、文武両道なのである。
バランスと言ってもいい。
身体も、精神もバランスがあって初めて一人の人間として、完成する。
あ、私はこんなこと、書けないなぁ。
定年で退職したから毎日暇だろうからと思って、毎日10時間以上勉強していたのである。これで体調を崩したから、バランスを欠いたのである。他人のことは言えない。
退職したら暇になるというのは、間違っていたのである。現役時代はいろいろ縛りがあったから、なかなか好き勝手なことができなかった。当たり前である。公務員は職務専念義務というのがあるからである。だから結構縛られていた。
定年退職したから、ルンルンと私は時間無制限で、好きなことを始めてしまったわけである。元々、ゴミみたいな論文を書いたり、学会で発表したりするってことは好きだったからである。
しかし、よく考えてみたら、爺になっていたのだ。それを忘れていた。体力が衰えたことを考えなかったのである。さらに悪いことには、自分には能力が無かったということを失念していたのである。一介の田舎教師であったということを忘れていたのであった。これは不覚であった。
オノレを知らなかったのである。
だから、私は「お笑いくださいませ」とよく手紙なんかに書くのである。
まったく笑われてナンボでしゅーよん。
昨日高校の同級生から年賀状が来た。メールアドレスが書いてあったのでさっそく送った。彼もまた大学教授である。そういうのが、私の母校にはたくさんいるのである。そのうちの一人である。結婚したときは、友人代表でスピーチまでしてあげた。
昨日のメールにちょっと体調を崩したと書いてみたら、なんと彼の返信メールには「精神科にいたのか?」とあったのだ。(バカもほどほどにせい!ふん!=(笑´∀`))
ハラを抱えて笑った。
究極のブラックユーモアである。
ま、大して変わらないけどね。
爺になったのを忘れて、バンバンゴミ論文を書いていたのだから。
そんなもんである。そんなもん。
(^_^)ノ””””