剛力のオンナ
日本には古来、剛力の女性がたくさんいた。
あ、いたという言い方は正しくない。今もいるからである。特に女子プロレスと、重量挙げの女子。前者は好きである。なぜか。これぞ女子の鏡と思うからである。女子が、プロレスをやっている姿は美しい。衣装も実に派手である。パフォーマンス抜群だ。パフォーマンスと言うと、叱られてしまうが、好きなものは仕方がない。意外性があるからだ。私が勝手にそう思うのだから、それでいいのだ。理由なんてない。それだけである。さらに言えば女子柔道もそうである。ただし、柔道の方が手弱女かもしれない。男子柔道の方が、腕力では上だ。経験上。
さて、剛力の女性ということである。
弘仁年間に成立した日本霊異記という古典がある。こいつは、私の愛読書である。なぜなら、いろいろな鬼が出てくるからである。そうなのだ。鬼舞の研究には欠かせないbibleであるからだ。
なかなか楽しい古典である。だから、いろいろな出版社から出ている日本霊異記を数冊書庫に置いてある。比べ読みをしているからである。そんな程度の趣味である。だから、ゴミ論文しか生産できないのである。恥ずかしながら。
ま、それよりも剛力の女性である。
日本霊異記にあるのが実に面白い。
美濃国方県郡小川というところに美濃狐という強力の女ありと紹介されている女性である。名前がいい。「美濃狐」である。なんとも謎めいた名前である。今昔物語のほうだが、訳があるから以下に紹介する。なお、この訳は高橋建氏によってこの訳について自由に利用してよろしいと書かれてある。だから引用させていただく。
URLはhttp://www.lares.dti.ne.jp/~ttakagi/diary/translation/konzyaku23_17.htmである。
Copyright (C) 2004 高木 健
本翻訳は、この版権表示を残す限り、訳者および著者にたいして許可をとったり使用料を支払ったりすること一切なしに、商業利用を含むあらゆる形で自由に利用・複製が認められます。第1版公表 2004/11/29 第2版公表 2004/12/5 底本 「今昔物語集五 新日本古典文学大系37」(岩波書店)
今昔物語集巻二十三第十七「尾張国女伏美濃狐語」より
尾張の国の女、美濃狐を組み伏せる話
高木 健 現代語訳
今は昔のこと、聖武天皇の時代、美濃の国、方県の郡、小川の市に、この上なく力の強い女がいた。身体はとても大きかった。名を美濃狐といった。美濃の国に狐を妻とした人がいた。その四代目の子孫だった。その女の力の強さは、人の力の百人分と同じだった。そのため、この女はあの小川の市内に住み、自分の力に任せて往来する商人に乱暴して、ものを奪い取ることを生業としていた。
また、同じ頃、尾張の国、愛智の郡、方輪の郷に力の強い女がいた。身体は小さかった。昔尾張の国にいた道場法師という元興寺の僧がいた。その孫だった。女は、あの美濃狐が、小川の市で、人に乱暴して商人のものを奪い取っていることを聞き、試してやろうと思い、蛤五十石を船に積み、小川の市に停泊した。また、加え、あつらえて船に積み込んだ、熊葛の鞭二十本を。
いよいよ市に着いてみると、美濃狐がいて、あの蛤はみな取り押さえいる。そして、美濃狐は、尾張の女に言った、お前はどこからきた女だ、と。尾張の女は答えなかった。美濃狐はもう一度尋ねたが、やはり答えなかった。とうとう四度目に、尾張の女は答えた、どこからきたか知らないね、と。その時、美濃狐は、その答えを、ふざけるな、と思い、尾張の女に殴りかかろうと近寄ったところ、尾張の女は、殴ろうとした美濃狐の二の腕を掴み、熊葛の鞭でなんども打ちすえると、その鞭には肉が付いた。またもう一本の鞭を取り出して打ちすえると、鞭に肉が付いた。十本の鞭で順番に打つと、どの鞭にも肉が付いた。そして、美濃狐はこう言った、もうしわけありません、私は大きな悪事をはたらいていました、恐れ入りました。尾張の女は、お前はこれから将来ずっと、この市に住んで人を悩ますようなことはやめろ、もし、言うことを聞かず住み続ければ、またやって来てお前を打ち殺すだろう、と言い、もとの国に帰っていった。
そのあと、美濃狐は、小川の市に立ち入らず、人のものを奪うこともなかった。そこで、市の人は皆喜び、穏やかに商いをして、市は後の世まで絶えることがなかった。そして、尾張の女は美濃狐より力があるということが皆の知るところとなった、と語り伝えられている。
どうだろうか?
実に楽しいではないか。
人間界のことは、すべて女性が牛耳っているのだ。そもそも、オナゴが生物としては基本であるそうな。オトコは染色体の間違いでできた、いわば出来損ないであるそうな。だから、オトコの方が病弱で育てにくいのだそうな。
私も、亡母や亡父、さらに祖母たち、伯母たちに迷惑をかけてしまったのであろうなぁ。
恥ずかしい半生であったと思う。
あ、今も、配偶者に迷惑をかけている。
ただの爺だからである。
なんの役にも立たない爺であるから。
さ、これから出かける。在籍大学である。午後からは幕張に行く。明日、某大学の仕事があって遅れるわけにはいかないから、前泊する。仕事の中身は言えない。それだけである。それだけ。
じゃぁねぇ~!
(^_^)ノ””””