アイは「I」か、「我」か、それとも・・
個性を発揮せよというのが、最近の教育でかなり多く標榜されるけど、あれはいかがなものか。
そもそも個性というのは、自分というものがあって、それは揺るぎもないものという意識がありはしないか。
英語で自分のことを「I」(アイ)というけど、あ、中国語も我(wo)というけど、日本語は主語が曖昧である。私も、なかなか私と書かないから論文では厳しくご指導をいただく。ゴミ以下の価値しかないから、甘受している。当然である。能力が無いからである。ま、それはともかく、個性云々を言うのなら、個性というのは普遍のものというか変わらないものという意識が根底にあるのではないのかと考えてきたからである。
本当に個性というのは確固たるものであろうか。マジに、そうだろうか。個性は不変のものであろうか。はなはだ疑問である。個性が不変のもの、あるいは社会的な価値と反対の関係にあるのだとするから、かの有名な「自分捜しの旅」とかいうことに走るのである。
どっかに、明るく、いきいきとした「自分」がいて、それはまだこっちの世界に来ていない、だから生きることが苦しいし、仕事にも熱が入らない。どっかに現状不満があって、全部社会が悪い、政治が悪い、上司が悪い、学校の先生が悪い、近所の爺が悪いとかになる。最近では、こんなオレを産んだオフクロが悪いということになる。もっと言うと、そんなくだらないオフクロと夫婦になったオヤジが悪いと言うことになる。内田樹先生がいうところの「他罰主義」である。
自分捜しの旅に出かけて、欧州浪人とか、アメリカ大陸浪人とかいうのは、フリーター心理の現れである。フリーターが悪いといっているのではない。それはそれで仕方のないことである。自分が選んだのだから。ただし、爺としては若干心配になる。年をとったらどうするんだ?ということである。そもそも、そういう生き方を選択する人は、オノレが爺や婆になることを想定していない。だから、私のような爺をバカにして顧みない。
一つの仕事をやり遂げることを軽蔑している。
組織の中で、あるいは世間の中で、人間関係に悩みながらいささかの収入をもらって生きることが、「自分らしくない」と拒否するわけである。
しかし、完全に世間を、あるいは組織を、世界を拒否して生きることが可能なのであろうか。
可能だというのなら、清流の流れる山に籠もって、孤高に生きればいいのである。やってみるがいい。3日ももたないだろう。逃げ帰ってくることは必定である。助けてくれぇ~とか泣き言を言って。
個性というのは、あくまで関係性のなかで育つものである。
だから、ここから一番言いたいことなのであるが、「個性というものは変化する」ものであるということである。
「情報」は違う。
スマホとかいうものの中で偉そうにふんぞり返っているのが「情報」である。あれはいったん発信、受信されたら不変になる。修正は可能だ。しかし、いったん「情報」としてビッグデータの中に入っていったら、もう変化しない。
大病院に二ヶ月に一度通院しているが、それこそ私の病歴とか、与えた投薬情報とか、体重とか、血圧とか、経歴とか、住所とか、年齢とかそれらは、でかいコンピュータにビッグデータとして存在している。
カード一つで簡単にアクセスできる。患者様カードでできる。それは単なる「情報」であって、そのカードの中身が私の個性なのではない。
私は毎日変化している。
昨夜入浴して、皮膚が一部はがれている。髪の毛も洗ったから抜け落ちた。?・・・抜け落ちるほどないけど。体重もまったく変わらないということはない。中学生の時以来の体重になってきた。なんと69キロ台になってきた。毎日の努力のたまものである。食事、walking、精神的安定その他もろもろの歩みがあるからである。ただし、ホンにかじりついて10時間以上ボロ机にしがみついていることは中止した。二時間打鍵したら、必ず外に出る。掃除もやる。外掃除だけだけれども。
だから、身体は変わるのである。
固定されているのではない。そして人間は、身体で出来ている。身体が故障したり、脳が破壊したら、アウトである。心臓も肺も止まる。
止まってしまうというのも、変化しているわけである。進化しているというのではない。変化しているのである。変化。
止まってしまったら、それは「死」である。死ぬこともまた個性である。いつ死ぬかということである。だから急ぐことはないのである。あんまり仕事、仕事で苦しんで自殺したりしないほうがいい。
だって、だれでも「死ぬまでは生きている」のだから。
さ、今日も大図書館で原稿書きをしてくる。
ポメラを持って。
学事出版さんに送る原稿である。
それも、歩いて大図書館に行くのである。
片道20分である。けっこうな運動にもなる。
そして、夜は塾に行く。楽しみである。若い学生との対話によって、楽しんでくる。これもまた私の個性なのであろう。
(^_^)ノ””””