著作権
2022年06月05日(日)
著作権に関して、滑稽な思い出があります。
私が、図書館で新聞記事を写真撮影しようとしたところ、スタッフが血相を変えて飛んで来て、NGだと言うのです。
私的使用なら著作権法に抵触することはないのですが、図書館としては、私が私的使用に留めるかどうか分らないため、いわば網羅的に網を被せるような対応をしたものと思われます。
しか~し、そもそも新聞記事をカメラで写して、それだけで新聞社が訴えるかというと、そんなことはあり得ません。実害が出ていない時点で訴えても却下されるだけであります。つまり過剰な反応と言わざるを得ません。
日本では、美術館での写真撮影はNGとなっていますが、ヨーロッパの美術館を訪れた方から聞いた話だとOKだと言うんですね。このことでも、先の「過剰」というのは当たっていると思います。
一方、YouTubeなんかのupを見てみると、著作権無法地帯であります。過剰なまでの厳しさと無法が同居しているのが、日本での著作権を巡る状況かなと思う次第であります。日本の交通事情と似ておりますですワ。
「日本の交通事情と似ている」とは、日本では、本来歩行者が歩くべき歩道を車両(自転車)の通行を認めているのであります。危険極まりないこの方針を出したのは、政府でありますが、移動といえば、自動車の後席にふんぞり返って乗っている輩様達で構成されているのであります。
私の著作権に関する考えは次のとおりです。
(著作権について)
私は、近しい同好の士へ、放送番組を複製(ダビングを含む。)して提供することは、著作権法に抵触しないと考えています。
著作権法は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。」と規定しています。
私が複製する方法は、「次に掲げる場合」に該当するものはありません。
私は、「その他これに準ずる限られた範囲内」には、「近しい同行の士」が含まれると解釈しています。ただし、その人数については、「ダビング10」の趣旨から10人以下である必要があると考えています。
なお、「孫コピー」は限りなく複製が増える可能性があるため、著作権法に抵触すると考えています。
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
注 「次に掲げる場合」は省略
以下、ネットからの引用です。
私的な範囲」は、法律上、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲」であるとされます。ここで、「個人的」というのは、著作物を使用する人がひとりで、という意味であり、また「家庭内」というのは同一家庭内、という意味と理解されています。前述のとおり、著作権者の不利益が大きくならない範囲と考える必要がありますので、例えば、別居する親戚に配ったり、近所やサークルで配ったりするためのコピーは、「個人的」にも「家庭内」にも属しないと考えられます。
法律上、これらのほかに、「その他これに順ずる限られた範囲」として、多少幅を持たせた表現となっていますが、この範囲に属する人同士に、強い個人的結合関係が必要であるとされ、実際は個別具体的な判断が必要になってきます。とはいえ、自宅でコピーしたものを会社で配って使用するような場合や、会社の同じ部署内の数名に配るためにコピーをするというような場合には、結合関係が否定されると考えられますので、著作権者の許諾を得るべきといえます。
このほか、個人的な使用目的でするコピーに関しては、前述の書籍等を電子化する行為、いわゆる「自炊行為」が適法かどうかということが問題になりますが、電子化を自分でする限りにおいては問題ありません。しかし、これを自炊代行業者に依頼をすると、著作物をコピーする者と使用をする者が一致しないことから著作権者の許諾が必要となるため、注意が必要です。「自炊行為」をする場合には、自分でスキャンして行うようにしましょう。
第五款 著作権の制限
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
二 技術的保護手段の回避(第二条第一項第二十号に規定する信号の除去若しくは改変その他の当該信号の効果を妨げる行為(記録又は送信の方式の変換に伴う技術的な制約によるものを除く。)を行うこと又は同号に規定する特定の変換を必要とするよう変換された著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像の復元を行うことにより、当該技術的保護手段によつて防止される行為を可能とし、又は当該技術的保護手段によつて抑止される行為の結果に障害を生じないようにすること(著作権等を有する者の意思に基づいて行われるものを除く。)をいう。第百十三条第七項並びに第百二十条の二第一号及び第二号において同じ。)により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合
三 著作権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(以下この号及び次項において「特定侵害録音録画」という。)を、特定侵害録音録画であることを知りながら行う場合
四 著作権(第二十八条に規定する権利(翻訳以外の方法により創作された二次的著作物に係るものに限る。)を除く。以下この号において同じ。)を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権の侵害となるべきものを含む。)を受信して行うデジタル方式の複製(録音及び録画を除く。以下この号において同じ。)(当該著作権に係る著作物のうち当該複製がされる部分の占める割合、当該部分が自動公衆送信される際の表示の精度その他の要素に照らし軽微なものを除く。以下この号及び次項において「特定侵害複製」という。)を、特定侵害複製であることを知りながら行う場合(当該著作物の種類及び用途並びに当該特定侵害複製の態様に照らし著作権者の利益を不当に害しないと認められる特別な事情がある場合を除く。)
2 前項第三号及び第四号の規定は、特定侵害録音録画又は特定侵害複製であることを重大な過失により知らないで行う場合を含むものと解釈してはならない。
3 私的使用を目的として、デジタル方式の録音又は録画の機能を有する機器(放送の業務のための特別の性能その他の私的使用に通常供されない特別の性能を有するもの及び録音機能付きの電話機その他の本来の機能に附属する機能として録音又は録画の機能を有するものを除く。)であつて政令で定めるものにより、当該機器によるデジタル方式の録音又は録画の用に供される記録媒体であつて政令で定めるものに録音又は録画を行う者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。
「私的使用」とは?
多くの人にとって最も身近な権利制限規定だと思いますが、そもそも著作権法(以下「法」といいます。)では「私的使用」はどのように定義されているのでしょうか。
その定義が存在するのが法第30条です。(※太字は筆者による)
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
(以下略)
「個人的」または「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」で使用することが「私的使用」とされています。
まず、「個人的」とは、仕事関連で使用するのではなく、個人的な趣味や娯楽などのために利用すること、という意味になります。
ここで注意が必要なのが、たとえ会社からの指示ではなく個人の考えで行う場合であっても、会社の業務や職業・事業に関するもの、例えばプレゼンの資料とするために書籍や雑誌などから一部分をコピーすることは、それを誰にも見せない、配布しないで参考にするだけであっても個人的な使用には該当しないと考えられます。
ただ、筆者のような個人事業主が行う複製行為は「個人的な使用」に該当するのか?という点は判断が難しいと思います。
資料としてクライアントに渡すために書籍の一部をコピーすることは「個人的な使用」に該当しないと思いますが、あくまで業務に関する知識を仕入れるために購入した書籍をスキャンして電子化(いわゆる”自炊”)する行為は「個人的な使用」となるのかはハッキリしていません。
つまり、法目的に照らしながら、権利者に及ぼす影響等を勘案して常識的な判断をしていかざるを得ない(作花文雄『詳解 著作権法(第5版)』(ぎょうせい,2018年)298頁)と考えられています。
また、「家庭内その他これに準ずる限られた範囲」とは、明示されているとおり家庭内のほか、ごく親しい友人数人の間のような、属するメンバーの間に強い個人的結合関係が築かれているグループというのも”これに準ずる限られた範囲”に該当すると考えられます。
つまり、大人数(著作権法立法者の見解から考えると10人程度を越えるような場合です ※加戸守行『著作権法逐条講義[六訂新版]』 (CRIC,2013年)231頁)のサークルや、少人数であっても強い個人的結合関係がないもの、例えば町内会、マンション管理組合、学校の職員会議などは該当しないと考えられます。
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