水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

孤独力

2023年08月25日 | 学年だよりなど
3学年だより「孤独力」




 数年前の成人の日に、鴻上尚史氏(劇作家・演出家)が、「さいたま新聞」にこんな文章を寄稿されていた。
 20歳になったから大人になるのではない、現に何歳になっても大人になってない人はたくさんいる、大人になるには孤独を経験しなければならないと、鴻上氏は述べる。




~ 孤独には、「本物の孤独」と「偽物の孤独」とがあります。
 一週間、誰とも話さなかったから孤独なのではありません。
 誰とも話さなくても、メールをやりとりし、インターネットで会話していれば、それは孤独ではありません。
 孤独とは、「一人で自分と向き合う」ことです。例えば、あなたがすてきなアドバイスを受けたり、役に立つ本を読んだりしても、一人でかみしめる時間がなければ、それはあなたのものにはなりません。今聞いた役に立つ情報を、右から左に伝えるだけでは、あなたのものになっていないのです。
 二十歳を過ぎて出会う解決不可能な問題は、親に判断を任せない限り、自分で解決するしかありませんが、「偽物の孤独」しか経験してない人は、アドバイスしてくれる人を求めて、ウロウロさまようのです。
 ただ「本物の孤独」の時間を持った人だけが、うんうんとうなりながら問題に取り組むことができるのです。
 もし「本物の孤独」を経験したいと思ったら、あなたは、携帯電話の電源を切り、パソコンやテレビから離れて、あなただけの時間を持つ必要があります。その時間が長ければ長いほど、あなたは「本物の孤独」と出会い、自分自身と会話を始められるのです。
 「本物の孤独」はしんどいですが、あなたに暗闇を進んでいく勇気をくれます。終わりが明確でない暗闇を一歩一歩、歩く時、あなたは初めて大人になるのです。 (鴻上尚史「成人するあなたへ~本物の孤独と出会おう~」より)~




 「結局人は独りなんだ」とどこかで気づく人と、現実を受け入れられない人とがいる。
 後者はいつまでも、誰かでつるんで、表面的につきあいを続ける。
 前者は、独りでやれることに感謝しながら、他人にやさしくなる。
 受験勉強は、そういう意味での「孤独力」を身に付ける貴重な機会だ。
 孤独を経験しているかどうかで友達は変わる。

コメント
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