避難所生活を嫌がったり家畜をおいていけないなどいろいろ理由はあるが、そもそも不便な避難所に喜んで行く人はいない。
その人たちの選択を重く受けとめたい。
まず、放射線量だけの理由で避難をしても、避難先での生活の質が劣悪であれば、身体的ストレスにより、持病が悪化し、血圧上昇などによって心臓や脳血管に重大が負荷がかかる。
また、故郷と生活の基盤を喪失した精神的ストレス(喪失体験)により、鬱病を発すれば、自殺の危険が多いに高まる。
すなわち、避難することによって、トータルな生活の質と健康が悪化し、かえって短命化することもおおいにありうる
(放射線だけが癌の原因ではない。数μSvレベルの放射線だけを特別危険視するのは非科学的)。
自主的に避難するかどうかは、このような総合的判断が必要で、居残りを決意した人はその判断の結果だと思う。
だから、重く受けとめたい。
避難せずに今の環境下で被曝量をできるだけ下げるにはどうすればいいか。
一番簡単な方法は”屋内退避”。
たいていの人は一日の2/3は屋内にいるので、被曝積算量も屋外の合計値よりはだいぶ低い。
もちろん実際の被曝積算量はガラスパッチなどを付けてきちんと検査すべき。
最善策は、一番近くで放射線を大量に発している地表面を除去すること。
浪江町での地表面が220μSvの所で3センチ除去すれば地上(20μSv)以下になることがわかった。
さらに厚く除去すれば、事故前の本来(バックグラウンド)の0に近い値になる。
そうすれば地上の値もぐっと低くなり、もちろん室内もさらに低くなる。
ただし村内のすべての地表を除去するのは、労力と運び先の理由で現実的でない。
そこで、次善の策として、人が暮す場所の周囲だけに除去を絞る(吸着剤を併用すればより効率的かもしれない)。
除去した土の運び先が自分の敷地内であれば、そこに今の時期なら茎の長い「ひまわり」を植えるとよい。
残土を置く敷地がない場合は、
さらに次善の方法として、土壌の上下を入れ替える。
鍬で地面を掘り起こして元の地面を覆うようにすればいい。
これなら通常の畑仕事と同じなので、体の動く人なら誰でもできる。
戸別に作業できて、大規模な動員も重機もいらない。
老齢世帯などに若干の協力が必要なくらいだろう。
ただし以上の作業は、マスクと線量の高い地域では防護服着用のこと。
とりわけ足回りは厳重に。
一番いけないのが、放射性物質が堆積した土地を放置したままにすること。
これは高線量状態を放置していることになる。
あと意外に高かった私道のコンクリート路面は、強い放水などで表面にくっついた放射性物質を洗浄し
(自然の雨ではあまり効果なさそう)、希釈化するしかない。
作業順でいうとこちらを最初にやった方がよい。
壁面は空気中よりも低かったので、屋根や壁面の付着分はすでに雨でかなり洗い落とされたようだ。
屋内は、玄関内に入るだけでもかなり値が低下した。
扉や窓ガラスのない牛舎内でも家屋内並に低かったので、
これらは密閉効果ではなく、地面の影響を受けていない純粋な空気中の値といえる。
地面の値を極力下げれば、屋外でもこの値に近づくということだ。
長泥地区の各家の周囲も今の役場付近の値なみに下ることも夢ではない。
このように自分の家の周囲だけに実現する線量の低い空間を
ホットスポットに対抗して「クール・スポット」呼びたい。
クールスポットが増えるほど、地域全体の線量も下る。
ただしあちこちのクールスポットの間には、線量の高いままの土地がホットスポット的に続いているので、
移動は徒歩ではなく車にする。
とにかく、工夫と努力で線量を下げることは可能である。
しかも早急にやるべきだ。
やらない理由がない。