「体育の日」なんていうのは、日本の伝統でもなんでもない、とってつけた祝日であるから、
別段それに従う必要は毛頭ないのだが、
「体育の日だからちょっと運動するか」という気に国民を誘導する効果があるのなら、
それは結果的に、国民自身の健康を高めることになるわけで、
そうなればそれで、まぁ文句を垂れるほどでもなくなる。
というわけで、体育の日にちなんで、高尾山にハイクに行ってきた。
ホントの理由はもっと深刻。
週末帰京して、定期的に降圧剤をもらっている診療所の先生に、先日の健康診断結果を見せたら、
コレステロール値(特に悪玉LDL)が問題なので、このままだと薬を投与する必要があるといわれた。
血圧は無理でも、以前、コレステロールは”摂生”でコントロールがある程度できたので、
まずは生活習慣の改善によって値を落したい。
そうなると運動である。
以前は登山を趣味としていた自分なら、山を歩くのが一番やりやすい。
そこで、東京から日帰りできる山を物色した。
第一候補に浮かんだのは、まだ登っていない丹沢(神奈川)の仏果山。
さっそくネットで情報をみたら、10月はまだヤマヒルが出るという。
迷わず却下。
行く山が決まらないとだんだん面倒になってくる。
早起きするのも面倒だし、便数の少ないバスに乗るのも面倒。
それに標高が高い山だと登るのが面倒。
これではいけないと、面倒でない山を探す。
すると、京王線の駅からすぐに登れる、ミシュラン推薦の名山、高尾山が脳裏から離れない。
小学校以来、数えきれないくらい行った山なので、”今さら感”がわくのだが、
裏高尾からの「日影ルート」という、まだ歩いていないコースを見つけた。
人が少ないだろうし、歩き甲斐もある。
高尾山なら、早起きしなくていもいいしヤマヒルもいない。
というわけで体育の日の朝、高尾山に出発。
都心部は雨上がりの曇天だが、多摩西部に着くと秋晴れ。
気温も丁度いい。
高尾駅から、小仏行きのバスに乗って「日影」で降りて、
沢沿いに森の中を歩く。
せせらぎと緑の世界に入り込んで気分がいい。
やがて登りになり、一汗かくと、高尾山上のメインルートと合流。
ここからは行列の中を進む。
このまま頂上に行くと丁度正午となり、大混雑で座る場所もなさそう。
なので頂上直下を迂回し、下って登って奥高尾の一丁平まで足を伸ばし、そこで昼食(駅で買ったサンドイッチ)。
途中、先月の台風15号の爪痕なのだろう、いくつかの大木が根こそぎ倒れて道を塞いでいた(写真)。
また、いくつかのルートも崩壊などで通行止めになっていた。
高尾山なので、とにかく人が多い。
ミシュラン効果か、あるいは薬王院という密教の寺があるいせいか、外国人ハイカーも多い。
スカート姿の”山ガール”を初めて見たが、なるほど昔のワンゲル的山女のいでたちとは雲泥の差。
見た目もかわいくおしゃれで、ハイク程度ならあれで充分。
喫煙者ってなんで山の上まで来てまでタバコを吸いたがるんだろう。
おいしい空気を吸えばいいのに。
おばさんグループは山道でも横にひろがって歩こうとする。
頂上の店で楽しくビールを飲む人がいるが、私は下山後までお預けだ。
下山って足下が危険なんだよ。
下りは2号路の急坂をスタスタと、琵琶滝経由で降りた。
降り立った高尾山口で名物の蕎麦を食べようと思ったが、どこの店も満席。
仕方ないので、駅の売店で缶ビールとつまみを買って、道脇の小川にほてった足を浸しながら、
今日の”運動”の祝杯を上げた。