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今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

どくとるマンボウ…合掌

2011年10月26日 | 作品・作家評

どくとるマンボウこと北杜夫氏が死去した。
テレビでは、私とほぼ同世代のアナウンサーやコメンテイターたちが、
感慨深げに「読書の楽しみへ導いてくれた」、「若いとき夢中になった」と述べている。
これらは私にもぴったりあてはまる。
少なくとも”われわれ”の世代にとって重要な作家だったのだ。

私は中学の時、同じく山が好きな友人の勧めで、『夜と霧の隅で』(表題作を含む短編集)を読み、
その鬱々とした文体に惹かれた(鬱々としているがちっとも不快にならない)。
そして高校(全寮制)に入る頃、氏の松本旧制高校での寮生活を描いた『どくとるマンボウ青春記』を読んだ。
高校の寮生活とはどんなものかを知りたくて。
自分の寮生活を旧制高校的な氏の寮生活と重ね合わせたかった。
私が高校時代”聖嶽院”という院号を名乗っていたのは、『青春記』の影響である。

氏の短編『虫』も印象に残った。これは一読をお勧めする(文庫本では『遥かな国遠い国』に所収)。
これの短編映画を誰か作ってほしい。
『船乗りクプクプの冒険』などは勉強嫌いな中学生を読書好きにするのに向いていると思う。
小学校時代はまったく本を読まなかった私が、中学時代に氏の作品と出会って、読書が大好きになった。
それが今の自分につながっている。
本当に感謝している。
『楡家の人々』でも読み直そう。