日曜の今日、三重の津で防災の講演をしてきた。
ちょっと自分の営業をさせてもらうと、私の講演のレパートリーは、
心理学(とりわけ恐怖感情が人気)、作法(小笠原流礼法、実技付き)、そして防災である。
心理学と作法は研究者としてであるが、こと防災は、防災士・気象予報士として、
科学的情報と市民とを仲介する立場(この存在が重要だと思っている)である。
三重県は、市民に防災・減災コーディネーターの育成に励んでおり、
防災士レベルの知識をもったコーディネーターが地域の防災に積極的に参画することを期待している
(防災士と違って、ペーパー資格で終わらずにフォローアップもしくれる)。
その講座のシンガリを担当させてもらった。
内容は、適切な防災行動、とりわけ避難判断に必要な情報取得についてで、ネット情報の活用法を具体的に紹介した。
自然災害は、地震と気象災害に大別できるが、残念なことに、ほとんどの人は被害甚大の地震災害にしか関心を示さない。
しかも南海トラフ限定で、活断層にも興味がない(ちなみに津市の下には活断層が走っている)。
もっとも東日本大震災以前、ここ東海地方は「東海地震」にしか関心がなく、
当時私が「南海トラフ」の危険性を主張しても「何それ?」という反応だったのに比べればマシになったか。
地震災害は語り継がれるが、毎年複数の地域で死者が出ている気象災害は、年が変わると記憶から消されてしまうらしい。
なので実況情報で避難判断がしやすい、すなわち予測が可能で、
被害範囲の小さい(死なずにすむ)気象防災に力を入れたいのだが、聞き手のニーズとズレが生じてしまうようだ。
防災は住民の生命がかかっているので、センセーショナリズムやニーズというような心理的反応に隷属することはできない。
講演の機会を与えられたら、無理やりでも、聞き手の耳に情報をつっこむしかないようだ。
被災者を一人でも減らすために。