昨日朝の日向灘の地震 (M6.3)に、多くの人が南海トラフのヤバさを感じたはず。
私も同感だが、感じたヤバさは皆さん以上かもしれない。
一方、気象庁は、南海トラフとの関連性をにべもなく否定。
確かに、厳密に言えば、震源地は南海トラフからは離れている。
実際、西南日本の太平洋側で地震がたびたび発生しているのだが、
ほとんどが南海トラフ上ではなく、その北側だ。
さらにもっと北に離れた地震も散見する。
たとえば、大分の豊後水道付近、あるいは和歌山の紀伊水道付近。
これらは日本の陸地側なので、南海トラフからはずっと離れている。
ただし、いずれも中央構造線沿いであることが不気味だ。
中央構造線とは、いわずと知れた日本最大の活断層。
南海トラフと中央構造線を見比べればわかるが、両者は紀伊半島・四国を挟んで平行線のように並行している。
並行しているということは、その形成に共通の力が作用していそう。
片やプレート境界、片や活断層という違いはあるが、日本というスケールで見れば、中央構造線は日本の陸地の南西部を構成するプレート境界に相当する(和歌山から四国を横断する部分はまさにトラフを形成している)※。
※中央構造線(西日本部分)上・付近にある所:伊勢市 、和歌山市、鳴門市・徳島市、松山市、伊方原子力発電所、大分市、阿蘇山、熊本市
ということは、南海トラフと中央構造線に囲まれた地帯は、いわば”ミニプレート”といってよい。
そうすると、上に挙げた地震を含む西南日本の各地で起きている地震のほとんどは、
このミニプレート内で起きていることになる。
これは南海トラフの沈み込みのストレスによるともいえ、それがこのプレート内の断層(歪み)になり、そしてそこでの地震(地下断層の破壊)が今度は南海トラフのストレスを強める(相互作用)可能性がある。
つまり、南海トラフ上じゃないから安心なのではなく、南海トラフ上じゃないからこそ南海トラフにストレスを与える心配があるのだ(南海トラフ上ならむしろストレスの発散効果を期待できる)。
そしてさらに、北側の中央構造線にもストレスを与えるだろう。
2011年に東北地方太平洋沖地震 (M9.0)を起こした日本海溝のトラフの歪みが、東北日本の西の境界線であるフォッサマグナの一部を活性化させたように(2014年の木曽御嶽の突然の噴火もその影響かもしれない)。
だから、私は今回の地震に人一倍ヤバさを感じているのだ。
ちなみに2019年になって噴火活動が活発化している阿蘇は、大分から熊本を通っている中央構造線の真上にある(阿蘇の火山体によって地上の構造線が隠されている)。
そもそもあの2016年の熊本地震 (M7.3)も、中央構造線の延長上の断層によるといえる。
動き始めているのは、南海トラフだけではないかも。