◇雲が集まる場所
天気が悪い=雲が多くて,降水(雨・雪)がある,とみなすと,
天気の悪さは雲の規模に依存します.
では,どのような場合に大規模な雲ができるのでしょうか.
気象衛星ひまわりの画像などで雲が塊のように集まっている所はたいてい低気圧です(右図:長崎付近が中心).
「低気圧が近づいてくると天気が悪くなる」というのは人生経験で御存知のはず.
ではなんで低気圧だと天気が悪いのでしょう.
◇低気圧とは
低気圧とは,周囲より気圧の低い空気の渦(うず)のことです(気圧が低いが渦でないのは低圧部・気圧の谷).
谷を標高何m以下という基準では決まらないように,低気圧もhPaの値ではなく,周囲との相対的な低さで決まります.
なぜ気圧が低いのかというと,そこは上昇気流による渦(竜巻もそのひとつ)だからです.
地上で気圧が低くなることは空気が上空に吸い上げられていることを意味します
(平均的な海抜0mの大気圧は1013hPa.でもこの値は天気には重要でない).
吸い上げられているから上昇気流,あるいは上昇気流だから吸い上げられているわけです(どっちなのかはずっと後で).
さて,前の4で説明したように、上昇気流があると雲ができたわけでしょ.
温帯低気圧は直径2000kmほどの大きさなので大規模な雲ができるわけです.
もし低気圧であっても雲ができなかったら(ものすごく乾燥した低気圧),
強風はあっても雨は降りません(アラビア半島の低気圧は雨ではなく砂嵐をもたらす).
◇低気圧の種類
低気圧には「温帯低気圧」と「熱帯低気圧」の2つがあります.
⚫︎温帯低気圧は,日本においては通常の低気圧で,特に春や秋に西から東に移動していきます.
前線を伴っているのが特徴です(小さい低気圧は前線がない).
⚫︎熱帯低気圧は夏から秋に,南方からやってくるラセン状の丸い雲域をもった低気圧で,こちらは前線がありません.
そして風速17m/s以上の熱帯低気圧を特に「台風」といいます.
台風と同じ中心気圧でも温帯低気圧には特別な名前はつきません(というより温帯低気圧ではそんな強風は吹きにくい.その理由は後で).
温帯低気圧では進行方向前面(東側)が上昇流帯で,低気圧の東から北にかけて雲が発達します(上の衛星画像参照).
熱帯低気圧では中心から同心円状に上昇流帯があります.
以上、降水←(厚い)雲←(厚い)上昇気流=低い気圧
というところまで因果関係がわかりました.
さて,では新たな疑問.なぜこの同じ地表に気圧が低い渦ができるのでしょうか.
でもその前にもうひとつ.
雨を降らせる大気の乱れ現象(擾乱:じょうらん)は、低気圧の他にもう一つあります.
何でしょうか.
高気圧?
いいえ,前線です.