前稿の「霊についての概観」の続編で、次に霊に関わる(影響を与える、受ける)人たちを分類してみる。
もちろん今回も霊が存在するという心霊論的立場での記述である(私が信じているわけではない)。
これら霊に関わる人たちを、霊能者、霊媒(と審神者)、霊感者、霊障者の4種に分けることができる。
それぞれについて説明する。
1.霊能者
霊能者は、霊に対して力を行使できる人。
より具体的には、霊視すなわち、霊を直観的・抽象的形態で認識でき(霊視認ではない)、
その霊に対して、口寄せ・除霊・浄霊ができる人。
口寄せは、霊を呼び出して、言いたいことを語らせること(人間を媒介させるのが霊媒)。
除霊は、強制的に霊を取り除くこと。
浄霊は、供養しながら霊に離れてもらうこと(納得ずくめ)で、霊格の向上も可能にする。
このように霊能者は、霊が”視える”よりも、”祓える”ことを要件とする。
また霊の憑依を制御し、憑依を防御したり、他者についた霊を自分に憑かせたり(自分で処理するため)することができる。
生霊に対しても、送ってくる念を遮断できる。
これらのパワーは基本的に霊能者自身の念の力※をもってする。
※:念の力については、記事「心理現象としての宗教:システム4」。私が真に興味あるのは、こっち。
霊能者にも能力の差があり、以上の全てができるのが理想であるが、これらの一部が不得意な霊能者もいる。
ちなみに、供養は素人でも可能(除霊は無理)。
2.霊媒と審神者(さにわ)
霊媒は、霊が憑く人すなわち憑依される人。
レベルに2種類あり、霊の着脱を任意に制御できる人は、職業的な霊媒師となれる。
すなわち、シャーマンやイタコである。
着脱が任意に制御できない人は、「霊媒体質」と言われ、霊障を受けやすい。
霊媒は霊の言葉を代弁(媒介)するわけだが、霊が演技したり嘘をつく場合もある。
すなわち霊媒が嘘を吐く場合がある。
ということは霊媒を正しく導いて、その言葉を冷静に聞ける人も必要になる。
それを伝統的に審神者(さにわ)という。
審神者は、霊を制御して、思い通りに霊と対話できる(霊との付き合い方を知っている)人で、霊媒の成否を左右する。
御嶽講(普寛系)での「中座」(なかざ)※という人がこれに相当し、霊媒に対する霊能者として、霊媒以上の修行が必要とされる。
※:中座による降霊儀式は、木曽御嶽山上でオープンで実施されるので、登山シーズン中、誰でも目の当たりにできる。
3.霊感者
霊に関して、働きかけはできないが、霊を感じる・知覚できる人。
ただ漠然とした”霊感”(感じ)だけだと主観的思い込みとの区別がつかないので、これは含めない。
私が命名し、研究対象としている「霊視認者」はこの霊感者に属する。
霊視認者は、覚醒時に明瞭な視覚像で霊を認識(霊視認)する人。
それによって霊の形態(性別・年齢帯、姿勢、服装)など、霊能者の直観的霊視では得られない具体的情報を得ることができる。
私の研究対象とする霊視認者には、必ず視た霊のイラストを描いてもらう。
視認者ならそれが可能だから。
ただし霊能者のように祓うことはできないし、霊と交流することもできない※。
※:例えば実話心霊コミックの世界でいうと、
霊能者・寺尾玲子氏は、霊視ができるが霊視認は得意でない(できる人にまかせる)。
天宮視子氏は霊視認ができ、霊視もできるが祓う力は寺尾氏より劣るようだ。
伊藤三巳華氏は純粋な霊視認者である(自ら描く)。
霊能力のない純粋な霊視認のタイプ、すなわち霊を視るだけで、音声がなく、コミュニケーションもないタイプを「シャルル・ボネ型霊視認」と名付けたい。
視野欠損による”シャルル・ボネ症候群”の幻視と同質の視認経験だから。
シャルル・ボネ症候群と区別するには、視野欠損がないことが条件となる。
また、その他に統合失調症、薬物依存、てんかんなどの精神・神経障害がない(=幻視でない)ことも条件となる。
一方、覚醒時には霊を感じず、レム(REM)睡眠時に霊を感じる人を「レム霊感者」と名付けたい。
レム霊感者は、レム睡眠という固有の睡眠パターン時に霊を感じる。
レム睡眠は、睡眠の一種だが、覚醒時とは異なる脳の活動状態で、身体は睡眠中だが、自我は目覚めている(意識がある)状態。
ストーリーがあり自己を巻きこむ夢(睡眠後期に多い)を見るのがレム睡眠で、その夢の中に霊が登場する(大抵は悪夢)。
ちなみに、普通の人が見る夢には霊は登場しない(逝去した肉親であっても)。
もう1つは、金縛りで、これは夢見の睡眠とは逆に入眠時に覚醒が残った状態で発生するレム睡眠。
意識は覚醒状態でありながら、身体の筋電位が喪失状態なので手足が動かず開眼も発声もできない。
そして五感の幻覚を伴う。
この幻覚がない場合、あるいはあっても霊的な内容でなければ単なる睡眠障害としての「睡眠麻痺」だが、
霊が出てきたり、視覚と触覚の幻覚によって幽体離脱を経験する場合は、霊感とみなせる。
実話心霊コミックの漫画家・山本まゆり氏は長年「レム霊感者」だったが、やがて覚醒時に霊を視て「霊視認者」となった。
身体の睡眠であるレム睡眠は、システム0(恒常性維持御能)が低下するので、元々外邪(外界の邪気)の侵入を受けやすい状態※。
※:たとえば外邪の1つである風邪(ふうじゃ)の侵入を許すと、「風邪(かぜ)を引く」。さらにレム睡眠時の明け方は心停止になりやすい。
それが心霊的にも当てはまるということだ。
霊視認者がいるなら、霊聴認者もありうる。
すなわち、霊の存在を音で認識できる人たち。
ラップ音、ポルターガイスト(騒霊)が出す音、あるいは霊の声(帰宅音)などがその内容。
もちろん幻聴でないことが条件となる(同席者の確認、録音データが必要)。
そうでない場合は幻聴との区別がしにくく、統合失調症の可能性も否定できない(この患者は幻視より幻聴を経験しやすい)。
上に示したように霊能者はたいてい霊感者でもあるが、霊感者は霊能力を前提としない。
4.霊障者
霊障(霊による障害=不都合)を受ける人。
霊能も霊感もないのに、霊障だけ受ける場合がある(最も多い)。
実は霊に対峙する霊能者こそ最も霊障を受けやすい(そのダメージを乗り越えて能力を高めていく)※。
※:霊障を恐れる人は霊能者の道に進まない方がいい。
霊障は以下の3つに分ける。
①身体反応
医学的に原因不明の不調で、器質疾患や感染症ではない。
慢性的なだるさ、発熱、不快感などに襲われるが、明確な身体的原因が掴めないので、
医師からは「自律神経失調症」「心身症」などと診断される。
すなわち心因性のストレス障害と見なされ、症状はそれらに準じる。
特定部位の痛みあるいは異常な腫れが起こることもあり、その部位が霊障のヒントになりうる。
ちなみに身体反応は除霊後もしばらく残るという。
②憑依反応
霊の直接憑依(乗取り)ではなく、本人の同一性を保ったままの人格変容として、たいてい負の方向への変容する(人間性の低下、凶悪化※)。
※:精神病理としての人格解離(多重人格)は、本人の同一性が保たれず(性別・年齢・氏名などが変わる)、また必ずしも負の方向の人格変容とならない。
ケモノ憑きの場合は、動物的仕草や鳴き声を発する(昭和以前はキツネの鳴き声(「コーン」)を発した例が多かった)。
これ以外の精神反応(抑うつ、不安、妄想、感情鈍麻など)は精神疾患との区別がつかないため、精神科では確実に精神疾患(うつ病、統合失調症など)と診断される(憑依現象は、精神医学で認められていない)。
これらの反応が霊障で疾患でないなら、除霊後に消失する(疾患だと消失しない)。
③事故・不幸な出来事が続く
同じ種類の事故・不幸が本人あるいは関係者の間で続く(有名なのは「ツタンカーメンの呪い」)。
ただし客観的(統計的)には、偶然である可能性があり、また共時性(意味のある偶然)の可能性もある。
あるいは霊障とは別の理由で運気が低迷する場合もある。
●霊障の判断
実はこれが難しい。
事象が霊障であるかの判断は、客観的な基準がないため、霊障者自身は判断の手がかりがない。
判断が可能なのは霊視ができる霊能者なのだが、霊能者の力量によって判断が異なり、その霊能者の力量は霊障者側で判断できない。
なので原因帰属に対する不合理な心理バイアスが発生する。
すなわち、霊障を気にしている人は、なんでも霊障だと思い込むことになる。
そのため自称霊能者が「○○の霊障だ」と自信あり気に断言すれば、それを信じ、
その後に提示される高額なグッズ(壺など)を言われるがまま購入してしまう。
事態はそれで終わらず、その後は雪だるま式に出費が増える。
「霊障」こそ、素朴な素人がカモにされる霊感商法のキーワードなのだ※。
※:カモにする側の正体はせいぜいケモノ憑きレベルの霊能なので、人間を陥れるのが快感。
まずは「霊障ではない」という前提で対処を試みることを強く勧める。
まともな霊能者なら(たいていの場合※)「それは霊障ではない」と言ってくれる(そしてグッズを売りつけない)。
そして本当の霊障だったら、霊能者が祓ってくれる(それができないのは霊能者でない)。
※:確率的に霊障でない場合(因果関係が明確)の方がずっと多いから
実は、ここ数日94歳の母が原因不明のめまい・吐き気で苦しんでいる。
こういうタイミングなので私自身が”霊障”を疑った。
同時期に自室のテレビのリモコンが突然作動しなくなったし(結局買い替えた)※。
※:電子機器は人より敏感に霊障を受けやすい
ただ、先祖供養は怠っていないし、生霊の心当たりもない(対人関係は良好)。
母のベッドの壁を挟んだ隣の私の部屋では如意輪観音をはじめ吉祥天、薬師如来、不動明王、そして巳年の母の守護神・弁才天を毎朝拝んでいる(それぞれに真言と手印。吉祥天と弁才天は相性の関係で別区画に離している)。
そして仏壇の下に置いてある”ばけたんWARASHI”は、たまに浮遊霊をキャッチする(赤く光る)が、守護霊のキャッチ(青く光る)の方が多い。
めまいで起きられない母は睡眠が多いが、悪夢は見ず、良好で現実的な夢ばかり。
病院でのMRI検査では脳に問題はなかった。
どうやら最大の原因は、水分不足らしい。
そこで、めまいと水毒に改善効果のある漢方薬「五苓散」を与えた。