NHLのスーパースター、マット・スンディンのコレクティブル。彼も昨シーズン限りで引退した選手の1人だ。スウェーデン人としては初めてNHLで500ゴールを達成し、カナダ人以外では最も長くチーム・キャプテンを務めた選手としても知られる。名門中の名門であるメイプルリーフを長年統率してきたスウェーデンの国民的英雄だ。調べてみて驚いたのだが、彼はスタンレー・カップを手にすることがなかった。当然、オリンピック金メダル、世界選手権金メダルは獲得しているので、惜しくもトリプル・クラウンは達成できなかったことになる。彼のプレーを生で見たときの印象は、とにかく大きな選手だなということだった。本当に存在感のある選手だったので、引退が惜しまれる。
昨シーズンの終了後に引退を表明したNHLのスーパースター、ジョー・サキックのコレクティブル。ジャージの部分はワインレッド1色で平凡だが、アバランチのチームカラーなので、彼らしい1枚に仕上がっている。レギュラーシーズンでの通算ポイント数は歴代8位、紛れもないスーパースターだった。彼の全盛期はアバランチの黄金時代と重なっており、その頃のアバランチは本当に強かった。あまりに強かったという印象が強いので、彼が主将を務めた時期の世界一が2回だけというのは、意外に少ないという感じすら受ける。
NHLの2009-2010年シーズンが佳境に入っている。今シーズンは、昨シーズン限りで引退してしまったスター選手が多く、何か新しい胎動が見られるのではないかとの期待が膨らむシーズンでもある。昨年限りの主な引退選手をあげると、ジョー・サキック以外に、ブレンダン・シャナハン、ダレン・マッカーティ、チーム・セラニ等の名前が挙げられる。アイスホッケー界では、オリンピック、世界選手権、スタンレーカップの3つに優勝した選手を「トリプル・ゴールド・クラブ」のメンバーと呼び、これまでに世界で22名がメンバーになっている。カナダ人としてはサキック、シャナハンを含め5名だが、昨年はそのうちの2名が引退した年ということで、その意味でも節目の年だったということになるだろう。
デイブ・ドーマンのスケッチ・カード。比較的描き込まれている部類に入るが、人物の顔でない分、人気は薄い。これも、コレクションにバラエティを持たせるための1枚、という意味合いの強い1枚である。これまで制作されたスケッチ・カードでは、人気・バラエティとも「スター・ウォーズ」と「ロード・オブ・ザ・リング」が双璧であるといっても良いだろう。特に「スター・ウォーズ」は、関連グッズのコレクターが多いせいか、最近はなかなか新しいものやカラーで人気のあるものを見かけなくなった。ただ「スター・ウォーズ」の方は、台紙の白い部分が他よりも小さいので、その分スケッチ部分が小さいのが残念だ。
ケティー・クックのスケッチ・カード。こちらは「デフォルメ派」の代表格といえる。ここまでマンガチックになると、登場人物の似顔絵が一般的な映画のスケッチカードというよりも、原作本の挿絵という方が適切なような気がする。以前、ロードオブザリングの「リング」だけを描いたスケッチ・カードを紹介したが、これもそれと同様に、ストーリーを想起させる役割の方が強い1枚と言える。こうしたスケッチの存在意義は、ある特定の「映画」のものを何でも集めるというコレクターにとって有り難いということだ。印象的な映画の1シーンである悪の巣窟のようなこのタワー(名前は知らないが)のスケッチは、そうしたコレクターにとって、おそらく必須アイテムかもしれない。
ファブリのスケッチカード。この作者も数が多いのであまり人気がないが、この作品などを良くみると、白い絵の具の使い方がなかなか効果的で、見ていて面白い。但しキャラクターが「悪役」なのが最大の難点だ。スケッチカードの作者には、緻密派とデフォルメ派の2つがあるが、この作者はその中間というイメージだろうか。こうした作者の存在は、違う作者のものをいろいろ集めるコレクター、同じ登場人物のものばかりを集めるコレクター、両方にとって有り難い。特徴があって、数が多いということは、コレクションのバリエーションを増やすのに最適だからだ。
ブライアン・ロッドのスケッチ・カード。緻密な描写ではないが、達者なテクニックを披露しており、モデルであるアラゴルンの雰囲気もそれなりに掴んでいるので、なかなかの出来映えと言えるだろう。こうしたスケッチカードを見ていると、私のように作者が違えば何でも集めてしまうというのではなく、同じ「登場人物」のものだけを作者別に集めるコレクターが数多く存在する気持ちが良く判る気がする。作者別にこのキャラクターをどう表現しているのか、という基準で集めるのはさぞかし面白いだろうと思う。アメリカのコレクターで「アルウェン」ばかりを集めている人がいるが、そのコレクションには大いに感動した。とにかく、コレクションというものは、何かストーリーのある(人に語れる)テーマ性を持つことが重要なのだと思う。
少し前(2009年11月)に、スペースシャトルとスペースラボの機体の一部のコレクティブルを紹介した。その時、エンデバー号のものだけまだ入手できないと書いたが、このたびようやく入手することができ、晴れて全5種を揃えることができた。このように、シリーズもののコレクティブルを全種類集め終わることを、コレクター仲間の間では「コンプリした」という。「コンプリート」という英語の省略形である。コレクター雑誌などでは、集めるのが難しいシリーズを「コンプリ」したコレクターが紹介されていたりする。いずれにしても「このシリーズを集める」といった目標を立ててそれに向けて努力する、これがコレクターの情熱の源泉であり、コレクションすることの醍醐味である。5枚揃ったものを並べてみると、機体の部分の色が、銀、オレンジ、白黒の編み目、黒に赤(ワイヤー部分)、それに今回(エンデバー)の金と、偶然だが全て色違いになっており、見ていて実に美しい「コンプリ」となった。
これも<Robert Teranishi>のスケッチカードである。スケッチカードは、①有名画家かどうか ②図柄が魅力的かどうか ③彩色をほどこすなど手が込んでいるかどうか、の3つが人気のポイントだ。このスケッチカードは、①については制作枚数が多すぎて人気がない、②については悪役キャラクターは人気がない、③それなりに手が込んでいるがカラーでない、ということで、ほとんど人気のない1枚ということになる。私自身は、それぞれの画家のものを1枚ずつ集めたいという感じでコレクションしているが、彼のものは数が多すぎて、もう何枚も持っている。供給過多に陥っている1枚ということになるだろう。
「スケッチ・カード」というコレクティブルについては既に何枚か紹介済みだが、まだ紹介していないものが少し残っているのでここで紹介しておく。
前に紹介した時、スケッチ・カードは「新しいコレクション」ということでかなり人気があり、有名画家の手によるものは入手が極めて困難な状況にある(数十万円の値がつくものもある)と書いた。最近は少し落ち着いたのか、あるいはいろいろな種類のスケッチ・カードが制作されてやや飽きられてしまったのか、あまり騒がれなくなっているようだ。それでも、時間が経つにつれて、人気画家のものは落ち着くところに落ち着いたようで、流通市場ではほとんど見かけなくなってしまっており、そうした逸品の入手の難しさは変わっていないような気がする。少し前に紹介した「マリリン・モンロー」のスケッチ・カードなどはそうした「入手困難」な部類に入るものである。
ここで紹介するのは<Robert Teranishi>のスケッチ・カードである。彼の作品は、質的にはかなり高い水準にあると思うのだが、とにかく枚数が多いので、あまり大切には扱われていない。実際、このカードも出来映えとしてはかなりだと思うが、特に入手が困難だったわけではない。人気がなくても自分が気に入ればそれを集めるというのがコレクションの基本だが、やはり人気のある方が、集めがいがあって楽しいという面もある。質と人気が必ずしも一致しないのがコレクションの難しいところだ。
MLBのかつての大投手、ボブ・ギブソンのジャージをあしらったコレクティブル。古めかしいデザインに趣きがあって、持っていて楽しい1枚なのだが、実はこのカードには致命的な欠陥がある。写真を良くみると判るのだが、真ん中から少し下のところに横一直線に、ギザギザのへこみがある。これは制作のプロセスで、生じたキズと思われる。こうした制作過程で生じたキズがある場合、制作会社に連絡すれば、キズのないものと交換してもらえるのが一般的である。制作会社はそうした「欠陥品」への対応のために、幾ばくかの予備を制作して手元に保管しているらしい。同じものがない場合は、代替品が送られてくることがあるが、その場合はかなり人気の高いものがもらえることもある。このカードについても、そのような手続きを取れば、キズのないもの、あるいはそれに代わるものと交換できるはずだが、海外とやりとりをして交換してもらうのが面倒なので、今まで放置してある。そのあたりは、要するにこのコレクティブルに対する思い入れが強いかどうかであるが、私にはそうした思い入れがないということである。
先日紹介したマノン・レオムのカード2枚。これは1992年に彼女が女性として史上初めてNHLの試合に出場したことを記念して作られたもので、カナダのコレクターから譲りうけたものである。左のカードは試合前の準備をしている写真、右のカードは試合直後のゴーリーマスクをはずしたところの写真である。両者を比べてみると、試合がいかに激しいものであったかが判る。
彼女のコレクティブルは、もう10年以上前になるが、サインを含め、集められる限りのものを集めたことがある。しかし、当時は(今もそうだが)オフィシャルなメインの制作会社のものは皆無で、マイナーなものをこつこつと集めるしかなく、日本では10枚程度しか集めることができなかった。彼女のものに限らず、NHLのコレクションをするには、日本にいてはどうしても限界があった。カナダのコレクターやカードショップに手紙を書いて譲ってもらったりしたが、今のようにインターネットで世界中から情報を入手できるまでにはなっておらず、どのようなものがあるのかさえ日本ではなかなか情報が得られなかった。NHLのコレクションに熱心だった頃は、本気でカナダに暮らしたいと思ったものだ。アメリカでなくカナダなのは、カナダの方がアメリカよりもコレクティブルが約2割程ほど安く入手でき、コレクションするのに有利だという情報を耳にしていたからである。今からでも遅くないかも知れないが、当時に比べるとコレクションの興味がNHLだけでなくなったので、今行くとしたらやはり土地勘のあるアメリカかもしれないと思う今日この頃である。
何度も紹介しているNHL史上最高のゴールキーパー、ドミニク・ハシェックのレッグ・パッド(防具)のコレクティブル。裏地の布の部分かと思われる。白い布にやや汚れがついているが、こうした適当な汚れも、こうしたコレクティブルではそれらしくて良い感じだ。10年ほど前に、ハシェックの防具としては初めて製作されたものだったと記憶している。防具のコレクティブルは今でこそ珍しくないが、これが製作された当時はかなり珍しかった。現在でも、ユニフォームなどに比べて製作される数が少ないため、それなりに人気は高い。
俳優ベン・スティラーの衣装をあしらったコレクティブル。使用されているのは、映画「ポリー My Love」(2004年)でベン・スティラーが使用した衣装とのことである。ベン・スティラーの出演作は数多いが、有名なところでは映画版の「スタスキー&ハッチ」のスタスキー役、最近では「ナイト・ミュージアム」の主人公ラリー役といったところだろう。彼の経歴を見ていると出演作だけで80以上、さらにプロデューサー、監督として作品に名前が出ているものが30以上ある。また本人の名前で登場するTV作品なども100を超えており、これまでここで紹介してきた俳優の中では、数量的に最も多く、しかも多方面で活躍している俳優の1人と言えるだろう。
映画「ジョンQ」で主人公ジョンQ役のデンゼル・ワシントンが使用した衣装のコレクティブル。かなり印象深い「オレンジ色」の衣装だが、私はこの映画を観たことがないので、どのような場面で着用していたのかは判らない。デンゼル・ワシントンは、アカデミー賞の主演男優賞、助演男優賞を1回ずつ獲得している名優で、ニューヨーク州のマウント・バーノン出身とのこと。マウントバーノンは、マンハッタンからハーレムラインに乗って20分ほど北上したところにある町だ。ハーレムラインは高級住宅地と治安の悪い地区を交互に通り抜けていくような列車で、確かマウントバーノンは、治安の悪い地区との境目にあるどちらかといえば高級住宅地だったと記憶している(マウントバーノンを過ぎるとまた少し治安が悪くなり、次にまた高級住宅地のスカースデールやハーツデールになる)。デンゼル・ワシントンは黒人でもかなり恵まれた環境にあったのではないかと推察される。
大リーグの左腕投手ドントレル・ウィリスのコレクティブル。彼については、サインを紹介(2度)した時にいろいろ書いたので、もう書くことはほとんどない。このコレクテイブルは、ビンテージカードを保護するような形で、フィルムのなかに納められており、直接さわることができないようになっている。これはこれで面白いアイデアである。それから、図柄をパッとみると、彼の頭の写真の下に漫画のように短い手足がついているように見えて笑える。