ウェイン・グレツキーのコレクティブルの1つで、これは彼が試合で使用したスティックをあしらったものである。前に述べたかもしれないが、NHLに関するコレクターの3大アイテムは、ジャージ、スティック、サイン入りパックということになるだろう。但し、サイン入りパック以外の2つは、流通する数も少なく、スター選手のものとなると非常に高価になってしまう。グレツキー選手などの場合は百万円を軽く越える金額になってしまう。そこで多くのファンが気軽に収集を楽しむことができるよう、こうしたコレクティブルが作られるのである。このアイテムは、右下に小さく印刷されたマークからもわかるが、1999年に彼の引退を記念して製作されたシリーズの中の1枚である。
ある選手が実際の試合で着用したジャージを「game worn jersey」という。このグレツキーのコレクティブルには「practice jersey」とあるので、練習で使用した(実際のゲームでは使われていない)ジャージである。NHLの場合、試合で使用するジャージーは全て個人所有ではないチームからの支給品で、選手あたり年間2枚という話を聞いたことがある。それだけジャージーというのは貴重品なのである。そのため、レプリカが作成されたり、こうした練習用のジャージーに対する需要があるということになる。通常、コレクティブルを製作する場合、「実際に試合で使用したもの」というのが売り物になるので、コレクティブルの場合はこうした「practice jersey」の方が見る機会が少ないような気がする。なお、「game worn jerjey」の定義については、「控えの選手で全く試合に出なかった選手が着ていたジャージーはgame worn jerseyなのかどうか、等いろいろな議論がある。どの世界も、いろいろうるさい人間がいて、それがまた結構面白いのである。
グレツキーのコレクションから、次はグレツキーのジャージをあしらったコレクティブルである。彼のジャージのコレクティブルは、現在、おそらく百種類以上存在すると思われるが、ここで紹介しているのは、その中の最初の1枚、彼のファースト・ジャージ・カードである。貴重なものであると同時に、グレツキー・コレクターにとっては何が何でも手に入れておきたい一品である。これとRCとサイン、この3つを揃えて初めて「グレツキーのコレクターです」と公言できる、というくらいの感覚だろう。今思うと白一色の地味なジャージだが、これを入手したときの嬉しさは今でもよく覚えている。ハサミを持って彼に近づく危ないファンの写真に「そんなことをしなくても…」というキャプションのCMがあったのを記憶している。とにかく、彼のジャージを手に入れようとすると、通常数万ドルはするのだが、こうしたコレクティブルの登場で、もっと気軽に彼のメモラビラが手にはいるようになったのである。使われているジャージは、写真のように彼がオールスターゲームで実際に着用したジャージである。
グレツキーのエドモントン時代のカード。このあたりのカードになると、RCや2ndイヤー・カードに比べてなかなか見かけることも少なくなってくるのが一般的だが、このカードは大変有名で、よく知れ渡ったカードだ。それは、単にグレツキーのエドモントン時代のカードだからということだけではない。このカードの人気の秘密は、図柄が、アメリカ・スポーツ史上(NHL史上ではなく)最高のキャプテンシーの持ち主と言われた「メシエ」とのツーショットだという点にある。この時、この2人が後で両方ともNHL史上でも傑出したスパースターになることはもちろんわかるはずもない。さらに、15年くらいたって、両雄が再びNYレンジャースでチームメイトとして一緒にプレーするという大きなドラマがあったことも知りようがない。後からおきる事象がコレクションの価値や意義を大きく変化させるということは時々あるが、これもその最たるものと言えよう。
これは、先日紹介したグレツキーのルーキー・カード(RC)製造の翌年に発売された、いわゆるSecond Year Card である。自慢になってしまうが、私は、アメリカバージョン、カナダバージョンの違いを考えなければ、グレツキーのエドモントン・オイラーズ時代のCardを全て収集し終えている。コレクター用語でいうと「コンプリート」している。このカードは、そうしたなかでも入手にかなり苦労した1枚である。80年代まで、NHLの選手のカードは毎年基本的には1種類しか製作されていなかった。従って、ある選手のcardを集める場合、通常は毎年1枚集めれば済むのだが、グレツキーのカードを集める場合は事情が違う。ある年に「最多得点」などのタイトルを獲得した選手については、そのタイトル獲得を記念して、その翌年に通常の1枚のカードとは別に記念カードが製作されるので、集める枚数がが多くなる。グレツキー選手の場合、ルーキーの年から大活躍をしてタイトルを総なめにしたために、2年目から何種類ものカードが製作された。そのため、全てを集めることが通常の選手よりもはるかに難しいのである。なお、このカードの右下には、彼のポジションを示す英語の「center」とフランス語の「centre」が併記されており、これがカナダバージョンであることが判る。
このスペース・シャトルの機体の一部をあしらったコレクティブルは全部で5種類、それらは全て紹介済みだが、コロンビア号の別のコレクティブルを入手したので紹介しておく。
(既紹介分)2009年11月20日 ディスカバリー号
2009年11月23日 アトランティス号
2009年11月24日 コロンビア号
2009年11月27日 スペース・ラブ
2010年1月12日 エンデバー号
前に紹介したコロンビア号と比較してみると、前のものが離陸前の推進ロケット部分を含む全体の写真、今回のものが宇宙空間に行った後の写真ということで、かなり趣が違っている。また、コレクティブルの部分も、前のものは銀、今回のものが金、ということで、両方とも持っていても面白い気がする2枚である。
ここで紹介するカードは、NHL関連コレクターならば誰でも1枚は欲しいと思う、NHLグッズの至宝中の至宝、ウェイン・グレツキーのルーキー・カードである。まだ完璧な状態(グレード10)のものは発見されていないようだが、もし発見されれば、まさしく「ホッケーのホナス・ワグナー・カード」ということで、天文学的な値段で取引されることになるだろうと言われている。グレツキーのカードは、アメリカで発売されたものとカナダで発売されたものの2種類がある。図柄は一緒だが、表と裏のマークが違うので識別できる。おそらく発売枚数が少ないためと思われるが、カナダ発売の方が倍以上の値段で取引されている。ここで紹介しているのはアメリカ発売のものである。このカードは、まだ正式には鑑定をしてもらっていないが、センタリングの良さ、エッジのシャープさはかなりのもので、私が入手したカナダのディーラーはグレード9だと言っていた。つまり現存するなかでもかなりの上位に属する逸品ということになる。最近の情報ではグレ-ド9.5のものが2万ドル以上で取引されているので、このカードもかなりの値段が付くに違いない(もちろん売るつもりはないが)。
映画監督ロン・ハワードのサイン。彼は映画俳優としても活躍していたようで、その時の写真が使われている。
彼については個人的な思い出がある。私がNYに住んでいた時、小学生の娘がピアノを習っていた。私は知らなかったのだが、そのピアノの先生というのが、かなり有名な人物だったようで、生徒のピアノの発表会を、なんとマンハッタンにある「スタンレー」本社の売り場を貸切って行うということになった。当日、生徒である子供とその父兄が集まって発表会を行ったのだが、その父兄のなかに、他の人からサインを頼まれ、にこにこしながらサインをしている男性がいた。有名人なのだろうかと思って、他の父兄に聞くと「ロン・ハワード」だという。そういえば、サインをもらっている人の中には、当時アメリカで大ヒットしていた「アポロ13号」のDVDを差し出しそこにサインを貰っている人もいた。アカデミー賞2部門を受賞した作品の監督ということでまさに時の人だったのである。2人おいて隣くらいに彼が座っていて、握手かサインでもと思ったが、タイミングを逸して、結局どちらもだめだった。その彼のサインカードが売り出されたという話を聞いて、この1枚はなんとしてでも手に入れたかった1枚なのである。その後、2001年には「ビューティフル・マインド」でアカデミー監督賞を受賞、その他「ダビンチ・コード」というヒット作を監督するなど、順調に活躍しているのをみると、何故かとても嬉しい気がする。
伝説的なNHLのポイント・ゲッター、マイク・ボッシーの写真とアイスホッケーの聖地ジョー・ルイス・アリーナの壁の一部をあしらったコレクティブル。以前同じシリーズの1枚を紹介したことがあり、それもそうだったのだが、マイク・ボッシーとジョー・ルイス・アリーナに特に深い関係があるわけではない。もちろん、同アリーナでプレーをしたことは数多くあるだろうが、そうした選手は他にいくらでもいる。ボッシーはNYアイランダースをホームとしたフランチャイズ・プレーヤーである。両者の結びつき・因縁というよりも、彼がキャリアのピークに突然引退した伝説的な選手であるということで、こういう組み合わせが選ばれたのだと考えられる。
大リーグのサミー・ソーサ選手のルーキーカードである。サインは紹介したが、まだルーキー・カードを紹介していなかったので紹介しておく。まだ20年そこそこ前のものだが、写真や作りは何とも古めかしい。このころのルーキー・カードをみると、ひげを生やした写真が多いような気がするがなぜだろう。このRCの写真のソーサもひげを生やしているが、全く似合っていない。ファッションだったのかもしれないが、その当時は私自身もすでに大人で、ファッションの流行くらいは何となく知っているつもりなので、どうも釈然としない。何か野球選手だけに限定された流行でもあったのだろうか。少し謎である。
既に何枚か紹介したロバート・テラニシのスケッチ・カード。彼らしいといえば彼らしい1枚。筆致の確か・描写力はあるのだが、どことなく魅力に欠ける。問題はいくつかあるが、最初に目につくのは、線が薄い(=力を入れて描いていない)ことだ。柔らかいタッチを出すためであれば薄い線を用いるのも納得がいくが、題材からいってそういうことではない。要するに、たくさん描くために力を惜しんだのだろう。これは、スケッチ・カードとしては致命的だ。
まだ他にもスケッチ・カードを持っているのだが、後は魅力のないものばかりなので、また新しい魅力的なものが入手できたら改めて紹介することとして、とりあえずはここまでとしておきたい。何日か前に、人気のあるスケッチカードの条件として、①作者のネームバリュー ②図柄の良さ ③手の込み具合 の3つをあげたが、最後に、再度、私にとっての良いスケッチ・カードの条件を羅列しておく。
①作者のネームバリューも大切だが、やはり制作枚数の少ない画家のものが欲しい。
②図柄は、やはり人気のあるキャラクターで、顔ならば正面を向いたものが良い。
③見栄えから言うと、何と言ってもカラーに勝るものはないが、カラーならば何でも
良いという訳ではない。できれば緻密な下絵に丁寧に彩色したものが良い。
④小さな紙片ということを感じさせないスケールの大きい構図のものが良い。
大リーグの若手のホ-プ、プリンス・フィルダーのルーキー・カード。阪神タイガースで活躍したセシル・フィルダーの息子ということで、活躍すると日本でも報道されることがあり、比較的知名度は高い。ほぼまる4年間、大リーグでプレーしているが、年間本塁打40本、平均打率.290とパワーヒッターでありながら、ステディな面も併せ持った期待の若手だ。父親はギャンブルで多額の借金を抱えて破綻状態にあるそうだが、そうしたことを反面教師として堅実にプレーをしていけば、殿堂入り等も可能ではないかと思わせる逸材とのことである。
ダラ・ベッキアのスケッチ・カード。この1枚の最大の欠点は、台紙の白い部分を最大限に使っていないことである。それは、実際に描かれて絵が小さいとか、上の方に余白がありすぎるといった見た目や構図だけにとどまらない欠点でもある。スケッチ・カードの醍醐味は、小さな紙片の上に、どのようにスケールの大きな世界を描くかという点にある。だが、描こうとする対象物に集中しすぎると、何となくちまちました絵になってしまう。これなどは、そうしたのびのびした感じがしないので、どうしてもちまちました感じになってしまっているように思われる。
ジョン・マックレアのスケッチ・カード。黒塗りをうまく使って、ダースベーダーの雰囲気がそれなりに良くでている1枚である。このように、鉛筆ではなくインクで書かれたものは、絵の細密さよりも、こうした面のコントラストやタッチを楽しむことができる。またインク画の場合は、鉛筆と違って書き直すことができないので、作者の力量が如実に現れるように思われる。これもそうした意味でなかなか緊張感のある秀逸な1枚だと思う。
NHLの強豪チーム、レッド・ウイングスの若きエース、ヘンリック・ゼッターバーグのルーキー・カード(RC)。表面に金粉をまぶしたようなきらきらが施されており、何種類かある彼のRCのなかでも特に豪華な感じがする1枚である。彼は、新人時代からその将来を非常に嘱望されており、彼のRCは製造された当初から大変人気があったのを記憶している。私も、その彼のRCを何種類か持っており、その中には、製造枚数が極めて少なく、しかもグレード10の鑑定済みのものがあった。当時は、今のように枚数の少ない特殊なRCが数十万円で取引されるというようなことはなかったが、それでも彼の限定版のRCには、びっくりするような値段が付いていた。私としては、その希少なRCとこの美しい1枚のどちらを手元に残しておくか、悩んだ末にこちらを残すことにしたという記憶がある。このカードは、今見ても本当に美しい。彼も、2008年に所属するレッド・ウイングスがスタンレー・カップで優勝、同僚のミカエル・サミュエルソン、ニコラス・クロンウォールと同時に、最も新しい18~20人目のトリプル・ゴールド・クラブのメンバーになった選手である。