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青くて痛くて脆い 住野よる

やがて訪れるであろう悲劇の予感から、読んでいて切なさ、息苦しさを感じ、読み終えてしばしどこかに救いはないだろうかと考えてしまった。理想を持ち、自分を尊重し、理想に向かって行動する、そうした正しいとされることをしながら、他人を傷つけてしまう主人公。そうした正しさにも全て「他者との関わり」がある以上、それを単に「独りよがり」という言葉で片付けずに避けたり折り合いをつける道はないのだろうか。特に、「理想に向かって行動する」ところで、現代のネット社会ならではの「他者との関わり」、主人公の行動がネットで拡散していく事情が、その難しさを大きくしてしまっている。それがこの小説の現代性だ。色々言われているのとは違った意味での現代社会の生きにくさがここに表現されている。(「青くて痛くて脆い」 住野よる、角川書店)

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