goo

ふしぎ地名巡り 今尾恵介

地名に関する豆知識が満載の一冊。題名から「変な地名」ばかりを扱った内容かと思って読み始めたのだが、最初のあたりはごく普通の地名の由来の解説本という感じ。それでも「塚」という漢字が使われているのは「人口の山」がある場合とか、「火」という漢字のつく山は火山ではなく昔「狼煙」をあげた場所が多いなど、へぇと思う内容が続いていて面白い。さらに話は魚へんのつく地名、木へんのつく地名、色の名前が入った地名など、様々な漢字を核にした地名に関する蘊蓄、更に沖縄や京都の独特の地名とか住所表記の話、戦争前の軍事機密法によって改名された地名の話といった具合にバラエティに富んだ話が続く。日本の地名の由来はその土地の地形、特産物、歴史的出来事など様々だが、それに加えて早い者勝ち、当て字、好字二字といった要素が加わり、とにかく一筋縄ではいかないもののようだ。「ゴロゴロ岳」の由来が岩がゴロゴロではなく「標高が565.6メートルだから」といった笑いもあり、色々な意味で充実の一冊だった。(「ふしぎ地名巡り」 今尾恵介、筑摩文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )