goo

みつばの郵便屋さん(2) 小野寺史宜

今注目されている著者のシリーズ2作目。1作目を読んでから随分時間が経ってしまったが、不思議と主人公を取り巻く人間関係はぼんやりと覚えていた。内容は、題名通り郵便配達のお仕事小説ということになるが、やはり著者の本はひと味違うと今回も感じた。様々な個性を持った同僚との職場での人間関係、仕事特有の苦労、仕事への愛着とプライド、仕事を通じた人間としての成長など、お仕事小説に必要な要素を全て満たしつつ、それだけに終わらない魅力が随所に感じられる。表面的には大きな事件やトラブルは皆無なのだが、小さな出来事に対する主人公の感受性の描写が著者ならではのものだからだろう。1作目と2作目の間が空いてしまい、その間に5作目までが刊行され、シリーズも完結してしまったらしい。熱烈なファンという訳ではないが、このシリーズをまだあと3冊楽しめるというのは読者として有難いという一言に尽きる。(「みつばの郵便屋さん(2)」 小野寺史宜、ポプラ文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )