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禁忌の子 山口未桜

本屋大賞にノミネートされた作品ということで読んでみた。本書は、現役医師である著者のデビュー作で本格ミステリーの登竜門鮎川哲也賞受賞作とのこと。ある病院に搬送されてきた変死体がそれを検分した医師と瓜二つという、あまりにも不思議な出来事から物語が怒涛のように展開していく。随所に散りばめられた医学知識と深まる謎に翻弄されながら、こんな不思議な話が本当に収束するのか、納得のいく謎解きがされるのか、色々疑問に思いながら読み進めていくと段々物語の輪郭が見えてくる。そして最後の展開の意外さに、途中のかなりご都合主義的なところもあまり気にならなくなるし、事件全体と関連する医療技術の進歩や医療行政のあり方の課題は現役医師らしい問題提起になっていて考えさせられる。巻末に本作の探偵役の医師が登場する次の作品が2025年中に刊行されるという告知が載っていて、医療+本格ミステリーとしてシリーズ化されるらしい。デビュー作には作者の全てが詰まっていると言われるが、次回作が本作を超えることができるかどうか、今から楽しみにしたい。(「禁忌の子」 山口未桜、東京創元社)
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