梨木 香歩 著 新潮社。
梨木さんの最新刊。ぬか床と沼地のお話ですってことで、今回お終い・・・って、分けわかんないですね。
帯には、 「からくりからくさ」に連なる、命のものがたり とあります。なるほど、とも思うし、ちょっと印象は違うかなあ、とも思います。
両親を事故で亡くしてから、いままでずっと一人暮らしを通してきた上淵久美。母親の妹、時子叔母が自宅で亡くなったことから、家宝の「ぬか床」を受け取ることになる。この、ぬか床が・・・只者ではないのだ。手入れする人を選ぶは、うめくは、叫ぶは、卵は産む(??)は・・・
そして、「カッサンドラ」という不気味でとても気分の悪い女が卵から孵った後、状態が悪くなってしまったぬか床のために、「和からし」を入れたことから話が動き出す・・のかな。帰りだす・・といった方がいいのかな・・・?
自分の祖先をたどり、出身の島にわたって「ぬか床」を沼に帰すために、風野という酵母菌の専門家で亡くなった叔母ともぬか床のことで知り合っていた男性(だけれど、男という精神を否定している人。というか、性を否定しているのかな?)と共に久美は島に渡る。
その合間に3話、別のお話が組み込まれる。違う視点から描かれるお話。それがまた絶妙に本編に絡まる。大木にからまる蔦のように、からくさ模様の、ように。
命。
その一番小さな単位ともいえる、細胞。太古の昔にうまれた、たった一つの細胞が、生き残ろうといろいろなことを試みる。分裂と再生と変化と変異と・・・その中の1つの方法として、沼地という特殊な状態が生まれ、島と、そして受け容れるだけのゆとりをもった人々に守られつつ時を経て、時代の流れに逆らえず、島を出てぬか床となる。
それがいま、人のいなくなった島の沼地に帰ったとき、その後がどう変わっていくものかそれは、まだ誰にもわからない。
平和に滅びていくという、沼の人たち。
変わっていくタモツくんとアヤノちゃん。
風野さんと久美さん。
どんな形を取っても、何に形を変えても、伝わってゆく何かがある。生命は、いつか必ず、光のように生まれてくる。
今までの、梨木作品とは、ちょっと違う印象を受ける。
やわらかさ、だろうか。
物語のなかに、激しいものが確かに存在するんだけれど、そこを今までのように鋭利に切り込まずやさしく描く。
生命に対するあたたかさを感じるような・・・なんとも言いがたいのだけれど、あえて言うならば、非常にやさしい物語。
命とは何なのか。白銀の世界とは何なのか。変わるというのは、どういうことか。
その先にあるものは、一体何なのか。
余談。
久美さんがぬか床をかき回している、物語導入部。ぬか床のにおいがしてきた。実家のぬか床。おいしいお漬物。冬はちゃんと塩で蓋をして、すっぱくなりそうだと「和からし」を入れて・・・母がそうして手入れをして、もう何十年も生きているぬか床。うーん!ぬか漬が食べたい!!でも、来春までお預けだよなあ。今は冬。ぬか床は「お休み中」なんだもの・・・。
梨木さんの最新刊。ぬか床と沼地のお話ですってことで、今回お終い・・・って、分けわかんないですね。
帯には、 「からくりからくさ」に連なる、命のものがたり とあります。なるほど、とも思うし、ちょっと印象は違うかなあ、とも思います。
両親を事故で亡くしてから、いままでずっと一人暮らしを通してきた上淵久美。母親の妹、時子叔母が自宅で亡くなったことから、家宝の「ぬか床」を受け取ることになる。この、ぬか床が・・・只者ではないのだ。手入れする人を選ぶは、うめくは、叫ぶは、卵は産む(??)は・・・
そして、「カッサンドラ」という不気味でとても気分の悪い女が卵から孵った後、状態が悪くなってしまったぬか床のために、「和からし」を入れたことから話が動き出す・・のかな。帰りだす・・といった方がいいのかな・・・?
自分の祖先をたどり、出身の島にわたって「ぬか床」を沼に帰すために、風野という酵母菌の専門家で亡くなった叔母ともぬか床のことで知り合っていた男性(だけれど、男という精神を否定している人。というか、性を否定しているのかな?)と共に久美は島に渡る。
その合間に3話、別のお話が組み込まれる。違う視点から描かれるお話。それがまた絶妙に本編に絡まる。大木にからまる蔦のように、からくさ模様の、ように。
命。
その一番小さな単位ともいえる、細胞。太古の昔にうまれた、たった一つの細胞が、生き残ろうといろいろなことを試みる。分裂と再生と変化と変異と・・・その中の1つの方法として、沼地という特殊な状態が生まれ、島と、そして受け容れるだけのゆとりをもった人々に守られつつ時を経て、時代の流れに逆らえず、島を出てぬか床となる。
それがいま、人のいなくなった島の沼地に帰ったとき、その後がどう変わっていくものかそれは、まだ誰にもわからない。
平和に滅びていくという、沼の人たち。
変わっていくタモツくんとアヤノちゃん。
風野さんと久美さん。
どんな形を取っても、何に形を変えても、伝わってゆく何かがある。生命は、いつか必ず、光のように生まれてくる。
今までの、梨木作品とは、ちょっと違う印象を受ける。
やわらかさ、だろうか。
物語のなかに、激しいものが確かに存在するんだけれど、そこを今までのように鋭利に切り込まずやさしく描く。
生命に対するあたたかさを感じるような・・・なんとも言いがたいのだけれど、あえて言うならば、非常にやさしい物語。
命とは何なのか。白銀の世界とは何なのか。変わるというのは、どういうことか。
その先にあるものは、一体何なのか。
余談。
久美さんがぬか床をかき回している、物語導入部。ぬか床のにおいがしてきた。実家のぬか床。おいしいお漬物。冬はちゃんと塩で蓋をして、すっぱくなりそうだと「和からし」を入れて・・・母がそうして手入れをして、もう何十年も生きているぬか床。うーん!ぬか漬が食べたい!!でも、来春までお預けだよなあ。今は冬。ぬか床は「お休み中」なんだもの・・・。
>梨木ワールドの総決算というよりは、新たな出発を感じさせる一作
私もそう、思います。なんだか今までよりやわらかい、というか、角が取れて一歩近い作品のような。テーマはとても厳粛なんだけれど、それを表現するやり方が、、というか、、、あ、ボケツ・・何を言っているのやら(爆)
傑作と呼び声が高いですが、私は、その次の作品に期待しちゃいます。
決して、「沼地」がよくないと言っているわけではなく、確かによい作品であることに変わりはないのですが。
命というテーマは荘厳で、重いですね。