のんびりぽつぽつ

日常のこと、本のこと、大好きなこと・・・
いろいろ、と。
のんびりと。

「弧宿の人」

2009年12月17日 09時06分33秒 | ★★宮部みゆき
宮部 みゆき 著 
新潮文庫。上下巻。


以下、ネタバレあり!です。未読の方、ラストに触れていますのでご注意くださいませ




では、いきます。


人は、こんなにも脆いものか。
たったひとつの出来事が、たった一人の人物が、一つの藩を狼狽させ、心の中に闇を起こし破滅に向かわせる。
はからずもまた、たった一人の少女が、その関わった全ての人にほのかな光をみせる。

無垢 とはこういうことなのか。

あまりにも、人が死にすぎて、正直、上巻で止めたくなった。
今の私が手にする本じゃなかった気はしている。
それでも止めずに読み続けられたのは、ほうがいたから、、、。

はたから見たらあまりに過酷な人生を、自身はただただ必死に精一杯生きる。
その時々に救いの手をさしのべる人々は、その時々の都合でまた、冷たい仕打ちもするというのに。
どうしてこの子はこんなにも人をきちんと見て受け止めることができるのだろう?

本人はそうとは気付かずに、一番本質の所を良く判っている少女。
彼女の姿を追いたくて、結局最後まで読みきってしまった。

それにしても、武家社会っていうのは、本当に面倒だ。
参ったな。
本気で家斉公をキライになりそう。。
この丸海藩の騒動も、大元を探れば、公の我儘身勝手が引き起こしたこと。
一橋と田沼・・・・・(これ以上はここでは脱線だから言わないけれど・・・)
政治の中枢から遠く離れた場所にまで、
その時の国のトップに立つものは影響を及ぼす。

雷の怖さを知り尽くした場所での、
雷の怖さを使った思惑。
ただ優しいだけではない、大人の暗い思惑と、
ただ、純粋に守ってやりたい、救ってやりたいという若者達のこころと。

人の強さと弱さがあちこちに散りばめられて、辛く切なく胸を打つ。

様々な闇を見つめて、それでも生き残った人々は先に進まなくてはいけない。
たった一つ、ちいさな光であったほうの行く末に幸あれ!
涙と嗚咽のとまらないラストの中で祈っていた。

真っ暗闇の中の一点の灯り。
ほう。方。宝・・・
彼女は読む側にとっても唯一の光だったな。

ほんっとに・・・参った・・・。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 帰省。 | トップ | 映画も発売されたみたい(Blog... »

★★宮部みゆき」カテゴリの最新記事