夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

作家・立原正秋(たちはら・まさあき)氏に、私は圧倒的に熱愛していた頃の思いで・・。

2011-08-08 22:23:29 | 真摯に『文学』を思考する時
私は過ぎし4月の下旬に、家内に手伝って貰いながら、本の整理をした。
居間は17畳前後の洋間であり、本棚は3本と小さな本棚が1本あり、
和室の奥の書庫に3本あり、2階の洋室に1本あるが、
収納出来なかった本は、押入れ等にあった。

たまたま若き頃に、映画・文学青年の真似事をした体験もあったので、
小説、随筆、歴史書、現代史など本は5000冊前後あり、
この際、老後に向かうこともあり、徹底的に処分しょう、と決意したのである。

小説・文学評論が圧倒的に多く、、
石川達三、丹羽文雄、三島由紀夫、安部公房、大江健三郎などの各氏の作品も多数あり、
そして福永武彦氏の本は、殆ど所有していたが、
この方たち作家の作品は、今後は読むこともないだろう、と処分した。

こうした中で、ある作家だけは、どうしても捨てきれず、書庫に残すことに決めたのである。


私は東京オリンピックが開催された昭和39年(1964年)の頃,
大学を中退し、映画・文学青年の真似事を始めた・・。
そして翌年の夏、立原正秋・著の『剣ケ崎』(新潮社)の短編集を購入し、
深く魅せられて、過去に発売された単行本の『薪能』(光風社)を古本屋で買い求めたりした。

この頃の私は、文学に関する月刊誌は、
純文学として、『新潮』、『群像』、『文学界』、
中間小説として、『小説新潮』、『オール読物』、『小説現代』を精読していた。
そして、欲しい小説の単行本があったならば、
たとえ一食抜いても、買い求めていた時期であった。

私は作家・立原正秋に関しては、これ以降は作品、随筆が発表されるたびに、
買い求めて、熱愛し、精読していた・・。

この当時の私は、アルバイト・契約社員などをしながら、小説の習作に専念していた。
確かな根拠はなかったが、私には独創性がある、と独りよがり自信にあふれて、
純文学の新人コンクールの小説部門に応募したりした。

しかし当選作の直前の最終候補作の6作品に残れず、
三回ばかり敗退し、もう一歩と明日の見えない生活をしていた。
結果としては、30代に妻子を養う家庭のことを考えた時、
強気の私さえ、たじろぎ敗北宣言を心の中でして、やむなく安定したサラリーマンの身に転向した。

その後は35年ばかり音楽業界のある会社の情報畑・管理畑などのサラリーマン生活をして、
2004(平成16)年の秋に定年退職を迎えた。


この間、昭和55年(1984年)の夏、立原正秋氏は無念ながら亡くなわれたが、
これ以降も追悼などで、立原正秋氏の綴られた未刊の小説、随筆が出版されたり、
或いは立原正秋氏の友人、知人らに寄る氏に関する随筆が出版され、
私は買い求めていた・・。

その後、三周忌記念出版として、『立原正秋全集』全24巻が角川書店から、
昭和59年(1980年)から発刊され、私の書棚には単行本が少なくとも30数冊はあったが、
心新たにの思いで購入したのである。
そして、愛惜を重ねながら、毎月配本されるたびに改めて精読したのである。

私は拙(つたな)い読書歴なかで、小説・随筆に関して、
明治以降の作家の中で、最も影響を受けたのが、立原正秋氏となった。

作品はもとより、文体、そして庭園、茶事、食べ物、日本酒、焼き物など、
私の青年期から30代の終わりの頃まで、多大に教示された人であった。


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暦(こよみ)の上では『立秋』であるが、東京郊外でも残暑は厳しく、思わず・・。

2011-08-08 13:28:15 | 定年後の思い
私は東京郊外の調布市に住む年金生活の66歳の身であり、
今朝、ぼんやりとカレンダーを見ると、
『立秋〈りっしゅう〉』と明示されて、私は思わず微苦笑した・・。

そして、ぼんやりと玄関の軒下に下り立つと、
鈴虫(スズムシ)の鳴き声が聴こえ、遠くから蝉(セミ)の合唱も聴こえてきた。
そして、いつものように定期便のように飛来する小鳥が、
花梨(カリン)の枝にたわむれている。

その後、はたわわな紫紅色の花の高砂木槿(タカサゴ・ムクゲ)を眺めたり、
或いは塀際に群生している蒼色の紫露草(ムラサキ・ツユクサ)花を誉(ほ)めたりしていた。
そして3日前から純白な花な玉すだれ〈タマスダレ〉の花が咲きはじめ、
私の汚れきった心を浄化してくれるようで、長らく見つめたりした。


この後、居間に戻り、地元の天気情報を見たりすると、
朝の6時は25度、昼下がりは33度前後、夕暮れの6時は29度前後で、
晴ときどき曇りの一日と表示されている。
そして、この先の一週間も、ほぼこのように横並びとなっている。

私は高齢者2年生の身であるので、
働いて下さる諸兄諸姉はもとより、お子様、高齢者の方は熱中症に気をつけましょう、
と解釈したりした。


立秋を過ぎれば、残暑お見舞い申し上げます、と先人の人たちが、
時候の言葉として綴られてきているので、
そうですよねぇ、と私は暑さが苦手な身であるので、苦笑しながら呟〈つぶや〉いたりしている。


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