夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

除夜の鐘、ぼんくらの私は一日早く、拝聴して・・!?

2014-12-30 17:26:32 | ささやかな古稀からの思い
東京郊外の調布市に住む年金生活の70歳の身であるが、
今朝の9時半過ぎに、我が家から3キロばかりにある都立の『神代植物園』を独りで訪れて見よう、
と突然に思い立った・・。

『神代植物園』には、50数年創設以来幾たびも訪ねてきたが、ここ10年の年金生活の中、
四季折々を季節のうつろいを享受してきた。

このような思いから、昨今の数多く椿(ツバキ)の花の彩(いろど)りは・・
或いはクヌギ、コナラなど雑木林の冬木立の情景は・・と思いめぐらして、
『神代植物園』の正門前に到着したのは、11時過ぎであった。

しかしながら閑散として、おかしいよなぁ、と思いながら、
正門の入場券売り場の近くの案内板を見ると、
《・・12月29日(月曜日)~1月1日(木曜日・祭日 休園 》
と明記されていたので、私は少しボケてしまったのかしら、と落胆したりした。
       

やむなく『神代植物園』のまわりの小道を歩き、
55年前の中学時代の通学路のひとつを歩いたりした。
そして多きく変貌してしまったが、少しばかり原景が残っていたので、
これを頼り歩いたりした・・。
       

       

やがて『神代植物園』の深大寺入門に着くと、いつも見慣れた情景に、
微笑みながら眺めたりした。
       

この後、隣接している『深大寺』に入ると、鐘を撞(つ)く音が聴こえた。

やがて山門(さんもん)の近くにある梵鐘を吊した鐘楼堂(しょうろうどう)に於いて、
ひとりの仏門者が鐘を撞(つ)いていた・・。
       

私は生家は、仏教の中で多い曹洞宗であるが、
お墓参りは私の母の命日、春のお彼岸、夏のお盆、秋のお彼岸ぐらいあり、
散策とか旅先で寺院にめぐり逢った時は、手を合わせる程度の拙(つたな)い身である。

そして何かと単細胞の私は、『大晦日』にはNHKの恒例番組の『ゆく年くる年』に於いて。
確か各地の寺院が映しだされて、こうした中で除夜の鐘が撞(つ)くシーンがあった、と思い重ねてしまった・・。


恥ずかしながら私は『除夜の鐘』に関しても無知な方であった。

過ぎ去り2000年(平成12年)の春、
藤野邦夫・著の『幸せ暮らしの歳時記』(講談社文庫)を購読していた時、
大晦日の夜、日本の各地で除夜の鐘を撞(つ)くが、古来より108回となっていることに関して。
遅ればせながら55歳の時に教示された。
       

《・・仏教で人間の煩悩(ぼんのう)が、108あるとされる・・
煩悩とは、身体や心の欲望、他人への怒り、ないもののへの執着などとされている。

仏教に於いては、①生まれてくる苦しみ
        ②年をとる苦しみ
        ③病気の苦しみ
        ④死の苦しみ
4大要素を『四苦(しく)』とし、

        ⑤欲しくても手には入らない苦しみ
        ⑥愛する人と別れる苦しみ
        ⑦いやなことをさせられる苦しみ
        ⑧その他の色々な苦しみ
『八苦(はっく)』があるとされている。

そして、この『四苦八苦』の四苦(4x9=36)と八苦(8x9=72)を加算すれば、108になる。

108回の来歴については、他にも諸説があるが、
一年の様々な思いをかきたてる除夜の鐘は、 旧年中に107まで撞(つ)き、
最後の1回を新年に撞くのが慣例である。

尚、『除夜の鐘』は、中国の宗(960年~1279年)の時代に始まった風習だと云われて折、
『除夜』とは、旧暦で一年の最後の夜のことである・・》
       
       
こうしたことを学んだりしたが、私は中小業の民間会社に35年近く勤めて、
2004年〈平成16年〉の秋に定年退職後、その直後から多々の理由から年金生活をしているが、
私の半生は、何かと卑屈と劣等感にさいなまれ、悪戦苦闘の多かった歩みだったので、
せめて残された人生は、多少なりとも自在に過ごしたと思ったりしているひとりである。

そしてこうした人生の『四苦八苦』の怜悧を深く思案したりすると、
つたない私は、どうしたらよいの、と迷うばかりが本音となっている。
           
        

こうした心情を秘めている私は、前方で真摯に鐘を撞(つ)く情景に、
1日早いが、『除夜の鐘』と思い深めて、真摯に拝聴したりした。

余談であるが、私が鐘を撞(つ)く情景にめぐり逢えたは、
当院のご厚意で、たまたま私は12時を告知する鐘であった。

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私の幼年期の頃、生家で『餅つき』をしていた当時のささやかな想いで・・。

2014-12-30 09:25:42 | ささやかな古稀からの思い
私は東京郊外の調布市の外れで、世田谷区と狛江市の隣接した地域に住んでいるが、
生家の実家も近くにあるが、私の幼年期の遠い65年前後の頃は、
『餅つき』は、歳末の近くになると私の生家で行っていた。

私は1944年(昭和19年)の秋、農家の三男坊として生を受け、
祖父と父が健在だった頃までは、東京の郊外で農家をしていた。
そして、戦前からの小作人の助力を得たりし、程々の広さの田畑を耕していた。

この頃は、江戸時代からの名残り農家の六人組で、
『餅つき』などの場合でも、お互いに20日過ぎた頃から、
この日はあそこの家で『餅つき』をする互いの助成制度の風習が残っていた・・。

具体的には、祖父の家を含み、六軒の家で交互に手伝う習慣となっていた。
       

こうした中で祖父の家の順番になると、この一週間前の頃に父が俵(たわら)に入りたもち米をリヤカーで積んで、
甲州街道に精米専門店があり、精米して頂き、
精米された餅米を俵(たわら)に入れ、排出されたもみ殻、糠(ぬか)も含めて帰宅していた。

やがて『餅つき』の前日には、精米された餅米を水に漬けたりしていた。

そして当日になると早朝から生家で大きな竈(かまど)に、薪(まき)を燃やして、
生家で最も大きなお釜(かま)が水が沸騰する少し前に、
餅米を入れた二尺近い正方形の大きな蒸篭(せいろ)を幾重にも重ねて、やがて蒸(む)した。

ご近所の主人たちが5人来てくださり、それに私の生家の人である。
祖父、父、母、叔母、そして長兄、次兄に続いて、
6歳の私なり手伝いをしたりしていた。

午後になると、大人3人掛かりで杵(きね)で臼(うす)の蒸されたもち米を搗(つい)たりした。
すべて手作業なので、労力のいる時代だった。

やがて餅になると、お供(そな)え、長方形ののし餅、とそれぞれに作っていた。
長方形ののし餅は、長方形の板で形を整え、片栗粉でまぶした。

この当時の生家に於いては、年末から正月のお雑煮、七草を得て、
その後、ときたま2月の上旬まで食卓に出されることもあった。

このために、のし餅などは10畳の部屋を二つ使い、廊下まではみ出していた。
       
       
夕方の6時頃になると、搗(つ)きたての餅をあんこ、大根のからみ、きなこ用に
それぞれ作り、夕食がわりとなった。

ご近所の主人たちには、酒が振舞われ、茶碗酒として出された。

こうした時、ご近所の叔父さんが、私に云った。
『XXちゃん・・何を食べるの・・』

『う~ん、大根の辛いの・・』
と私は云った。

『そうかい、からみねぇ・・
XXさん、この児きっと呑んべえになるね・・』
と赤い顔になってしまった叔父さんは、私の父に笑いながら云ったりしていた。

後年、私が30代後年より、お酒は日本酒の純米酒の辛口をこよなく呑み、
呑兵衛のひとりとなったので、この叔父さんは的言されたりした。


この数年後の1953年(昭和28年)に父が病死し、まもなく祖父も他界したので、
私の生家は急速に没落しはじめた・・。

そして1956年(昭和31年)の頃になると、
私の周囲の家々も時代の波が押し寄せ、田畑、竹林、雑木林が消え去り、住宅街に変貌し、
このような風習は、消えた去った・・。
       

このような私の幼年期の頃、生家で『餅つき』をしていた当時の頃を思い浮かべ、
綴ったりしていたが、私にとっては餅つきの情景は限りなく深い愛惜感も秘めている。

そして私たち夫婦は39年近く生活して、餅に関しては、
初めて10年ぐらいは和菓子屋で年末に長方形の『のし餅』を買い求めてきた・・。

その後の今日まで、スーパーで殆ど一年中販売されているシングルバックされた『切り餅』を
ときおり買い求めたりしているので、季節感がなくなってしまった、と微苦笑しながら食べたりしている。

そして新年に頂くお雑煮に入れる餅もシングルバックされた『切り餅』となり、
お供(そな)えもスーパーで販売されている可愛らしい小振りを2セット買い求めて、
やがて我が家の元旦の朝の情景となり、私は戸惑いながら時の流れだよなぁ、
と苦笑して早や30年過ぎている。

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