夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

年金生活の何よりのボーナスは、程ほどの自在の日々、と高齢者の私は微苦笑を重ねて・・。

2014-12-05 15:53:12 | ささやかな古稀からの思い
私は東京郊外の調布市に住む年金生活の70歳の身であるが、
私たち夫婦は子供に恵まれなかったので、我が家は家内とたった2人だけの家庭である。
そして雑木の多い小庭に古ぼけた一軒屋に住み、お互いの趣味を互いに尊重して、日常を過ごしている。

ここ2週間前の頃から新聞の折込みチラシなどで、お歳暮の商品、クリスマスの贈り物、御節料理など、
掲載されているので、早くも歳末に向っている、と私は教示されたりしている。
       

昨日の朝のひととき、こうした折込みチラシを家内が見ていた時、
『世の中は冬ボーナスの時期時かしら・・』
と家内は私に言った。

『そうだょねぇ・・僕の現役時代は5日だったし・・
確か官公庁の方たちも10日だった、と記憶しているょ』
と私は苦笑しながら家内に応〈こた〉えたりした。

『私たち、この時節にボーナスもなく・・少し寂しいわねぇ』
と家内は私に言ったりした。

『でもねぇ・・こうして過ごせるのだから』
と私は苦笑しなが家内に言ったりした。

『そうよねぇ・・働らなくとも・・何とか生活できるのだから・・』
と家内は微苦笑しながら、私に言ったりした。
       

先ほど、ぼんやりとベランダに下り立つと、
昨今は曜日の感覚も定まらいが、確か金曜日だったと思ったりしながら、
本日の5日が支給日かしら、と思い重ねたりした。

そしてあの頃は、ボーナスを頂いた時が想いだされた・・。

私の20代の頃の独身時代は、スーツ、ワイシャツ、ネクタイ、通勤靴、通勤バックなどを買い揃えて、
母に幾ばくかを手渡し、そして呑み屋さんに通っても、程々の貯金が出来たりした。

やがて30代の初め、結婚し、賃貸マンションに入居するまで、
何かと無知な私でも、結構お金を要すると解り、生家の長兄から、ある程度の額を借用したので、
ボーナスを頂くたびに返済した。
この2年間の期間は、返済していても、私たち夫婦の新婚時代は多少の貯蓄は出来たりした。

この後、私は生家の近くに一戸建てをして、土地、住宅建築まで多大な経費となり、
その上に若さの勢いで家屋の中に茶室を設けたりした。

家内は中学生から茶事を学んできたので、何かと単細胞の私は、
どうせ借入をするのだから、多少多くなっても大勢に影響がないと、高揚しながら、
住宅金融公庫を根底とし、幾つかの金融機関からローンを設定したりした。

こうした関係もあり、このローンが50代の初めの頃まで、
ボーナスを頂く度に若い時は30%前後、その後の40代は25%前後を返済していた。

この最初の2年間も私は奮戦して働いていたが、何かと家廻りの出費が多く家計は赤字となり、
私は蒼色吐息のような情態であったので、
結婚してから専業主婦だった家内は、デパートの和服売り場で契約社員として働き、
我が家の2年間の家計に、多大に貢献してくれたことも事実であった。

こうした私としては困窮してしまった2年間であり、
住宅に関する購入は、普通のサラリーマンの身としては、人生で一番高い買物かしら、
と心身実感させられた時代であった。

50代の初め、遅ればせながらローンの一括返済をした後、
老後の人生設計の基礎となす資金の為、貯蓄を大半し、定年退職を迎えた。

こうした中、ボーナスを頂だした週末の土曜日には、お世話になった知人、
私の母宅などに、お歳暮廻りをしたりしていた。

このようなボーナスを頂くたびの軌跡であったが、
どなたも同じと思われるが、サラリーマンの現役時代には大波、小波に遭遇し、
家内と共に何とか乗り切り、今日を迎えているのである。

私は築後36年の古惚けた家に住み、程々の広さの小庭で樹木を眺めながら、
あんな時代もあった、と思いを馳(は)せたりしている。
       

私は音楽業界のあるレコード会社に35年近く勤めて、2004年〈平成16年〉の秋に定年退職した身である。

しかしながら最後の5年間はリストラ烈風の中、30年間奮戦してきた本社から放り出されて、
出向となり、つたない私なりに失墜感にさいなまわれ、
まもなく自分の敵は自分だ、と自身を叱咤激励して奮闘し、出向先で定年を迎えた。
        

私はサラリーマンの身として、年収1千万円台で何とか卒業できたが、
大企業で栄進された方、或いは官公庁の上層部のように高額所得地位にも成れず、
程ほどの年収、退職金であったので、金融資産は程ほどである。

私の現役時代の財産といえば、その時代と共に過ごした名曲の数多くが心に残り、
そして上司、同僚、後輩と共に音楽業界の空気を共にできたことである。

或いは、OBの懇親会などの会合の時なので、流行(はや)った曲名でその時代を表現し、
そうだったよね、とお互いにうなづいたりしている・・。
       

定年した後、多々の理由で年金生活を始めて、近くの遊歩道などを散策したりすると、
こんなに自由に散歩できるなんて、許されても良いのかしら、
と定年直前までの多忙期を思い重ねたりし、戸惑いながら甘受したりした。

何よりも朝の陽射し、昼下がりのひととき、そして夕暮れ時に、
ゆっくりと時を過ごし、苦楽の激しかった現役時代を思いながら、微苦笑を重ねたりする。

或いは平日でも人の多い都心に買い物に行ったり、
最寄の駅前などで、働いて下さる現役の諸兄諸姉の溌剌な姿を見たりする時は、
何かと短期で成果を問われる今日、常時リストラ時代、といわれたりして過酷な時代になっている、
と深く憂いたりしている。

私は何かと働いて下さる現役の諸兄諸姉に注視するのは、
もとより日本の社会保障制度の年金、医療、介護の基盤は、
高齢者が使う費用は、その時の現役世代が保険料や税で負担する財政方式(賦課方式)を取っているので、
働いて下さる現役世代の諸兄諸姉が、その時の高齢者を支えている現実からでもある。

ときおり私たち夫婦は、国内旅行に行く時、東京駅とか羽田空港の待合所で、
やはり働いて下さる現役の諸兄諸姉の多忙なしぐさ、会話を聞いたりすると、
こうして私たちが、のんびりと旅行するのに申し訳ないと思ったりしていることが多い。

そして日常生活で、昼下がりのひととき眠くなったら、
いつでも昼寝ができることは、年金生活の特権かしら、と享受する時もある。
       

しかしながらこの世の哲学である齢を重ねるたひに、
出逢う人は少なくなり、会社時代の知人、友人、親戚の方たちの現世との別れもあり、
ときおり溜息〈ためいき〉をすることもある。

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