最終日の前日に行くことができた。混雑を覚悟したが、もとより地味な展覧会であり、人出も多くなくゆっくりと観賞することができた。国立博物館。
黄河の中流域・河南省は、紀元前2000年の夏の始まりから12世紀の北宋の滅亡まで、歴代の中国王朝が栄えた文明の地域。出土した150の文物を中心に、往時の栄華を存分に偲ばせて貰った。
神獣
春秋時代。前6~5世紀。虎の体に竜の首と亀の脚をもった怪獣。全体に龍・鳳凰・虎等の文様が、トルコ石の小片をはめ込む象嵌技法で飾られている。
三彩双龍耳瓶
唐時代。8世紀。蝋抜きで白い斑文をあらわし、緑と褐色の釉薬をかけている。口から肩にかけて龍の形をした長い柄がついている。ギリシャを起源とした東西交流のなかで中国に伝わった形となった。
九鼎
春秋時代。前7~前6世紀。形や紋様はほぼ同じだが、大きさだけ少しづつ異なる9個の鼎。個数は身分によって異なった。これは鄭の王のものと考えられている。
方か
商時代。前13~前12世紀。長い脚が4本あり、胴には持つための把手が1つついた青銅器。銘文から、婦好という商の王妃のために作られたことがわかった。
金製アクセサリー
北宋時代。11~12世紀。金の針金や粒を精緻に加工したうえ、トルコ石などの宝石を嵌め込んだ豪華な仕立て。頭飾、首飾りといったアクセサリーの一部。宋時代の高度な技量が遺憾なく発揮された逸品。
御者と馬
唐時代。8世紀。この俑は墓に収めるために造られた物。鞍や衣服には金・銀・朱・黒の絵の具が残っている。
金縷玉衣
前漢時代。前1世紀。この時代の王侯貴族は亡くなると全身を玉衣で覆い、不老不死になることを望んだ。梁の王墓から出土した。合計約2000枚の玉札とそれを綴る金糸で覆われている。
王尚恭墓誌
北宋時代。11世紀。司馬光書。司馬光は、『資治通鑑』を編纂した稀代の知識人。文字は、端正で力強い隷書体。彼の人柄がしのばれる。
とても涼しい館内で暫し暑さを忘れ、鶴屋吉信のあんみつで小腹を満たして、覚悟の屋外へ。まあ!暑いこと! 記念に自分の影とヨーロッパのような公園の景色をデジカメに収めた。
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