同時代の人を、つかず離れずフォローしている。学者、評論家、俳優、歌手、スポーツ選手など。
生き方、考え方、家族、容姿、老い、思想、著作、仲間・・・など。どのように変わって、何が変わらないのか。彼此を対照しつつ時の移ろいを考える。伊東ゆかりは、その一人。
伸びやかで落ち着きのある音声が彼女の持ち味。高音はいささか艶を失ったかに思えるが(風邪でもひいてたかな)、暖かな歌声は不変。
ショー半ばで、二人のバック・コーラスの一人が彼女と並ぶ。「私の娘のひろみ(宙美)です」だって。サプライズに場内は「へー!」の声。
「このステージだけのユニット、名前を何にしようか?」と母。
「ひかり!」と娘。
「どうして?」
「ひろみのひとゆかりのかりでひかり」。
「やだ、そんなの」
「じゃあ、「バック・ウォーターズは?」
「どういう意味?」
「背水の陣」と落ち。
お母さんにそっくりの声。この先、売れて欲しいなと思わずにはいられない。
そういえば、伊東ゆかりは20年程前になろうか、23時台に30分のテレビ番組を持っていたっけ。番組スポンサーの名称をとって ”サウンド・イン・S” 。そんな時代があったことを思い出す。
場内は初老の夫婦連れが8割方。スタンディング・オーベーションもなければウェーブもない。熱狂的な追っかけとも見えない。伊東ゆかりと時代を一緒に歩んできた慎ましやかな人たち。このファンに応え行くことで、息の長い歌い手となったといえるだろう。
ステージの緞帳にはヨーロッパ風の褐色の家並みの絵。左下方にs.migishiのサイン。三岸節子だ。中都市のホールに発見するとは嬉しい。
気分良く帰宅の途についた。
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