内ポケット

アジア人以外の同僚達は、全員グラマラスだ。

上背があり、足が長くて腰が張っていて、胸も大きい。

それなりに肉付きもいいが、すごいデブというわけではない。

アジア人は、私と韓国人、フィリピン人だ。

われわれアジア人になくて、彼らにあるものがある。


それは内ポケット。


ユニフォームには、ポケットがない。

彼らは、鍵やタバコやライターといったものを、胸のブラの間に入れている。

お客様の中にも、タンクトップの胸のところに携帯電話をはさんでいる人がいる。

いったいどうしたら、そんなものがブラにおさまるのだろう。

と、私は自分の胸を見ながら思う。

ユニフォームには、襟がVの字のものと、広く丸くあいたものと二種類ある。

私はV字のほうが好きなので、全部V字を選んだ。

前かがみになったときに襟ぐりのあいたユニフォームから見える彼らの胸は

まるで熟れたメロンだ。

私がそのブラウスを着て前かがみになったら、メロンがあるはずの場所は空洞で、

ヘソまで見えるに違いない。

つくづくV字にしてよかった。



ブラの売り場に、帽子か！と思うような巨大カップのブラが並んでいるのは壮観である。

そこで私のサイズを探すのは一苦労だ。

ジュニアサイズですら、である。



これ以上肩こりがひどくなるのも嫌だし、

将来しぼんで垂れる心配もなし、

私の体型にはこれが合っていると思うので、自分の胸は気に入っているが、

「寄せて上げ」なくてもふたつのメロンがせめぎあってできる深い谷間を見ると

１度ぐらいはそんな胸をもってみたかったかも、と思わなくもない。




にほんブログ村