太平洋のまんなかで

南の島ハワイの、のほほんな日々

ドッペルゲンガー?

2020-10-20 09:34:38 | 不思議なはなし
私が25,6歳の頃だったか、
私にそっくりな人がいる、という目撃情報が相次いだ。

「アンタが転職したのかと思った」
「あまり似てるから、二度見した」
「声かけようと思って近づいたら、違った」

私のそっくりさんは、静岡の繁華街の伊勢丹デパートに近いブティックで働いているらしい。
そうまで言われたら、この目で見てみたい。
しかも、私の興味をそそったのは、その人がだということである。

これは何がなんでも確かめねば気が済まぬ。
実は私には出生の秘密があって、生き別れの双子の片割れだったりして。
そうだとすると、三姉妹の中で私だけ妙に違っているのも納得。
ああ、きっとそうに違いない。
私の妄想は弾けた。


見に行く、と言う私に、友人が言った。

「早まらないほうがいいよ。ドッペルゲンガーだったら、あんた死ぬよ」

「まさか、そんな話嘘に決まってるじゃん。それにアッチは男だよ?」

「もし本当だったらどうすんのさ。それにアッチが性転換してる可能性だってあるんだし」

いくらなんでもそんなことはないと思うけど、友人は真顔だ。
忠告はありがたいが、好奇心のほうが勝つ。
その日が週の初めで、週末に1人で見に行くことにした。


自分にそっくりなと対面したら、いったい何を言えばいいのか。
向こうも私を見て驚くだろうな。
ドキドキしながら、その店の前を通ってみた。
中には女性の店員が一人いる。
時間差出勤かもしれないので、他で時間をつぶしてから再びのぞいてみたが
同じ人がいるだけだった。
店の前をうろうろすることしばし。
とうとう私はそっくりさんに会うことなく、家に帰った。


その後、誰ひとり、その男を見ていない。
「命拾いしたじゃん」
前述の友人が言った。
今でも不思議。