昨日のアメリカ独立記念日は、肌寒い1日だった。
月曜日は私の休日なので、仕事は休み。夫も、今手掛けている現場の事情で休み。
雨の合間を縫って車を洗っただけで、だらだらと、ほぼ何もしない優雅な休日を過ごした。
土曜日、ワイキキにあるひとつのギャラリーに作品補充に行った。
週末はだいたいジョージが店にいる。
ジョージといっても女性だ。
ジョージは白人で、かなりスリム、きれいにショートにした銀色の髪はつややかで、とてもオシャレな服と靴は隙がなく、往年の映画女優を思わせる。
背筋がすっきりと伸び、頭の回転が速く、静かに話す。
ジョージに会いたくて、私は土曜日を狙ってその店に行くのだ。
「そういえばフランスはどうだった?」
ひと月以上前に少し話しただけのフランス行きを、ジョージは覚えていた。
その日も話が弾み、ふとした話から彼女の年齢が明らかになり、私は絶句した。
「80?エイティ?私の聞き間違い?」
きれいにしっかりとマスカラが塗られた、上下のまつ毛に囲まれた青い瞳が、いたずらっ子のように笑っている。
彼女は70歳ぐらい、もしかしたら60代後半かもと思っていた。
「いったいどうやって?」
「みんな同じこと聞くんだけど、私にもわからないわ。でも、これは言えるかも。ココよ」
と言って人差し指で自分の頭を指さした。
「この中では私は23歳のまんまなの。23歳の私にできないことなんかないわ。ま、多少肉体的にはガタがきてるとしてもね」
こんなにキラキラとした目をもった80になれるのか。
ジョージは私の目標になった。
「あなたと話すと楽しいよ、ありがとう」
帰り際、私がそう言うと、
「私も楽しかったわ。あなたはいつもアップビートだもの」
アップビート、アップビート・・・
憧れの人にそういわれたことが嬉しくて、スキップしたいような気分で車に戻った。