『告発・現代の人身売買 奴隷にされる女性と子ども』 デイヴィッド・バットストーン著 山岡万里子訳
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原題『Not for Sale』。初版は2007年に刊行されたが、本書は基本的に2010年の改定版をもとに初版から削除された箇所を補完して構成されている。
実をいうとぐりはこの本の邦訳にほんの少しだけ関わっている。そのときはこんなおどろおどろしい邦題はまだついていなかったし、ポップで爽やかなデザインの原著の表紙を見て「ああ、これなら誰でも手に取りやすくていいな」と思ったのを覚えている。
だってさあ、日本で人身売買の本っつったらどれもこれも表紙まっ黒けのドロッドロで、タイトルもやたら怖そうなのばっかりで、書店でレジに持っていくどころか手に取るのも憚られるようなのばっかしなんだもん。そんな本誰が買うかっつの。センセーショナルにすりゃいいってもんじゃないんだよ。日本の出版社の社会貢献分野でのセンスのなさったら真剣に泣けて来ます。
内容は現代の世界で行われている人身売買の実態と、それと戦う人々を追ったノンフィクション。
取材地はカンボジア・タイ・インド・ウガンダ・ヨーロッパ・ペルー・アメリカの、性産業や工場作業・紛争・家庭内での労働への従事を目的に人が酷使され搾取され虐待され、いっさいの人格を否定されモノ同然に浪費される現場。
8年前に邦訳が刊行された『グローバル経済と現代奴隷制』(ケビン・ベイルズ著)と地域も対象もかなりカブっている。そもそも題材が同じなので、本文中でも『グローバル経済~』の記述が言及されている。
違っている点は、あれから数年を経て、被害者たちを救うためのネットワークの発達と、その最前線の奮闘に多くのページが割かれていること。
人身売買は相変わらず今も世界中にはびこっている。しかし、それをやめさせようとする人々の戦いもまた、世界中に広がりを見せている。
経済格差は日増しに広がり、人身売買という犯罪の淵に転落する人々も絶えない。それでも、目の前にいる被害者に気づいたその瞬間から、手が届く限りの人を救おうとする腕も、日増しに伸びている。
そういう意味ではアメリカ的ヒロイズムが若干鼻につく本でもあるんだけど、人身売買などという絶望にもちゃんと光があることが描かれているという面では非常に有益な本でもある。
人身売買のことをあまり知らない人は実態を聞くとだいたいがすっかりへこんでしまって、そんな大変なことを解決するのに何からどうすればいいのか途方に暮れてしまうが、この本ではまさに「何からどうするか」実際に行動を起こしている人々がしっかりと出て来る。ぶっちゃけた話、人身売買?たいへんだ!どうしよう!という人に、「まあとりあえず、できるところからやればいいんじゃない」と指示しているような感じである。
と同時に、ほとんどのケースで当事者が人身売買の被害者に仕立て上げられるまでの過程もタイムクロノジカルに描かれており、なぜ人が人身売買などという犯罪にまきこまれるのか、犯罪者たちの手口とそのマーケットのネットワークも非常にわかりやすくなっている。人身売買が起こる条件はある程度限られてはいるが、今のこの時代では、誰に起きてもおかしくないほど、ごくごくありがちな状況で被害者が生まれていることがよくわかる。
今この時代、人は実に簡単に売られる。世の人が「だってお金欲しかったんでしょ?」「不用心だったんじゃないの?」「逃げる方法なんていくらでもあったでしょ?」と思ってしまうのと同じくらい、簡単な話なのだ。
既にこの手の本を読み倒してるぐりにはさほど新鮮味はなかったけど、人身売買怖いなあ、でも知りたいなあ、もうちょっと救いがあったらなあ、なんて人にはオススメの本です。表紙とか邦題はアレですけどね。
「とりあえずココ、こーゆーとこに募金してや」的なわかりやすさがいちばんいいと思った。売り物じゃなくたってなんだって、どんな問題も無料じゃなかなか解決しないんだよね。イヤ、マジで。
関連レビュー:
『セックス・トラフィック』
『ウォー・ダンス / 響け僕らの鼓動』
『ゴモラ』
『ファーストフード・ネイション』
『ボーダータウン 報道されない殺人者』
『いま ここにある風景』
『女工哀歌』
『おいしいコーヒーの真実』
『ダーウィンの悪夢』
『ロルナの祈り』
『この自由な世界で』
『題名のない子守唄』
『イースタン・プロミス』
『13歳の夏に僕は生まれた』
『闇の子供たち』
『出版倫理とアジア女性の人権 「タイ買春読本」抗議・裁判の記録』 タイ女性の友:編
『人身売買をなくすために―受入大国日本の課題』 JNATIP編
『現代の奴隷制―タイの売春宿へ人身売買されるビルマの女性たち』 アジアウォッチ/ヒューマンライツウォッチ/女性の権利プロジェクト著
『アジア「年金老人」買春ツアー 国境なき「性市場」』 羽田令子著
『幼い娼婦だった私へ』 ソマリー・マム著
『子どものねだん―バンコク児童売春地獄の四年間』 マリー=フランス・ボッツ著
『アジアの子ども買春と日本』 アジアの児童買春阻止を訴える会(カスパル)編
『少女売買 インドに売られたネパールの少女たち』 長谷川まり子著
『児童性愛者―ペドファイル』 ヤコブ・ビリング著
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原題『Not for Sale』。初版は2007年に刊行されたが、本書は基本的に2010年の改定版をもとに初版から削除された箇所を補完して構成されている。
実をいうとぐりはこの本の邦訳にほんの少しだけ関わっている。そのときはこんなおどろおどろしい邦題はまだついていなかったし、ポップで爽やかなデザインの原著の表紙を見て「ああ、これなら誰でも手に取りやすくていいな」と思ったのを覚えている。
だってさあ、日本で人身売買の本っつったらどれもこれも表紙まっ黒けのドロッドロで、タイトルもやたら怖そうなのばっかりで、書店でレジに持っていくどころか手に取るのも憚られるようなのばっかしなんだもん。そんな本誰が買うかっつの。センセーショナルにすりゃいいってもんじゃないんだよ。日本の出版社の社会貢献分野でのセンスのなさったら真剣に泣けて来ます。
内容は現代の世界で行われている人身売買の実態と、それと戦う人々を追ったノンフィクション。
取材地はカンボジア・タイ・インド・ウガンダ・ヨーロッパ・ペルー・アメリカの、性産業や工場作業・紛争・家庭内での労働への従事を目的に人が酷使され搾取され虐待され、いっさいの人格を否定されモノ同然に浪費される現場。
8年前に邦訳が刊行された『グローバル経済と現代奴隷制』(ケビン・ベイルズ著)と地域も対象もかなりカブっている。そもそも題材が同じなので、本文中でも『グローバル経済~』の記述が言及されている。
違っている点は、あれから数年を経て、被害者たちを救うためのネットワークの発達と、その最前線の奮闘に多くのページが割かれていること。
人身売買は相変わらず今も世界中にはびこっている。しかし、それをやめさせようとする人々の戦いもまた、世界中に広がりを見せている。
経済格差は日増しに広がり、人身売買という犯罪の淵に転落する人々も絶えない。それでも、目の前にいる被害者に気づいたその瞬間から、手が届く限りの人を救おうとする腕も、日増しに伸びている。
そういう意味ではアメリカ的ヒロイズムが若干鼻につく本でもあるんだけど、人身売買などという絶望にもちゃんと光があることが描かれているという面では非常に有益な本でもある。
人身売買のことをあまり知らない人は実態を聞くとだいたいがすっかりへこんでしまって、そんな大変なことを解決するのに何からどうすればいいのか途方に暮れてしまうが、この本ではまさに「何からどうするか」実際に行動を起こしている人々がしっかりと出て来る。ぶっちゃけた話、人身売買?たいへんだ!どうしよう!という人に、「まあとりあえず、できるところからやればいいんじゃない」と指示しているような感じである。
と同時に、ほとんどのケースで当事者が人身売買の被害者に仕立て上げられるまでの過程もタイムクロノジカルに描かれており、なぜ人が人身売買などという犯罪にまきこまれるのか、犯罪者たちの手口とそのマーケットのネットワークも非常にわかりやすくなっている。人身売買が起こる条件はある程度限られてはいるが、今のこの時代では、誰に起きてもおかしくないほど、ごくごくありがちな状況で被害者が生まれていることがよくわかる。
今この時代、人は実に簡単に売られる。世の人が「だってお金欲しかったんでしょ?」「不用心だったんじゃないの?」「逃げる方法なんていくらでもあったでしょ?」と思ってしまうのと同じくらい、簡単な話なのだ。
既にこの手の本を読み倒してるぐりにはさほど新鮮味はなかったけど、人身売買怖いなあ、でも知りたいなあ、もうちょっと救いがあったらなあ、なんて人にはオススメの本です。表紙とか邦題はアレですけどね。
「とりあえずココ、こーゆーとこに募金してや」的なわかりやすさがいちばんいいと思った。売り物じゃなくたってなんだって、どんな問題も無料じゃなかなか解決しないんだよね。イヤ、マジで。
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『セックス・トラフィック』
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『この自由な世界で』
『題名のない子守唄』
『イースタン・プロミス』
『13歳の夏に僕は生まれた』
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『児童性愛者―ペドファイル』 ヤコブ・ビリング著
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