尖閣で資金難の配給会社破産=日中共同映画が頓挫―帝国データ
プレノン・アッシュが破産 負債6億4300万円
まさかアカデミー賞でアン・リーが二度目のオスカーを獲得した同じ日に、こんなニュースを聞こうとは夢にも思わなかった。
そりゃぐりも映像業界の端っこにいた人間だし、映画をつくって売るという稼業がどれほどヤクザな水物商売かなんてなんぼかよくわかっている。実際にいくつもの会社が潰れるのを間近に見てきたし、体験もした。だから、映画会社が破産する、倒産するなんてことで今さら驚かない。この世知辛い世の中、そんなこともままあるだろうよ程度にしか思わない。バブル期だって映画会社はホイホイ潰れたんだから、この超絶不景気、しかも観客は邦画ばっかり観て、海外作品なんか3Dの吹替えにしたって誰も劇場にすら寄りつかない時代、配給やってるだけでリスク高すぎることくらいわかる。
わかるけども。
理屈でわかるということと気持ちで受け入れられるということはまったく別なわけで。
プレノン・アッシュといえば代表は篠原弘子女史。『欲望の翼』以降の王家衛(ウォン・カーウァイ)作品を日本に配給してカーウァイブームの火付け役となった人だ。
それまで香港映画といえばアクションかコメディかアクション・コメディ、タイトルもなんだかあんまりオシャレじゃなくて、映画好きな女性がスマートに観にいこうという気分になれないものが多かった。それを『欲望の翼』『恋する惑星』『天使の涙』なんていう乙女心ど真ん中なキュートな邦題でパッケージして、予告編もクールにスタイリッシュにキメて大当たりした。ぐりもごたぶんにもれず20代の頃に王さん映画にドハマりして、あー使った使ったプレノン・アッシュさんになんぼ払うたか、もーさっぱり覚えとらんです。映画だけじゃない、飲茶倶楽部だっけなんだっけ?会報みたいのもとってたよ。確か。一時期。表参道にあったお店でいっぱい買物もした。LD(!)も買った、DVDも買った、本とか雑誌とかいーっぱい買いました。イベントもいったね。渋谷のクラブで李康生(リー・カンション)と踊ったのはもう何年前だっけ。
しかしそれにしてもひどい話だと思う。
報道では破産の原因は梁朝偉(トニー・レオン)主演『一九〇五』の製作が頓挫して資金繰りが困難になったからとされている。尖閣諸島問題でトニーが出演を辞退して撮影がストップしたからだと。トニーもそんなことで悪人にされちゃあたまらんだろう。そもそも会社が潰れるなんて原因はそれほど単純じゃない。そして潰れるときはビックリするくらい呆気なく潰れるんだから。トニーだってまさかそんなことで、20年もの永きにわたって彼と彼の盟友・王家衛の傑作を支えてきた会社が潰れるなんて考えてもいなかっただろう。
そんなこと以外にも、この会社が潰れるだけの土壌はもともとあったはずだと思う。いいかえれば、そういう土壌は日本の映画業界ならどこにだってあるものなんじゃないかとも思う。
だって、よしんば『一九〇五』が無事に製作されてたとしても、ちゃんと資金が回収されるだけの成績が上げられるかどうかなんて、フタを開けてみなければわからないんだから。このご時世、中国語映画というだけで劇場に敬遠されることだってあるだろう。元AKBだって映画女優としての集客力はまったくの未知数だ。個人的に黒沢清は好きだけど、最近作品があたってるかどうかといわれればちょっとどーかなというところだし。
トニーはなー。大好きなんだけど。超好きなんだけど。っつーかぶっちゃけ、プレノン・アッシュがつぶれたことよりも、トニーの日本映画出演がホントに消えたのがマジ痛い。
それは半分冗談だとしても、日中関係の悪化で破産した会社はほかにも何社もあるだろう。真剣に気の毒だと思うし、これに負けずに、日中関係の修復を信じて再起してほしいと思う。プレノン・アッシュにも、再起してほしい。
政治がどんなに冷えていても、文化と経済のつながりだけはそう簡単に絶やせないし、絶やしてはいけないものだと思うから。
プレノン・アッシュ配給作品レビュー:
『百年恋歌(スリー・タイムズ)』
『黒い眼のオペラ(黒眼圏)』
『西瓜(天邊一朶雲)』
『ブエノスアイレス』
『欲望の翼』
他にもいっぱい観たのに意外にレビュー書いてないことに自分でビックリ。本格的にレビュー書き始めるより前に観たのが多いのかな?
製作発表時の報道:黒沢清監督の新作でトニー・レオンが主演! 共演に前田敦子、松田翔太
公式サイト:一九〇五

一ノ関駅の時計。レトロ。
プレノン・アッシュが破産 負債6億4300万円
まさかアカデミー賞でアン・リーが二度目のオスカーを獲得した同じ日に、こんなニュースを聞こうとは夢にも思わなかった。
そりゃぐりも映像業界の端っこにいた人間だし、映画をつくって売るという稼業がどれほどヤクザな水物商売かなんてなんぼかよくわかっている。実際にいくつもの会社が潰れるのを間近に見てきたし、体験もした。だから、映画会社が破産する、倒産するなんてことで今さら驚かない。この世知辛い世の中、そんなこともままあるだろうよ程度にしか思わない。バブル期だって映画会社はホイホイ潰れたんだから、この超絶不景気、しかも観客は邦画ばっかり観て、海外作品なんか3Dの吹替えにしたって誰も劇場にすら寄りつかない時代、配給やってるだけでリスク高すぎることくらいわかる。
わかるけども。
理屈でわかるということと気持ちで受け入れられるということはまったく別なわけで。
プレノン・アッシュといえば代表は篠原弘子女史。『欲望の翼』以降の王家衛(ウォン・カーウァイ)作品を日本に配給してカーウァイブームの火付け役となった人だ。
それまで香港映画といえばアクションかコメディかアクション・コメディ、タイトルもなんだかあんまりオシャレじゃなくて、映画好きな女性がスマートに観にいこうという気分になれないものが多かった。それを『欲望の翼』『恋する惑星』『天使の涙』なんていう乙女心ど真ん中なキュートな邦題でパッケージして、予告編もクールにスタイリッシュにキメて大当たりした。ぐりもごたぶんにもれず20代の頃に王さん映画にドハマりして、あー使った使ったプレノン・アッシュさんになんぼ払うたか、もーさっぱり覚えとらんです。映画だけじゃない、飲茶倶楽部だっけなんだっけ?会報みたいのもとってたよ。確か。一時期。表参道にあったお店でいっぱい買物もした。LD(!)も買った、DVDも買った、本とか雑誌とかいーっぱい買いました。イベントもいったね。渋谷のクラブで李康生(リー・カンション)と踊ったのはもう何年前だっけ。
しかしそれにしてもひどい話だと思う。
報道では破産の原因は梁朝偉(トニー・レオン)主演『一九〇五』の製作が頓挫して資金繰りが困難になったからとされている。尖閣諸島問題でトニーが出演を辞退して撮影がストップしたからだと。トニーもそんなことで悪人にされちゃあたまらんだろう。そもそも会社が潰れるなんて原因はそれほど単純じゃない。そして潰れるときはビックリするくらい呆気なく潰れるんだから。トニーだってまさかそんなことで、20年もの永きにわたって彼と彼の盟友・王家衛の傑作を支えてきた会社が潰れるなんて考えてもいなかっただろう。
そんなこと以外にも、この会社が潰れるだけの土壌はもともとあったはずだと思う。いいかえれば、そういう土壌は日本の映画業界ならどこにだってあるものなんじゃないかとも思う。
だって、よしんば『一九〇五』が無事に製作されてたとしても、ちゃんと資金が回収されるだけの成績が上げられるかどうかなんて、フタを開けてみなければわからないんだから。このご時世、中国語映画というだけで劇場に敬遠されることだってあるだろう。元AKBだって映画女優としての集客力はまったくの未知数だ。個人的に黒沢清は好きだけど、最近作品があたってるかどうかといわれればちょっとどーかなというところだし。
トニーはなー。大好きなんだけど。超好きなんだけど。っつーかぶっちゃけ、プレノン・アッシュがつぶれたことよりも、トニーの日本映画出演がホントに消えたのがマジ痛い。
それは半分冗談だとしても、日中関係の悪化で破産した会社はほかにも何社もあるだろう。真剣に気の毒だと思うし、これに負けずに、日中関係の修復を信じて再起してほしいと思う。プレノン・アッシュにも、再起してほしい。
政治がどんなに冷えていても、文化と経済のつながりだけはそう簡単に絶やせないし、絶やしてはいけないものだと思うから。
プレノン・アッシュ配給作品レビュー:
『百年恋歌(スリー・タイムズ)』
『黒い眼のオペラ(黒眼圏)』
『西瓜(天邊一朶雲)』
『ブエノスアイレス』
『欲望の翼』
他にもいっぱい観たのに意外にレビュー書いてないことに自分でビックリ。本格的にレビュー書き始めるより前に観たのが多いのかな?
製作発表時の報道:黒沢清監督の新作でトニー・レオンが主演! 共演に前田敦子、松田翔太
公式サイト:一九〇五

一ノ関駅の時計。レトロ。