落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

さらば90年代香港映画ブームの幻

2013年02月25日 | movie
尖閣で資金難の配給会社破産=日中共同映画が頓挫―帝国データ
プレノン・アッシュが破産 負債6億4300万円

まさかアカデミー賞でアン・リーが二度目のオスカーを獲得した同じ日に、こんなニュースを聞こうとは夢にも思わなかった。
そりゃぐりも映像業界の端っこにいた人間だし、映画をつくって売るという稼業がどれほどヤクザな水物商売かなんてなんぼかよくわかっている。実際にいくつもの会社が潰れるのを間近に見てきたし、体験もした。だから、映画会社が破産する、倒産するなんてことで今さら驚かない。この世知辛い世の中、そんなこともままあるだろうよ程度にしか思わない。バブル期だって映画会社はホイホイ潰れたんだから、この超絶不景気、しかも観客は邦画ばっかり観て、海外作品なんか3Dの吹替えにしたって誰も劇場にすら寄りつかない時代、配給やってるだけでリスク高すぎることくらいわかる。
わかるけども。
理屈でわかるということと気持ちで受け入れられるということはまったく別なわけで。

プレノン・アッシュといえば代表は篠原弘子女史。『欲望の翼』以降の王家衛(ウォン・カーウァイ)作品を日本に配給してカーウァイブームの火付け役となった人だ。
それまで香港映画といえばアクションかコメディかアクション・コメディ、タイトルもなんだかあんまりオシャレじゃなくて、映画好きな女性がスマートに観にいこうという気分になれないものが多かった。それを『欲望の翼』『恋する惑星』『天使の涙』なんていう乙女心ど真ん中なキュートな邦題でパッケージして、予告編もクールにスタイリッシュにキメて大当たりした。ぐりもごたぶんにもれず20代の頃に王さん映画にドハマりして、あー使った使ったプレノン・アッシュさんになんぼ払うたか、もーさっぱり覚えとらんです。映画だけじゃない、飲茶倶楽部だっけなんだっけ?会報みたいのもとってたよ。確か。一時期。表参道にあったお店でいっぱい買物もした。LD(!)も買った、DVDも買った、本とか雑誌とかいーっぱい買いました。イベントもいったね。渋谷のクラブで李康生(リー・カンション)と踊ったのはもう何年前だっけ。

しかしそれにしてもひどい話だと思う。
報道では破産の原因は梁朝偉(トニー・レオン)主演『一九〇五』の製作が頓挫して資金繰りが困難になったからとされている。尖閣諸島問題でトニーが出演を辞退して撮影がストップしたからだと。トニーもそんなことで悪人にされちゃあたまらんだろう。そもそも会社が潰れるなんて原因はそれほど単純じゃない。そして潰れるときはビックリするくらい呆気なく潰れるんだから。トニーだってまさかそんなことで、20年もの永きにわたって彼と彼の盟友・王家衛の傑作を支えてきた会社が潰れるなんて考えてもいなかっただろう。
そんなこと以外にも、この会社が潰れるだけの土壌はもともとあったはずだと思う。いいかえれば、そういう土壌は日本の映画業界ならどこにだってあるものなんじゃないかとも思う。
だって、よしんば『一九〇五』が無事に製作されてたとしても、ちゃんと資金が回収されるだけの成績が上げられるかどうかなんて、フタを開けてみなければわからないんだから。このご時世、中国語映画というだけで劇場に敬遠されることだってあるだろう。元AKBだって映画女優としての集客力はまったくの未知数だ。個人的に黒沢清は好きだけど、最近作品があたってるかどうかといわれればちょっとどーかなというところだし。

トニーはなー。大好きなんだけど。超好きなんだけど。っつーかぶっちゃけ、プレノン・アッシュがつぶれたことよりも、トニーの日本映画出演がホントに消えたのがマジ痛い。
それは半分冗談だとしても、日中関係の悪化で破産した会社はほかにも何社もあるだろう。真剣に気の毒だと思うし、これに負けずに、日中関係の修復を信じて再起してほしいと思う。プレノン・アッシュにも、再起してほしい。
政治がどんなに冷えていても、文化と経済のつながりだけはそう簡単に絶やせないし、絶やしてはいけないものだと思うから。

プレノン・アッシュ配給作品レビュー:
『百年恋歌(スリー・タイムズ)』
『黒い眼のオペラ(黒眼圏)』
『西瓜(天邊一朶雲)』
『ブエノスアイレス』
『欲望の翼』
他にもいっぱい観たのに意外にレビュー書いてないことに自分でビックリ。本格的にレビュー書き始めるより前に観たのが多いのかな?

製作発表時の報道:黒沢清監督の新作でトニー・レオンが主演! 共演に前田敦子、松田翔太
公式サイト:一九〇五


一ノ関駅の時計。レトロ。

四十路デビュー

2013年02月13日 | 復興支援レポート
三日間、完全に肉体労働をしていた。

今回のミッションはみっつ。

A)薪作り。
  流木を薪にできる長さに切断、太いものは割って薪にする。

B)地盤沈下した漁港の岸壁に生えた海藻の除去作業。
  前回やったのと似たような作業だが別の場所
  依頼主は漁協なので、装備などの面で支援してもらえた。

C)津波で崩壊した漁港の復旧作業。
  前回の現場と同じ漁港。具体的には
  1)側溝に詰まった岩石や砂を取り除いて土嚢に詰め、段差ができた岸壁に積み上げて均す。
    これは本来行政がやるべき支援なので、受け入れるかどうか迷ったが結局やることになった。
  2)前回除去した後に生えた海藻の除去。
  3)岸壁についたカキの除去。

こんなにできるわけないだろうと思っていたのだが、今回はなぜかボランティアの数がすごく増えて、なんだか全部できてしまった。人海戦術ってすばらしい。
とくにCの1とか全部人力ってありえへんやろ。ふつう重機が要る仕事でっせ。びっくりです。

今回は本当にいろいろとラッキーが重なって、「当たり」の活動になったと思う。
漁協の要請を受け入れたので装備を貸してもらえたり、ボランティアに配るおひるごはんの助成が受けられたりした。他団体ともつながれて、たくさん人数が必要な作業が可能になった。初めて応募してくれたボランティアさんにも恵まれたし、寒かったけど天候にも恵まれた。本格的な吹雪や完全な時化になったら全部中止だもんね。
今回ほど、いっしょに活動してきた仲間たちのポテンシャルと、地元の皆さんのご理解とご協力に感謝したことはない。やってきてよかったと心から思った。

生まれて初めての経験もいくつかした。
薪割りのお手伝いは今までにも経験はあったのだが、今回はチェーンソーとまさかりの使い方を教えてもらった。
チェーンソーは思ったよりも重くて、操作にすごく力が要るのが意外だった。全身の力を込めて押さえつけていないと超危険です。まさかりは力は要らないんだけどコントロールが必要。うまい人は足元から360°回転させてスカッと割るけど、ぐりはコントロールが悪くて、まっすぐに振り下ろすのも難しい。回転させるなんて無理です。センスゼロ。

反省点としては、欲張り過ぎて時間がなくて、慎重に冷静に判断する余裕がなかったこと。
今回はたまたま何事もなく終わったけど、いつもこの調子でガツガツやってたらなんか危ない気がする。
事故にだけは注意しないといけないし、忙しさにかまけて誰かの感情を不用意に傷つけたりなんてことになってないか、気になります。
Cの1なんかはやるかどうかで相当悩んだ要請だけど、実際やって、漁師さんが漁港が直ったのがあまりにも嬉しくて眠れなくて、夜中に二度も岸壁を見に行ったなんて聞いてしまったら何もいえない。けどそれで終わっていいのかは非常に気になる。

それにしても筋肉痛痛い。全身痛いです。ううううう。


お正月に御崎神社で絶対おみくじひいてきてね!当たるから!といわれてひいたら大吉。
ぐりは占いの類いは信じないのでふだんはまずひかないので、これが生まれて初めての大吉です。
「すべて心のまゝになるでしょう」なんて書いてあったら悪い気しないですええ。

ひさしぶりにマップも更新してみた。
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