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読み終わりましたー。
今忙しいので通勤の時しか読書時間がないんだけど、なにしろ今の仕事場は近くて電車に乗ってる時間が10分もない。往復読んでもなかなか捗らないので、大した長さの本でもないのにやたら読むのに日数食ってしまいましたー。
面白かったです。
これはたぶん各所の紹介文では特異な犯罪者の一代記、すなわちクライムサスペンスのような表現をされてたように記憶してるんですが、全くそんなカタイお話ではないです。むしろある種のおとぎ話、冒険譚と云うべきかもしれない。
舞台は学究界の発展と革命に揺れる混乱期のフランス、主人公は家族も友人も恋人もいない、誰にも愛されず誰も愛さずにひたすら孤独を生きる男。彼の伴侶はただ魔法のように鋭い嗅覚と、体臭を持たない肉体だけ。つまり誰とも世界を共有せず、たったひとりの「香り」と云う名の宇宙に住む生まれながらの犯罪者。
物語のトーンが各章で絶妙な変化をなしていて、読んでいて全然飽きません。妙にシリアスにリアルな章もあれば、笑っちゃうくらい奇想天外な章もある。ある章では内面描写がメインになり、ある章では情景描写が多くなる。トーンが変わるたびに読み手の視点がスッキリとスムーズに移動していき、自然と世界観がつぶさに、そしてひろびろと見えて来る構成になっています。
とてもよく書けている、大変完成度の高い娯楽小説と云える。あとがきに映画化の話が持ち上がってると書かれてましたが、コレは映像化するのは難しいだろうなぁ。だって匂いは映像に映らないから。
それはそれとしてぐりはこの小説があまり笑えませんでした。
と云うのが、この主人公グルヌイユの人物造形が、これまでに何冊か読んだ犯罪ノンフィクションに登場した実在の犯罪者像に重なって仕方がなかったからです。津山30人殺しの都井睦雄、幼女連続殺人事件の宮崎勤、神戸連続自動殺傷事件の少年A・・・。
殺人によって何かがなされると信じた彼らに、安易に重ねてはいけないと思っていてもどうしても重なる。いつの間にか殺人者の城に迷いこんだ救われない魂。
もしそうした本を読んでなかったら、もっとこの物語も楽しめた筈だと思うのですがー。
読み終わりましたー。
今忙しいので通勤の時しか読書時間がないんだけど、なにしろ今の仕事場は近くて電車に乗ってる時間が10分もない。往復読んでもなかなか捗らないので、大した長さの本でもないのにやたら読むのに日数食ってしまいましたー。
面白かったです。
これはたぶん各所の紹介文では特異な犯罪者の一代記、すなわちクライムサスペンスのような表現をされてたように記憶してるんですが、全くそんなカタイお話ではないです。むしろある種のおとぎ話、冒険譚と云うべきかもしれない。
舞台は学究界の発展と革命に揺れる混乱期のフランス、主人公は家族も友人も恋人もいない、誰にも愛されず誰も愛さずにひたすら孤独を生きる男。彼の伴侶はただ魔法のように鋭い嗅覚と、体臭を持たない肉体だけ。つまり誰とも世界を共有せず、たったひとりの「香り」と云う名の宇宙に住む生まれながらの犯罪者。
物語のトーンが各章で絶妙な変化をなしていて、読んでいて全然飽きません。妙にシリアスにリアルな章もあれば、笑っちゃうくらい奇想天外な章もある。ある章では内面描写がメインになり、ある章では情景描写が多くなる。トーンが変わるたびに読み手の視点がスッキリとスムーズに移動していき、自然と世界観がつぶさに、そしてひろびろと見えて来る構成になっています。
とてもよく書けている、大変完成度の高い娯楽小説と云える。あとがきに映画化の話が持ち上がってると書かれてましたが、コレは映像化するのは難しいだろうなぁ。だって匂いは映像に映らないから。
それはそれとしてぐりはこの小説があまり笑えませんでした。
と云うのが、この主人公グルヌイユの人物造形が、これまでに何冊か読んだ犯罪ノンフィクションに登場した実在の犯罪者像に重なって仕方がなかったからです。津山30人殺しの都井睦雄、幼女連続殺人事件の宮崎勤、神戸連続自動殺傷事件の少年A・・・。
殺人によって何かがなされると信じた彼らに、安易に重ねてはいけないと思っていてもどうしても重なる。いつの間にか殺人者の城に迷いこんだ救われない魂。
もしそうした本を読んでなかったら、もっとこの物語も楽しめた筈だと思うのですがー。