『ミリキタニの猫』
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主人公ジミー・ミリキタニはストリート・アーティストだ。
戦時下での日系人差別の経験からアメリカ政府を恨み、行政サービスのすべてを拒否して怒りつづけ、怒りを絵に描き続ける。
確かに数奇な運命をたどった稀有な人物だが、実際それほどかわった人ではない。純粋で一本気だけど、頑固で昔気質な、どこにでもよくいるご老人だ。
カメラは常にジミーを中心にとらえているが、物語は実は彼ひとりのものではなく、撮影している監督のリンダ・ハッテンドーフとの、日米のふたりの心の交流と旅路が主軸になっている。
911テロ直後、有毒な煤煙が漂う街かどで、リンダはジミーを自宅に招き入れる。
そんなことは日本でもアメリカでもどこの国でも、現代ではふつうの人にはちょっとできない。顔見知りとはいえ縁もゆかりもない赤の他人を親切心だけで家に入れていっしょに暮らすなんて、昔話やおとぎ話の世界の出来事だ。
もちろんリンダはジミー老人の余生をすっかり引き受けるつもりは毛頭ない。ジミーが本来受けるべき生活保護などの行政サービスがきちんと受けられるようあれこれと奔走する。ジミー本人にまったくその気がなくてもおかまいなしだ。ジミーが怒って「アメリカなんかくそくらえだ」とわめくたびに「はいはい、わかったわかった」と受け流しながら、裏ではジミーの親類縁者を探したり、収容所時代に市民権を奪われた日系人をアメリカ政府がその後どうしたかを調べたりして、しっかりと物事を前に進めていく。
画面にはほとんど出てこないリンダだが、彼女がしようとしていること、こうあるべきだと信じる道はすごくはっきりと画面に描かれている。
戦争はひどいことだし、あってはいけないことだ。
でも起きてしまったことをいつまでも怒っていても前には進めない。
ジミーは怒りをアートにぶつけて生きてきたけれど、ほんとうにそんな人生が幸せかどうか、それを彼本人にジャッジしてもらうためにも、怒りのない人生も生きてほしい。
映画全体はかなり淡々としているし、テロップやナレーションも少なくてメリハリのようなものははっきりしないけど、それだけに、大上段に構えた大義名分などではない、監督なりの「正義心」がさわやかに表現されていて、みていてすごく素直な気持ちになれました。
上映後にプロデューサーのマサ・ヨシカワによるティーチインがあった。偶然だったけどいろいろと興味深い話が聞けて楽しかったです。
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主人公ジミー・ミリキタニはストリート・アーティストだ。
戦時下での日系人差別の経験からアメリカ政府を恨み、行政サービスのすべてを拒否して怒りつづけ、怒りを絵に描き続ける。
確かに数奇な運命をたどった稀有な人物だが、実際それほどかわった人ではない。純粋で一本気だけど、頑固で昔気質な、どこにでもよくいるご老人だ。
カメラは常にジミーを中心にとらえているが、物語は実は彼ひとりのものではなく、撮影している監督のリンダ・ハッテンドーフとの、日米のふたりの心の交流と旅路が主軸になっている。
911テロ直後、有毒な煤煙が漂う街かどで、リンダはジミーを自宅に招き入れる。
そんなことは日本でもアメリカでもどこの国でも、現代ではふつうの人にはちょっとできない。顔見知りとはいえ縁もゆかりもない赤の他人を親切心だけで家に入れていっしょに暮らすなんて、昔話やおとぎ話の世界の出来事だ。
もちろんリンダはジミー老人の余生をすっかり引き受けるつもりは毛頭ない。ジミーが本来受けるべき生活保護などの行政サービスがきちんと受けられるようあれこれと奔走する。ジミー本人にまったくその気がなくてもおかまいなしだ。ジミーが怒って「アメリカなんかくそくらえだ」とわめくたびに「はいはい、わかったわかった」と受け流しながら、裏ではジミーの親類縁者を探したり、収容所時代に市民権を奪われた日系人をアメリカ政府がその後どうしたかを調べたりして、しっかりと物事を前に進めていく。
画面にはほとんど出てこないリンダだが、彼女がしようとしていること、こうあるべきだと信じる道はすごくはっきりと画面に描かれている。
戦争はひどいことだし、あってはいけないことだ。
でも起きてしまったことをいつまでも怒っていても前には進めない。
ジミーは怒りをアートにぶつけて生きてきたけれど、ほんとうにそんな人生が幸せかどうか、それを彼本人にジャッジしてもらうためにも、怒りのない人生も生きてほしい。
映画全体はかなり淡々としているし、テロップやナレーションも少なくてメリハリのようなものははっきりしないけど、それだけに、大上段に構えた大義名分などではない、監督なりの「正義心」がさわやかに表現されていて、みていてすごく素直な気持ちになれました。
上映後にプロデューサーのマサ・ヨシカワによるティーチインがあった。偶然だったけどいろいろと興味深い話が聞けて楽しかったです。