『黒眼圏』
蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)の映画ってホンットに説明がないんだよね。セリフなし、役名なし(少なくとも字幕には出てこない)、登場人物の相関関係も不明のまま、どんどん話だけ転がっていく。だから映画が始まって最初のうちはちょっと不安になるんだけど、大丈夫、ちゃんとおもしろいんだよね。これが。奇妙なことに(爆)。
ぐりは個人的には強烈に『ブエノスアイレス』を思い出しました。『ブエノスアイレス』はタラシの張國榮(レスリー・チャン)にネクラな梁朝偉(トニー・レオン)がつくしまくりつつ、互いに相手に執着したり利用しあったりしてひたすらじとじと依存しあってるとゆー不毛な関係を描いてたんだけど、この『黒眼圏』も大体そういう感じ。李康生(リー・カンション)つくされまくり。しかも二役。植物状態で家族に介護されてる男と、ケンカで怪我をして行き倒れてるところを出稼ぎ労働者に拾われて看病される流れ者。病人の方はとにかく自分じゃなーんもできないし、流れ者の方も不可解なくらい親切にされる。しかもナゼかモテている。
町並みがラテンっぽいとこもナニゲに『ブエノスアイレス』に似てる。マレーシアももとはポルトガル領だっけ?
『ブエノスアイレス』では主人公は依存しあう関係を清算することで前進を見出すという物語になってたけど、『黒眼圏』には明確な答えはない。そういうタイプの映画じゃないんだよね。
人と人との間に流れる感情のこまやかさ、愛情の不思議さのある側面を、やさしくあたたかくメランコリックに描いた、静物画のような映画。人の心にはどうしてもどこへももっていきようのない気持ちはままあるし、それはそれで人の心が生きて脈打っているという証ではある。
ぐりはこの映画好きだし、楽しかったです。公開されたら(来年春公開予定)また観たい。
セリフの代わりにマレーシアの歌謡曲とか広東オペラとか北京語のクラシックとかいろんな歌が劇中に流れてて、音楽もなかなかよかったです。歌詞にあれこれと意味がこめられてて、登場人物は歌ったり踊ったりしないけどこれもある種のミュージカルともいえるかもしれない。映像もさほど凝ってる風ではないのにときどき「おおっ!」とゆー劇的な映像もあったりしてオシャレでした。
上映後のティーチインには陳湘[王其](チェン・シアンチー)が登壇・・・したけどレポは今日はパス。ずびばぜん。
ところで蔡明亮作品ていっつもタイトルにヤル気がない。ある意味詩的なのかもしんないし、日本で公開されるときは配給によっては雰囲気のある邦題をつけられてることもあるけど、この『黒眼圏』はこのままのタイトルで公開されるらしい。なんじゃらほい。日本で公開するなら日本で意味通じるタイトルにしなよ・・・と思って突っ込んでみたけど、大体会場に配給関係者がいたかどーかもわかんないしな。
ちなみに「黒眼圏」とは目のまわりの青タンのこと。邦題は「くろめけん」と読むらしーです。はあ。
蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)の映画ってホンットに説明がないんだよね。セリフなし、役名なし(少なくとも字幕には出てこない)、登場人物の相関関係も不明のまま、どんどん話だけ転がっていく。だから映画が始まって最初のうちはちょっと不安になるんだけど、大丈夫、ちゃんとおもしろいんだよね。これが。奇妙なことに(爆)。
ぐりは個人的には強烈に『ブエノスアイレス』を思い出しました。『ブエノスアイレス』はタラシの張國榮(レスリー・チャン)にネクラな梁朝偉(トニー・レオン)がつくしまくりつつ、互いに相手に執着したり利用しあったりしてひたすらじとじと依存しあってるとゆー不毛な関係を描いてたんだけど、この『黒眼圏』も大体そういう感じ。李康生(リー・カンション)つくされまくり。しかも二役。植物状態で家族に介護されてる男と、ケンカで怪我をして行き倒れてるところを出稼ぎ労働者に拾われて看病される流れ者。病人の方はとにかく自分じゃなーんもできないし、流れ者の方も不可解なくらい親切にされる。しかもナゼかモテている。
町並みがラテンっぽいとこもナニゲに『ブエノスアイレス』に似てる。マレーシアももとはポルトガル領だっけ?
『ブエノスアイレス』では主人公は依存しあう関係を清算することで前進を見出すという物語になってたけど、『黒眼圏』には明確な答えはない。そういうタイプの映画じゃないんだよね。
人と人との間に流れる感情のこまやかさ、愛情の不思議さのある側面を、やさしくあたたかくメランコリックに描いた、静物画のような映画。人の心にはどうしてもどこへももっていきようのない気持ちはままあるし、それはそれで人の心が生きて脈打っているという証ではある。
ぐりはこの映画好きだし、楽しかったです。公開されたら(来年春公開予定)また観たい。
セリフの代わりにマレーシアの歌謡曲とか広東オペラとか北京語のクラシックとかいろんな歌が劇中に流れてて、音楽もなかなかよかったです。歌詞にあれこれと意味がこめられてて、登場人物は歌ったり踊ったりしないけどこれもある種のミュージカルともいえるかもしれない。映像もさほど凝ってる風ではないのにときどき「おおっ!」とゆー劇的な映像もあったりしてオシャレでした。
上映後のティーチインには陳湘[王其](チェン・シアンチー)が登壇・・・したけどレポは今日はパス。ずびばぜん。
ところで蔡明亮作品ていっつもタイトルにヤル気がない。ある意味詩的なのかもしんないし、日本で公開されるときは配給によっては雰囲気のある邦題をつけられてることもあるけど、この『黒眼圏』はこのままのタイトルで公開されるらしい。なんじゃらほい。日本で公開するなら日本で意味通じるタイトルにしなよ・・・と思って突っ込んでみたけど、大体会場に配給関係者がいたかどーかもわかんないしな。
ちなみに「黒眼圏」とは目のまわりの青タンのこと。邦題は「くろめけん」と読むらしーです。はあ。