落穂日記

映画や本などの感想を主に書いてます。人権問題、ボランティア活動などについてもたまに。

ひさしぶりに近況

2012年09月23日 | diary
やっと!やっと涼しくなって秋っぽくなってきましたが。

今月末、十ン年間住んだ家を引越すことになり。
十ン年は長過ぎたよね。これまでも何度か引越そうかな?とは思ったことはあったけど、なんでか実現しなかった。
思えば、前は仕事にばかり追われて、自分の生活はかなり二の次三の次だったから、家が古くて設備が不便でもなんでも、大抵は「まあいいや」で済ませてきた。そもそも家で過ごす時間も短かったし。
でも、今年40代を迎えて、しばらく前に完全に違う業種に転職して、遅ればせながら暮らし方そのものを見直そうとやっと真面目に考えるようになった。
5月頃から家探しを始めて、最初は契約更新までの半年以内に越せればいいかくらいのつもりでいたけど、今月初めに良い物件に出会えて、予定より早く引越しが決まった。

家で過ごす時間があまりなかったから、家そのものには大して思い入れはない。単に古いだけの家だったけど、交通の便がよくて環境がすごくよくて、そこが気に入ってずっと住んで来た。
なので引越し先はすぐ近所、はっきりいって目と鼻の先です。というか新居は前から知ってた建物で、買物のときによく近くを通りかかって、「なんだか変わった形の建物だな」と思ってた物件だった。いつもおからを買う豆腐屋さんの筋向かいです(ローカルだ)。
だから引越してもほとんど生活圏は変わらない。それを条件に部屋探しをしてたけど、なかでも内見した部屋の中で2番目くらいに近所だったのが決定打だった(一番近かった物件は100%問題外だった)。
今は、この機会に持ち物を半減させるのを目標に、荷物をバンバン捨てまくってます。

いざ引越すとなるといろいろなことを思い出す。
なにしろ十ン年ですから。
引越してきたときはまだ20代だった。友だちもみんな独身だったから、引越しのときはさんざん手伝ってもらった。今回は結婚して東京に住んでいる妹が手伝いに来てくれる。
独身だった彼女たちを招いてうちで飲み会をしたこと、朝までアニメのビデオを見まくって騒いだこと(※当時は隣は空き部屋でした)、この部屋で大好きな人と過ごした日々のこと、怖い思いをしたこと、悲しい思いをしたこと、悔しい思いをしたこと、いろんな経験をした日々はこの部屋で流れていた。思い入れはなくても思い出はいっぱいある。
そういう思い出に懐かしさを感じることももうない。全部もう済んでしまっただけの遠い記憶だ。当たり前のことだけど、二度とあのころには戻れない。過ぎたこと、どうしようもないことに焦燥を感じる年齢でもない。

40代、不惑の年というけど、ぐりは40代になってこれまでとはまったく違った人生を歩き始めた。
とはいっても、これまでの人生が無駄だったとかそういうことはまったく思わないけど、完全に自分のことだけ考えて、ひたすらなりふり構わず突っ走ってきた生活はもう卒業したい。
うまく卒業できるかはまだわからないけど、この引越しがいいきっかけになればいいなと思う。


気仙沼・大島、小田の浜海水浴場にて。
宮城県で2年ぶりに海開きしたたった2ヶ所の海水浴場のひとつ。
が、周囲の宿泊施設や飲食店は残らず津波に流され、ビーチも半分だけで運営されていた。
「ボランティアの皆さんのご協力で海開きできた」という放送を聞きながら、かき氷を食べて、はしゃぐ子どもたちの姿をただ見てました。
大島の被害は悲惨だけど、島の人たちは確実に復興への道を一歩一歩歩んでいる。
津波の爪痕と瓦礫の山は悲しいけど、それでもこの島の美しさは微塵も損なわれていない。

ストラスバーグによろしく

2012年09月16日 | movie
『鍵泥棒のメソッド』
34にして相手もいないのに職場で婚活宣言をしてしまう香苗(広末涼子)、35にもなって目のでない役者を続けている桜井(堺雅人)、ターゲットが死体ごと行方不明になるほど鮮やかな手口で知られる凄腕の殺し屋・コンドウ(香川照之)。
金目当てにコンドウのロッカーの鍵を盗んだ桜井だったが、銭湯で転んで失神したコンドウが頭を強打して記憶を失ってしまったことから、自らコンドウになりすます羽目に。所持品から自分を桜井だと思いこんだコンドウと偶然知りあった香苗は、前向きに役者としての人生を再出発しようとするコンドウを結婚相手に見定める。

快作『アフタースクール』の内田けんじ監督の最新作。
おもしろかったです。
つーても『アフター』とはまた違ったおもしろさね。もっとコメディー色が強くて、前作よりは素直に楽しめる。前作は見終わって「おもしろい!おもしろいけどもっかい見んとわからん!」ていうくらいギミックに凝りに凝ったストーリーテリングが魅力だった。シナリオに仕掛けられたトリックが解けていくえもいわれぬ快感が強烈だったけど、この『鍵泥棒』に関しては時制はそのままストレートに流れていくし、ヘンに観客を騙したりもしていない。すごくわかりやすい。
でも物語の展開のほとんどが偶然起きるアクシデントによるので、ほんとうに先が全然読めなくて、最後まで「ん?どうなる?どうなる?」と引き込まれてしまう。

ただしどっちがおもしろかったかというと、ぐり的にはやっぱ前のが好きかもしれない。
『鍵泥棒』のテーマは実は「恋のトキメキ」で、作中にも「胸がきゅんとなる瞬間」について語られるシーンがあるのだが、台詞では「30を過ぎると“きゅん”としなくなる」とハッキリ明言してしまう。現実はどうかわからないけど、ぐりはこの「トキメキ」に正直あんまりついていけなかった。30どころか40だもんさ。無理無理。
あと主人公のキャラが弱すぎる。役柄として主体性が前に出てきにくい設定でもあるんだけど、最後まで堺雅人が何を考えてるのかがほとんど伝わってこず、すごく共感しにくかった。広末涼子もキャラ設定がおもしろいわりには可もなく不可もなく非印象的。
香川照之はいつもどおりすんばらしかったですけどね。ホントにこの人の演技には毎度脱帽ですけど。何をどうすればこんなにバッチリ完璧に正解な芝居ができるのか、ものごつ不思議ですけど。
結果香川さんひとり勝ち。おいしいとこ全部もっていきましたね。

あと怖いヤクザ役はやっぱ荒川良々にゃちょっと無理あるよ。プロポーションがいいから衣装はスゴイかっこよかったけど・・・。