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石橋政嗣が『非武装中立論』に込めた思いは?

2019-12-15 14:01:10 | 防衛

 2019年12月9日、元社会党委員長の石橋政嗣氏が95歳で死去した。1983年9月に第9代委員長に就任した。80年には『非武装中立論』を著した。これに対し中曽根康弘首相が「非現実的である」と批判した。石橋氏が「非武装中立」に込めた思いはどのようなものであったのか。1995年7月に出版された朝日新聞社刊 戦後50年2『日本とドイツ 深き淵より』などによると、

 敗戦により、「聖戦」や「大東亜共栄圏の建設」や「特攻隊に象徴される天皇に対する尽忠捧命の光栄」など、彼が信じていた事はすべて、神聖天皇主権大日本帝国政府によって騙されていたのだという事が分かった。大日本帝国政府の暴虐を反省して制定されたのが、日本国憲法であると心から歓迎した。文部省の指導要領では憲法について、「素晴らしい内容で人類の理想を先取りしたもの」と書かれており、『非武装中立論』はこの憲法を反映したものであると述べている。

 自衛隊や日米安保条約については、社会党が政権をとっても、自衛隊をすぐに廃棄できない、安保条約もなくせるものではないと考え、どのように廃止、解消に向かうかそのプロセスが非常に大切だと書いたが、「非武装中立」というと、「すぐになくすんだ」「すぐにやめるんだ」と勝手に決めつけて読もうとしない人が多かったと述べている。

 村山富市(社会党)首相の「自衛隊合憲」発言については、首相が一人で(勝手に)「合憲」に変えてしまった。有権者との公約に反しており、党是ともいうべき基本理念、基本政策を党内の機関決定も踏まえずに変えてしまった。民主主義の原則からおかしいという批判もない、それとは逆に、「よくやった」と言わんばかりの風潮であり、これでは社会党の存在価値はなくなったと言われてもしようがないと述べている。

 日本が国連安全保障理事会の常任理事国になる事については、「常に米国の方を見てついて行くだけで、何が正義なのか、国連として採るべき行動はどうあるべきかという客観的、自主的な判断はできないだろう」と述べている。

(2019年12月15日投稿)

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