安倍自公政権は、特別会計法の改悪案を国会に提出し、東京電力・福島第一原発の事故処理費用を、再生可能エネルギーや省エネなどの財源から流用できるようにしようとしている。主権者国民はこのような手法を絶対に認めてはいけない。
改悪案は、エネルギー関連予算を管理する「エネルギー対策特別会計」(エネ特)のルールに対する異例の変更を狙ったものである。エネ特には再生可能エネの普及や燃料の安定供給などに使う「エネルギー需給勘定」(エネ需勘定)と、原子力政策に使う「電源開発促進勘定」(電促勘定)など目的外使用を禁じた財源(税金)があるが、これまでその「エネ需勘定」の財源(石油石炭税)を「電促勘定」に繰り入れて原発関連にも流用する手法を合法化しようとするものである。合法的に「流用」できるようにしようという魂胆である。
では、なぜ電促勘定から支払おうとしないのか。なぜ、他から流用しようとするのか。これまで東京電力に関する事故処理費用については、すでに2014年度から汚染土などの中間貯蔵事業費は安倍自公政権が東京電力の肩代わりをして、エネ特のうちの原発の立地対策などに使う電促勘定から支払ってきている。ところがその支出額は当初より大幅に増えており、今後も、福島原発の廃炉費用はもちろんであるが、高速増殖原型炉もんじゅの廃止措置などにも莫大な費用がかかる事が予想されている。
しかし、「電促勘定」の財源は電気料金に上乗せしている電源開発促進税であるため、これを増税していく事は、主権者国民の反発が十分に予測できるためできないのである。そのため考え出したのが、安倍自公政権の常套手法となっていると言って良い「禁じ手を使う」という手法であるが、これまで前例のない事である「エネ需勘定」を「原子力政策」に「流用」できるよう法改正(改悪)をし、「流用」を合法的にできるようにしようという事なのである。
しかし、選りによってまた、再生可能エネルギーの普及や燃料の安定供給に使用する財源(石油石炭税)をなぜ原子力政策に流用しようと考えるのだろう。ここに安倍自公政権のエネルギー政策の本音が顕わになっているのである。それは世界のエネルギー政策の流れをまったく無視した考え方であり、原子力に関わるものの利得だけを考えた手法であると言って良い。
法案は、「エネ需勘定」の財源(石油石炭税)を一時的に「電促勘定」に繰り入れて原発関連にも使えるようにし、将来的に繰り戻すと定めている。しかし、その事によって、「エネ需勘定」でよって実施する「再生可能エネルギーの普及や燃料の安定供給など」の事業費が減額される事になり再生可能エネルギー事業が停滞遅滞するのは火を見るより明らかである。安倍自公政権はあくまで「原子力」に重点を置いているという事である。
また安倍自公政権は、具体的な「繰り入れ」や「繰り戻し」については、「今の時点で決まっていない」(財務省)、「現時点で明確にする事は困難」(経産省)などといった無責任非常識としか言いようのない発言しかしていない。この意識は「何時いくら使うか、何時いくら返すか分らんけど、原発関連に使うから、俺を信じて金貸してくれ」と言ってるようなものである。一時的な借金なので問題ないというが、そんな保証があるとは信じられない。政治は現実的に行われなければならない。安倍自公政権は永久に続くという傲慢な意識を持っているのだろうがそんな事はあり得ない。その時この責任はだれがとるのか。「繰り戻し」(返済)をするつもりさらさらないだろう。「借金踏み倒し」「食い逃げ」の意識としか思えない。また、この改悪法案は周到にも野党が反対しにくいように、他の4法案と計5法案を一括して審議採決する手法をとっている。これも安倍自公政権の常套手法であるが彼らの狡猾さ腹黒さが表れているのである。安倍自公政権の政策はどれもどこまでも安倍ファミリー中心主義で主権者である国民の利益はさらさら考えていないのである。また、安倍自公政権の政治姿勢は徳川幕府や神聖天皇主権大日本帝国政府と同じで、「よらしむべし、知らしむべからず」で一貫しているのである。ついでに付け加えると、「百姓(=主権者国民)は生きぬように死なぬように」「百姓(=主権者国民)とゴマの油は搾れば搾るほどとれるものなり」という姿勢も有している。
このような安倍自公政権の姿勢からみて、この改悪法案は、「借金踏み倒し」の恐れが十二分に予想できる典型的なケースと考えるべきで、主権者国民にとっては決して認めてはならないものである。安倍自公政権には、主権者国民に対する「責任感」はないのである。