熊本県などで地震が続くなかで、九州電力川内原発は「安全性に問題ない」として運転を継続している。九電は東日本大震災前の原発依存度が全国でもトップレベルで、発電量の4割近くをまかなってきたが、原発の停止で経営は悪化した。しかし、川内原発の再稼働により、月100億~130億円ほどの収支改善ができたという。社長の瓜生氏は「次は玄海原発の早期再稼働を目指したい」と発言している。
このような九州電力の姿勢に、4月15日からの1週間に、「運転継続」を批判非難したり、「運転停止」を要望するメールや電話が約5千件も寄せられたという。
そのような九州電力の姿勢を正当化させているのが、原子力規制委の主張発言である。しかし、その内容は国民にとって極めて「非科学的で非現実的で空想的な机上の屁理屈、自然の脅威を軽視無視した傲慢」であるとしか思えないものである。また、もっと大切な、国民の「不安感」の解消に応えようとする心理を持ち合わせておらず誠意がまったくうかがえない内容としか思えないものでもある。以下に紹介するが、皆さんはどのように感じますか。
田中委員長が18日に川内1,2号機などの状況報告を受けた臨時委員会後の発言;「我々が納得できる科学的な根拠はない。止めるべきだとの声があるから、政治家に言われたからと言って止めるつもりはない。現状はすべて想定内。今の川内原発で想定外の事故が起きるとは判断していない」「仮に基準値振動を上回る揺れで設備が壊れても、消防車や電源車などを使って原子炉を冷やす過酷事故対策で放射性物質の放出を食い止める」
過酷事故対策の作業中に激震の追い打ちを受けたらどうなるか。5~30㌔圏の住民に指示される屋内退避は成り立つのかという問いに対する田中委員長の27日の発言;「川内原発に活断層はない。耐震設計もしており、そういう心配はしなくていい」「丈夫な建物や遠くに避難する事になると思う。5~30㌔圏の建物が全部だめになる事は考える必要もない」
現実には何が起きているか。震度7の約28時間間隔の連続という「専門家」のだれも想定しなかったできなかった事態が起こり、熊本県益城町では復旧作業中の電源車が転倒し、道路や鉄道は広域で寸断され、余震を恐れた人々が屋外や車での寝泊りを余儀なくされた。そして、次々と明らかになる様々な膨大な被害。
原子力規制委は、自己の知識判断に対する独善的な過信(盲信)、未知の自然の力に対する謙虚さを持ち合わせぬ傲慢さ、柔軟性複眼性現実性を持ち合わせない硬直した思考、人間性感性に乏しく冷徹で哲学を持たない倫理観の欠如した科学者集団と言ってよいのではないか。
規制委を所管する丸川珠代環境相が「規制委の判断を尊重する」とした姿勢(これ自体を問題とすべきであるが)を考えれば、規制委の判断は極めて重要であるにもかかわらず、適切な判断とは言えないのではないか。
九電は儲けるために原発稼働を継続し、利害を同じくする安倍政権は原発政策をやめる意志はさらさらなく、規制委は安倍政権の御用機関と化して安倍政権の意志に沿った主張を固持している。
安倍政権が「国民の命と安全と財産を守る事は二の次」である事を暴露してくれたのが「熊本地震」であると言ってよい。
この姿勢は、アジア太平洋戦争における戦争指導者がとった、戦場の兵士や銃後の国民に対する姿勢と同じである。そのような人間たち安倍政権自民党に国民の将来を任せる事はできない。
(2016年5月4日投稿)