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浜田国松(政友会代議士)の寺内陸相との「腹切問答」…「歳費増額」糾弾

2023-11-03 09:35:42 | アジア・太平洋戦争

 浜田国松(1868~1939):三重県生まれ。1903年以来代議士、立憲国民党所属。1915年政友会に移り、衆院副議長・司法政務次官を経て、1934年衆院議長。第1次・第2次憲政擁護運動に参加。1937年の第70帝国議会の施政方針質問演説軍部を批判し、寺内寿一陸相と「腹切問答」で応酬し、広田弘毅内閣(1936 .3.9~37.1.23)の崩壊の原因を作った。

 日中戦争の時期になると、軍部を推進力とする神聖天皇主権大日本帝国政府ファッショ化に批判をするものは、リベラルな政治家・学者・評論家・ジャーナリストなどの一部に過ぎなくなっていた。議会における軍部独裁に対する公然たる批判には、1940年2月の斎藤隆夫の「反軍演説」がよく知られているが、あまり知られていないが今日主権者国民の教訓とすべきものとして、1937年1月第70帝国議会での浜田国松代議士(政友会)が軍部の独善を批判した「腹切演説」を以下に紹介しよう。

「この既成政党排撃憲政常道論排斥政治の軍民一致新体制というような主張者の議論の中には、常に既成政党の腐敗堕落を攻撃いたしておられるのであります。……もし既成政党の腐敗堕落の形跡があるとするならば、それはむしろ、軍閥官僚の誘惑が、政党をして今日の腐敗をなさしめたものであると、言わなければならぬ。……帝国議会の歴史において、……最初8百円の議員の※歳費が、一躍2千円に増加せられたる当時において、その間に軍閥政府の、ある政治的交換……があった事は、政党史の証明する所である。……陸軍二個師団の議会通過困難に陥るや、時の政府が衆議院内に黄白(金銭)を撒布して、議員買収を大臣が公然と企て、刑事問題を起こしたという事は、天下公知の事実である。……既成政党にも瑕瑾がある。軍部にも瑕瑾がある。これあるの故を以て、既成政党呪うべくんば、軍部また呪うべきものではないか。しかるに独裁主義者、もしくはファシズムの一角、既成政党をまっしぐらに崩壊せしめんと欲する者の口実が、既成政党の全部を以て、救うべからざる腐敗堕落に陥っているものであると攻撃するのは、余りにも事実を誣うる(しうる=事実を曲げて言う)の、甚だしきものであると言わなければならぬ。」

※歳費が2千円増加「1899年には地租増徴を認めた議会に対する工作費用的な意味合いをも含めて、第2次山県有朋内閣(1898.11.8~1900.9.26)は議員歳費を年額2千円に大幅に引き上げた。国民に地租増徴の負担を強いるのに議員歳費は値上げするのかと国民から激しい批判が起こったが、「歳費を辞退する事も」と修正し可決。しかし、実際に辞退したのは「田中正造」だけであった。

(2023年10月26日投稿)

 

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